マンション管理に関する法律トラブル相談室その他

工事施工後でも契約を解約できるか

「換気扇の掃除をしましょうか」と若い男が訪ねてきて一回五〇〇〇円と言ったので頼んだところ、「モーターが錆びついて回りにくくなっているなど、このままでは大変危険なので取り替えなければいけません」と言われ不安になって三〇万円の契約をしてしまいました。業者はすぐに取り替え作業を済ませて帰ってしまいましたが、考えてみると高すぎるのではないかと後悔しています。施工済みでも解約できますか。

 マンションの住戸ににわかに来訪し、素人の知識不足につけ込み「このままでは危険です」などと言って高額な工事の契約を結ばせる悪質な事例は増えています。
 今回のケースでは、まずクーリングオフの適用を考えましょう。クーリングオフとは、冷却する、頭を冷やすとの意味で、消費者が訪問販売などで商品の購入や役務の提供を受けても一定期間内に申し込みを自由に撤回し、契約を解除できる消費者保護の制度です。この制度は、特定商取引に関する法律で規定され、規制の対象になる商品やサービスなどの内容は政令によって指定されています。本問のケースは、これに該当します。また、クーリングオフの要件として、(1)営業所など以外の場所で契約した場合であり、(2)契約書面を受け取ってから八日以内でなければいけません。
 従って、八日以内に書面で解約の通知をすることが必要です。通知は内容証明郵便で、契約日、住所、氏名、および契約を解約する旨を明記し、工事した会社宛に送付します。写し(コピー)を取っておくとよいでしょう。
 クーリングオフが認められれば、書面発信の日から解約となり、支払済みのものは全額返還してもらえます。業者の負担で引き取ってもらえ、損害賠償や違約金を払う必要はありません。
 このようにクーリングオフによって消費者は保護されていますが、トラブルを招かないよう、契約する前には内訳のある見積書をもらうなどし、専門家に相談するなど、よく検討してください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2001年6月掲載

電波障害対策施設について

マンション付近に最近引っ越して来られた住民の方から、「この地区の他の住民は、テレビ電波をマンションの電波施設で共同受信していると聞いたが、自分の家にも無料でこの工事を行ってもらえないか」との要望がありました。この場合、管理組合に費用負担の義務があるのでしょうか。

 電波障害対策施設とは、分譲マンションが建設されることによって、受信障害を受けると認定された周辺の建物に、分譲マンション建設前と同等の適正なテレビ電波を供給するための施設です。つまり、分譲マンションの売主、またはその継承人(主に管理組合)は、分譲マンション建築によって悪化したテレビ電波の受信に関しては建築前の状態を維持することが義務づけられているのです。
 ただし、これは建築時の話であり、今回要望を出された方のように、建築の後になって引っ越して来られた方に対してはこの補償義務はありません。あらかじめ周辺の住民組合などと何らかの取り決めをしている場合を除いて、管理組合には費用負担義務はないということです。
 とはいえ、周辺住民との間での問題ということもあり、十分に話し合いを持つことが必要でしょう。ケーブル架設や分配器設置などの工事費用は本人に負担してもらい、共同受信への加入を認めるという方法も考えられます。この場合に注意すべきことは、将来にわたって発生してくる維持管理費用、修繕費用などの負担について、しっかりと取り決めを行い、契約書を取り交わしておくことです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1996年10月掲載

電波障害についての協定を白紙にできるか

マンション建築時に、事業主と近隣住民とで結ばれた電波障害についての協定(共同受信施設の設置は事業主の方で行い、その維持管理費用も全て負担するというもの)が、その後管理組合に引き継ぎされて数年間組合費から支出してきました。もしできれば協定自体を白紙に戻したいのですが、どのような問題が生じるでしょうか。

 近年、テレビは家庭生活の一部となっているので、その映像を支障なく視聴できるということについては、日照権などと同様に法的保護の対象となるでしょう。地方公共団体によっては、マンションなど高層ビル建築許可の条件として、条例または指導要網などにより、受信障害に係る建築主の責務、紛争の事前解決をうたっているものも見られます。
 さて、問いのケースですが、共同受信施設の設置に関して協定を既に締結していて、その後その協定を管理組合が一方的に破棄した場合は、約束違反=債務の不履行となり損害賠償を近隣住民から求められることになります。その場合の損害額は、電波障害を防止する施設の設置および管理費用などが考えられます。また、破棄しないまでも維持管理費用を近隣住民にも分担してもらおうとする場合には、当事者間で協議して合意する必要があります。
 なお、協定書の有効期限については、共同受信施設が存在する間となり、台風などにより施設が倒壊した場合には新たに協定を結ぶ必要があるでしょう。その場合は、費用の分担も新たに定めることができることになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1993年4月掲載

電波障害対策設備の管理は誰がするのか

マンション付近の住民です。マンション建設時に、管理規約に電波障害対策設備の管理・責任についての条項が明記されていましたが、先日、当該マンションの総会でこの条項を廃止すると決定したので、電波障害対策設備の管理を誰がやるのかはっきりしない状態が続いています。どうすればよいのでしょうか。

 電波障害対策設備とは、マンションの建設によりテレビ電波が反射されたり遮断されて電波受信障害が生じ、近隣住戸がテレビを見ることができなくなることなどを補償するために、マンション建築時に屋上に設置された共聴アンテナおよび該当住戸までのケーブル設備(増幅器、分配器などを含む)のことです。
 当初建築主と近隣住民との間で電波障害の対処に関し、建築主の負担で解決する旨の協定等を交わし、この建築主の立場を管理組合が継承したことを表示するため、マンション完成後の当該設備の維持管理費用を負担するといった内容の規約を定めているケースが多いようです。
 上記のように管理規約の各条項には、組合員相互間での取り決めごとというだけではなく、第三者(外部)に対しての義務(管理・責任)という役割を持っているものもあります。
 一方、総会の議決というものは組合員に対してのみ効力が及び、第三者(外部)に対しては全く効力は及びません。
 ですから、この電波障害対策設備の管理・責任についての条項は第三者に対しての義務に該当していますので、たとえ総会の議決であるとしても廃止するということはできませんし、電波障害は消失したわけではありませんので、電波障害対策設備の管理責任を免れることはできません。
 以上のように、今回の総会での規約条項の廃止の決議は、電波障害対策設備を管理組合の責任で管理していくべき協定などの効力にいささかも影響を及ぼすことはできません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1999年12月掲載

「黙示の更新」について

敷地外駐車場を管理組合で借り上げているのですが、このたび地主より賃料の値上げを申し入れてきました。通常なら契約更改時に賃料の話し合いをするのでしょうが、契約書を調べてみると五年契約で、三カ月前に既に期間満了となっていました。また契約書には自動更新の条項はありません。この契約は有効でしょうか。また地主は来月からでも賃料を値上げすると言っていますが、賃料はどうなるのでしょうか。

 民法第六一九条には次のとおり定められています。
 「賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する」
 存続期間の定めのある賃貸借契約は、その期間の満了によって終了しますが、期間満了の後賃借人(問いの場合は管理組合)が賃借物の使用・収益を継続していて(駐車場使用料を支払っていて)、賃貸人(地主)がそのことを知りながら異議を述べないときは、前の賃貸借と同一の条件をもってさらに賃貸借をしたものと推定されます。これを黙示の更新といいます。ですから契約書に自動更新の条項がなくても賃貸借契約は継続していることとなり有効です。
 ただし、「同一の条件」といっても契約期間については期間を定めない契約とみなされますので、更に五年間の契約ということにはなりません。
 ここで賃料については、お互いの話し合いにより決定することとなりますが、万一折り合いがつかず、地主側より解約の申し出があったとしても、民法第六一七条には、「当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一、土地の賃貸借 一年
二、建物の賃貸借 三箇月
三、動産及び貸席の賃貸借 一日」
とあります。
 この場合は駐車場であり、第一号(土地の賃貸借 一年)に該当しますので、解約の申し出があってから一年間は現行の賃料で賃貸借契約が継続されることとなります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1996年8月掲載

管理組合の預金口座の名義人が破産した場合は

当管理組合では預金口座の名義はすべて「○○○○管理組合理事長△△△△」となっていますが、もし理事長が破産した場合どうなるのでしょうか。

 管理組合は、区分所有者から管理費や修繕積立金などを徴収したり、各種費用を支払う業務を行うため、銀行をはじめとする金融機関に預金口座を開設しています。
 通常、ほとんどの管理組合は法人化していないため、法人格のない団体となり、預金口座は「○○○○管理組合理事長△△△△」という名義で各種取り引きを行うこととなります。
 この場合、この預金権利者(預金者)は管理組合なのかそれとも理事長たる個人なのか考えてみます。
 金融機関の実務上、団体の預金口座を開設する場合には団体の地位を示す肩書きを付して個人名義の口座開設を認めています。その際に、管理組合の場合「管理規約」・「名義人の実在を証明するもの」・「組合と名義人の関係を示す書類など」といった資料を要求されます。
 金融機関のこのような口座開設に当たっての処理の仕方を見れば明らかなように、金融機関はあくまでも「管理組合」を預金権利者として扱っており理事長たる個人のものとしては扱っていません。以上のことにより、この預金権利者は管理組合と考えられます。
 万が一、管理組合の預金が差し押さえられた場合は、差し押さえは第三者の財産に対したものとなりますので、集会の決議または規約の定めに基づいて、管理者が管理組合を代表して民事執行法第三八条の規定の第三者異議の訴えを提起し、同条四項の執行停止の申し立てをすることにより、管理組合の預金が取り立てられてしまうのを防止することができます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1999年10月掲載

「管理費は一切支払う必要はない」との売買契約書は有効か

理事長ですが新たに区分所有者となった人が旧区分所有者との売買契約書の中に、『管理費は一切支払う必要はない』と記載されているので払わないと言っています。どのように対処すればよいのでしょうか。

 「管理費を支払う必要はなし」と記載された売買契約を交わしていても、この契約書は売主と買主のみの契約であり、管理組合との契約ではありません。仮に管理組合が当事者間にこのような契約があることを知っている場合でも、そこに記載されている内容が管理組合に対して有効とはいえません。区分所有者が管理組合に支払う管理費は、管理組合がマンション敷地および共用部分などの維持管理費用として必要なものです。
 そこで、区分所有法第一九条で「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」と定められており、区分所有者が管理費を負担することは当然の法律上の義務なのです。
 この売買契約において、旧所有者(または新所有者)が無知を装い、故意にこのような契約を交わしているならば大変悪質といえます。また宅地建物取引業者がこの契約に関わっているとするならば宅地建物取引業法違反の疑いが生じてきます。
 以上のことから、新所有者に対して当然に管理費を請求できますので、上記契約事項は管理組合に対して効力のないことを説明して支払うよう督促してください。それでも管理費を支払わない場合は訴訟などの法的な手段をとることになります。また、大変悪質な場合は管理費、遅延損害金、訴訟費用(印紙代など)に加えて弁護士費用を請求することができる場合もあるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1999年11月掲載

銀行が破綻したら、定期預金は保護されるか

私は理事長です。現在私のマンションの管理組合では、ある都市銀行の定期預金が一〇〇〇万円あり、「Bマンション管理組合 理事長 A」という名義になっています。また、私は同じ都市銀行に個人名義Aで五〇〇万円の定期預金を持っています。ペイオフの上限一〇〇〇万円が解禁となり、もしこの都銀が破綻した場合それぞれの定期預金は保護されるのでしょうか。

 平成一二年五月に金融機関破綻に備え、預金保険法の改正案が国会で成立し、ひと通りの安全網が整備されました。これは、預金者に一定の損失負担を求める「自己責任原則」を踏まえたものになっており、金融機関を利用する消費者は十分な知識を持ち理解しておくことが必要となりました。
 ペイオフは、改正された預金保険法の大きな柱として位置づけられています。万が一、金融機関が経営破綻に陥り、預金額の払戻しも停止し、あるいは金融機関の営業免許の取消し、破産の宣告、解散の決議があった場合、預金保険機構という政府、日銀、民間金融機関がお金を出しあって設立した機関が、各預金者の一定額までの預金について保護しようとするものです。保護される預金の対象は「名寄せ」された預金金額に対して元本一〇〇〇万円までとその利息の範囲で保護が行われます。具体的な「名寄せ」の方法を挙げますと
  • (1)一預金者が普通預金や定期預金など複数の預金をしている場合、各種預金の金額を合計する。
  • (2)一預金者が一金融機関の複数支店に分けて預金していた場合、各支店の預金を合計する。
  • (3)家族の預金は、夫婦、親子であっても、それぞれの名義の預金であれば、別々の預金者とする。
  • (4)マンション管理組合など複数の人が集まって作った団体であれば、一預金者とする。
  • (5)一預金者の特定は、同一人物であるかを実質的に判断し、例えば「A商事東京支店」と「A商事大阪支店」の二つの口座名義の預金は一預金者とする。
    などの方法があります。
     以上のことから、ご質問の事例では、先ほど挙げましたように、個人名義の定期預金(五〇〇万円)は管理組合名義の定期預金(一〇〇〇万円)とは区別されて預金保護の対象となりますから、それぞれの預金額は保護されるということになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2001年10月掲載

「水道料金差益」とはどのようにして生まれるものなのか

「水道料金差益」とはどのようにして生まれるものなのでしょうか?また、この利益の帰属先は区分所有者個人または組合どちらのものとなるのでしょうか。

 ほとんどの自治体の水道料金体系では、使用量が増えると段階的に単価(一立方メートル当たりの料金)は高くなっていきます。マンションの場合、マンション管理組合(以下組合という)と自治体との間で親メーターを設置して、各住戸と管理組合との間には子メーターを設置して、水道水を供給することがよくあります。この場合には、組合が自治体に親メーターの使用料を一括して支払うことになりますが、使用料が多くなり単価が高くなるために、本来の使用料よりも高額な負担となります。しかし、多くの自治体では水道料金算定の際の共同住宅用の割引制度があり、申請によってマンション全体の使用量を戸数割りした場合の低い単価が適用されることとなります。この場合、各戸の水道の平均使用量が多かったり、使用量が少なく基本料金以下であったりする住戸がありますので、各住戸の使用量に対して自治体の定める水道料金を計算した上で全戸分の合計を求めると、自治体から組合への請求額と比べて、若干の差益が生じてくることとなります。
 本題の水道料金差益の帰属先についてですが、管理組合が自治体に一括してマンション全体の(個人の水道使用料も含む)水道料金を支払い、その後、各区分所有者に使用量に応じて請求するといった方法は、考え方を変えれば、まず管理組合が「水」を自治体から買取り、その買取った「水」を各区分所有者に販売(請求)しているともいえます。それゆえ、管理組合は区分所有者に対して水道料金の支払を請求する権利を有していることとなります。ですから、この請求方法によって生まれてくる差益は組合に帰属するものであると考えられます。
 また、水道メーターの故障や、交換の際は管理組合がこれらの費用を負担することになるので、差益を組合に帰属させ、将来に備えて資金を蓄えておくことも必要であり、そのことによりマンションの資産価値を保つ観点からも組合に帰属するという考え方が適当であるといえるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2001年12月掲載

管理組合が水道料金差益を得ているのは問題ないのでしょうか

私の住んでいるマンションでは、各住戸の水道メーターは管理組合の管理下にあり、水道局が親メーターを基に管理組合へ水道料金を一括して請求し、管理組合が各区分所有者へ請求しています。管理組合が請求する水道料金は、水道局が一戸建て住宅に請求する水道料金よりも高く請求されており、管理組合は、各住戸からの徴収料金と水道局に支払う差益を得ているのですが、これは問題ではないでしょうか。

 水道局の水道料金は、浄水場や配水池、配水管等、施設の建設や改良に必要となる費用が賄えるように水道局の財政状況に基づき設定されています。よって、施設の老朽化等で支出が増大すると、水道料金も値上げされますし、経営の効率化が図られるなどして、支出が減少すると水道料金も値下げされます。
 本件のように組合が各メーターを管理する場合は、区分所有者が負担すべき管理費等にあたることは、判例も認めるところです。ところで、水道局からの貸与品である親メーター以降に設置されている給水管、受水槽、揚水ポンプ、高架水槽、各住戸の戸別メーターの補修や清掃等の費用負担を管理組合がしなければならないため、管理組合の財政状況からすると必然的に水道局の設定する水道料金単価よりも高く設定されることがあります。
 実際には、管理組合においては、水道料金収入と水道に関する支出のバランスが取れていなくても、管理費収入や駐車場収入や様々な支出を含めて、収支が合っていれば、大方の理解を得やすいため、水道局の料金に準じているところが多いようです。
 しかし、必ずしも水道局の料金に準じる必要はなく、例えば、水道局が水道料金を値下げしたとしても管理組合も値下げを行わなければならないということはありません。本来的に差益は、将来訪れる水道メーター交換、配管補修等のために備えるべきで、マンションの価値を維持する上で必要となるからです。
 以上のことから、管理組合の水道料金が水道局の水道料金よりも(合理的な範囲で)高く設定され、組合が差益を得ていても、不当であるということにはならないでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2005年9月掲載

修繕積立金の運用について

私は理事をしています。先日の理事会で理事長から修繕積立金の運用に関して、定期預金を解約して株式に投資しようという提案がありました。もし株価が暴落して被害を被った場合、理事として私も責任を負うのでしょうか。

 区分所有者は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体(これが管理組合です)を構成し(区分所有法第三条)、その総会決議によって管理者を選任することになりますが、通常は管理規約によって、管理組合の役員として数名の理事を選出し、理事長はその中から選ぶことになります。
 このようにして選出された理事長および理事は、善良な管理者の注意義務(一般的に善管注意義務といいます)をもって委任事務を処理することになります。
 従って、選ばれた理事長はもちろんのこと理事もその義務に違反して管理組合に損害を与えたときは、損害賠償責任を負うことになります。
 さて、本問の回答ですが、先に述べたように、理事の業務は建物などの管理義務を行うことにありますから、修繕積立金を有利に運用して利益を上げることではありません。それゆえ、暴落の危険がある株式に投資すること自体、基本的には適正な管理業務といえません。また、通常、管理規約によれば、総会の決議事項において「その他組合の業務に関する重要事項(組合員の共同の利益に関わる事項)」をあげていますので、総会で修繕積立金の株式投資での運用を決議して行うことも考えられますが、株式投資での運用自体が適正な管理業務に違反すると解され、善管注意義務に違反して損害を与えたとして、のちに理事の責任を追及する総会決議がなされることも予想され、高騰するという確実な情報(このような情報は違法な情報以外にない)があっても、理事としては修繕積立金の株式投資での運用は避けるべきですし、せいぜい元本割れが生じない運用にかぎるのがよいでしょう。株価が暴落した場合は、株式投資に関わった理事は責任を追及される場合があるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2001年1月掲載

電波障害対策に関するトラブルについて

築八年のマンションです。マンションの建築に伴い発生した電波障害対策として、事業主がマンションから当該住戸へ道路をまたぎケーブルを張り、管理組合がこれらの設備を管理しています。先日、通行中のトラックがそのケーブルを引っ掛け断線しました。トラック側は、「荷姿の高さは三・五メートルであり法律を守っている」とのことです。ケーブルを設置したのは事業主ですが、管理組合に責任がありますか。

 電波障害対策のために、道路をまたいでケーブルを設置する場合、道路法施行令によれば、車道においては高さ四・五メートル、歩道においては二・五メートル以上の高さにケーブルを設置しなければならないことになっています。
 そこで、事業者の責任ですが、当初からケーブルの高さを三・五メートル以下に設置していた場合は、その設置に瑕疵があることになりますが、当初は道路法施行令の規定を充足していた場合には、責任はありません。
 また、本件ケーブルの設置に瑕疵がある場合も、管理組合が事業者から贈与を受けた場合には、原則として瑕疵の責任を問うことはできず(民法第五五一条)、本件ケーブルを売買で取得した場合に責任を問うことができ、これを瑕疵担保責任といっています。すなわち、売買により取得した物に、隠れた瑕疵があった場合には、その瑕疵を知ってから一年に限って、損害賠償、場合によっては売買契約を解除することができるのです(民法第五七〇条、第五六六条)。ここに「隠れた」というのは、通常人の注意を払っても発見できないことをいい、「瑕疵」というのは、その対象物について通常有すべき品質、性能を有しないことをいいます。
 そこで、本設問の回答ですが、事業者の責任は、事業者が道路法施行令の規定に反する高さ以下に本件ケーブルを設置していた場合で、事業者が管理組合にこのことを隠して譲渡し、管理組合がこれを知らなかった場合には、瑕疵担保責任を追及されることになります。
 そうでない場合には、例えば、当初道路法施行令に違反することなく設置されていたが、時間の経過とともに、ケーブルの自重や金具の緩みなどのために、本件ケーブルが三・五メートル以下に垂れ下がった場合には、所有者の管理が悪かったということになります。
 なお、荷姿三・五メートルのトラックが、道路交通法に違反して本件ケーブルの設置してある道路を違法に通行した場合で、道路法施行令に違反して事業者が設置したまたはその後の管理組合の管理の落ち度により三・五メートル以下に垂れ下がった本件ケーブルを引っ掛けた場合には、トラックに道路交通法(安全運転義務違反)の違反があるとしても、通常は、本件ケーブルを断線させた責任までは問えないでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2002年11月掲載

店舗前のシャッターを修理した場合、その費用の負担先は

私はマンション一階にある店舗の区分所有者です。先日店舗前についているシャッターが壊れてしまい、自己の負担でそのシャッターの修理をしました。この修理費を管理組合に請求することはできますか?

 本問は、店舗前のシャッターが区分所有者の専有部分かまたは共用部分かが回答の前提になります。区分所有者の専有部分であれば、区分所有者が所有するものであり、当然修理費を負担すべきですが、共用部分であれば、管理組合の所有に属する物を区分所有者が専用使用権に基づいて使用していることになり、修理費をどちらが負担するかが問題となります。
 ところで、店舗前のシャッターが専有部分かまたは共用部分かは、通常はそのマンションの管理規約に定めがありますので、その規約に従って判断することになります。
 ちなみに標準管理規約(複合用途型)によれば、「玄関扉及びシャッターは、錠及び内部塗装部分」を専有部分と規定し、また、「窓枠及び窓ガラス」は専有部分に含まれないと規定しています。
 その趣旨は、標準管理規約では、専有部分と共用部分との境界に関して、上塗説(躯体部分は共用部分であるが、上塗り(クロスなど)を専有部分とする説)を採用し、シャッターなども外気を遮断する躯体部分に類する物と考えられるのと、これを専有部分とすると、区分所有者は玄関扉の形状を変えることができるために、マンションの外観が不統一な様相になることもあり、これを防止する趣旨をも含んでいます。
 そうすると、区分所有者は、管理組合からシャッターの専用使用権を認められ使用していることになりますが、専用使用権が認められた共用部分の管理は、通常の使用に伴う破損については、専用使用権を有する者がその責任と負担において管理するものとされています。以上によれば、本問の回答は、管理規約により、シャッターが専有部分に属する場合または、共有部分に属する場合でも、区分所有者の通常の使用に伴う破損の場合、いずれも区分所有者がその修理費を負担することになり、共用部分に属する場合で、通常の使用に伴わない長期間の使用による劣化によるなどの破損の場合のみ、管理組合が修理費を負担することになり、区分所有者は管理組合に対し、立て替えた修理費を請求することができることになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2003年12月掲載

事業主に預託した管理費等について

新築マンションの部屋を購入しました。入居時に管理組合に支払ってもらうべく管理費をそれぞれ三カ月分(三万円)と修繕基金(三〇万円)を事業主(販売主)に預託しました。入居して二カ月たちますが、いまだに事業主より管理組合の口座に振り込まれていないようです。万一、事業主が倒産などによって支払うことができなくなってしまった場合、私は再度管理組合へ管理費と修繕基金を支払う必要があるのでしょうか。

 管理費と修繕基金(以下管理費等という)は、区分所有法第一九条に「その持分に応じて共用部分の負担に任じ」と規定し、また、標準管理規約第二五条によれば「敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため管理組合に納入しなければならない」と規定されているので、分譲マンションの購入者(区分所有者)は管理組合に対して管理費等を支払う義務があります。
 ところで、分譲マンションの新規販売の時点では、事業主が管理組合を代理(事務管理なども考えられます)して、購入者から管理費等を集金することになり、このことは、管理組合(購入者全員で設立されることになる)もこれを了承しているので、購入者が事業主に管理費等を支払えば、管理組合に支払ったことになります。
 それゆえ、それ以後は、管理組合は事業主に対して、購入者が支払った管理費等の支払いを請求することになり、購入者に請求することはできないと考えられます。
 実際の問題として、事業主は管理組合を代理して、管理費等を集金していますので、委任者である管理組合に対して、管理組合の預金口座を開設し、その日か翌日には、それに入金すべきであると考えられますし、いくら遅くても、規約で定められたその月の末日までには入金しなければならず、入金しない場合には、債務不履行となり、管理組合も法的処置をとる必要があります。
 また、設問にあるように、万一、事業主が倒産などして支払いができなくなった場合は、管理組合が破産法等の債権回収手続きをとることになり、個々の購入者(区分所有者)には改めて管理費等を支払う義務はないと考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2004年9月掲載

管理規約の変更が承認されなければ、管理会社の変更もできないのか

理事長です。理事会にて管理会社の変更を検討しています。しかし、管理規約に管理費等の収納方法について、現管理会社が行っている『毎月五日に当月分を振替』と記載があり、変更予定の管理会社は、『毎月二七日に翌月分を振替』となるため、同時に規約の変更が必要で、管理規約の変更が承認されなければ、管理会社の変更もできないのではないかという意見があります。どうなのでしょうか?

 管理会社を変更することで、口座振替日等が変わることは通常ありえることです。管理費等の口座振替は管理をする上での実務に関することであり、必ず管理規約を変更しなければならないのであれば、マンションの管理運営に支障を来すこととなります。
 管理規約において、口座振替日等を記載することは、組合員全員に周知したい管理組合業務の特性を記述しているにすぎず、変更が行われたとしても、管理組合と組合員の利害関係(債権・債務)に著しい影響を与えるものではないため、実態に応じて字句の読み替えを行うことも許されるものと考えられます。
 よって、管理規約変更の手続きは必要なく、組合員全員へ「管理会社変更に伴い、管理規約に記載された管理費等の収納方法が『毎月五日に当月分を振替』から『毎月二七日に翌月分を振替』となります」等の案内文を配布すれば、規約の内容については自動的に『毎月五日に当月分を振替』を『毎月二七日に翌月分を振替』に読み替えるということになります。
 後々の誤解を避けるために、理事会での決議を得て、理事会議事録に明記するとともに、事後の総会で追認を得た方がよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2005年10月掲載

管理組合の損害保険を契約する保険代理店について

監事です。管理組合が契約している損害保険が満期になるため、理事会で契約する損害保険を検討していますが、理事長が自分の親戚が経営している保険代理店で契約してほしいと言われています。問題はないのでしょうか。

 管理組合は、日常の管理業務や不意の事故への対応を行い、区分所有者から預かった資金の運用を行います。そのためには、管理業務などに関して第三者との契約を結ぶこともあり、契約は理事長の名で行うことになりますし、このような契約として、小規模な工事請負契約や本問の保険契約などがよくある契約です。
 そこで、管理組合の役員はどのような立場からこれらの契約を成立させる必要があるかといえば、組合役員は、個人的な立場からではなく、組合という組織の、公的な立場から管理業務を行い、契約を行うのであるから、契約を結ぶ場合には、区分所有者全体の利益を考えて行うことが必要です。役員の地位を個人的立場で利用する場合には、区分所有者から私的な利益を得ているとの疑いの目で見られる可能性があり、基本的に避けるべきでしょう。
 それゆえ、本問の場合は、契約していた損害保険が満期になるために、これを従前と同様の保険内容で契約するのであれば、保険料が同一または少しくらい低額である場合には、従前の保険契約を継続するのがよいでしょう。
 なぜなら、理事長の親族の保険代理店で契約すること自体、所有者全体の利益のためではなく、親戚の保険代理店の利益のために契約したとの疑念を持たれるからです。
 しかし、今回の損害保険が、従前の保険契約とは異なって、新たに必要な保険内容を付加したり、従前の保険内容の一部を除外したりして、違った保険内容にする必要があるのであれば、最も管理組合に沿うような保険内容の損害保険を結ぶ必要があります。その場合、所有者から個人的な理由で保険代理店を変えたといわれないために、いくつかの保険代理店(例えば、従前の代理店、その他の代理店と理事長の親戚の代理店)の相見積もりの提出を受け、理事会で最も所有者に有利な損害保険を決定し、明らかに保険料が低額(数千円程度では明白とはいえない)であるなど、所有者の誰が見ても有利であると判断できるところと、契約を結ぶのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2006年6月掲載

修繕積立金の改定は規約の変更にあたるか

理事長です。将来の修繕に備え、積立金が不足しているため、積立金の増額を検討しています。しかし、管理規約の条文内で「修繕積立金は専有面積×二〇円(一〇〇円未満切捨て)とする」と記載されているため、積立金の改定は、規約の変更にあたり、特別決議となるのでしょうか。

 管理費や修繕積立金(以下「管理費等」という)の額は、管理規約に記載されず、管理費等の額は別に内訳などとともに表示されるのが一般的です。その理由は、必要とされる管理費等が不足する場合も想定され、あわてて一時金を徴収しなければならないように、適正に管理費等の額を改定できるようにするためです。
 本問のように、管理規約の規定の中で、修繕積立金の額が「専有面積×二〇円」と規定されている場合は、その趣旨は、当初の単価を区分所有者全員に周知、確認してもらうということであり「専有面積」に応じて負担するとの規定を変更するのではなく、この単価だけを改定するためには、規約に特段の定めがない限り、普通決議でできると考えられます。管理費についても同様の考え方です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2006年8月掲載

デジタル放送移行後の電波障害対策について

理事長です。近隣住民と電波障害対策についての協定が締結されています。デジタル放送に移行していますが、同様に電波障害対策を講じなければいけないのでしょうか。

 電波障害の防止、対策に関する明確な法律はありませんが、過去の判例において、民法第七〇九条に基づき、電波障害の原因を作った者(原因者)が、自己の費用負担において障害を取り除き、元の受信状態に回復させる義務があるとされています。
 つまり、マンションが建ったことにより、従前からその地域に住んでいた方には、通常、管理組合が電波障害対策を行っています。
 しかし、今回のデジタル放送への移行による電波障害は、電波障害に関する法律はないため、映らない方にデジタル放送が映らない原因がマンションにあることを証明させた上で、当事者間の話し合いにより、解決するのがよいでしょう。
 その場合、建設当初と違い、全額の保証義務はないと考えられますが、周辺住民との問題ということもあり、十分な話し合いにより、工事費用や機器設置費用の負担割合を明確にし、将来の維持管理費用、修繕費用などの負担について、契約書を取り交わすようにしてください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2006年9月掲載

個人情報の開示について

管理組合の理事長をしており、管理組合の運営上、区分所有者と賃借人のさまざまな情報を保管しています。このたび、一組合員よりこの情報を開示するように求められましたが、どこまでの情報を開示して良いか困っています。個人情報保護法の観点からも、管理組合の管理者として、どのような情報なら開示できるのかを教えてください。

 まず、個人情報保護法(以下、法という)では、一般に管理組合はその規模から、個人情報取扱事業者にはあてはまらないため、法の適用対象外となります。しかし、管理組合の管理者は、組合員に対しその情報の守秘義務を負っていますので、法の趣旨および規定を尊重し、区分所有者、入居者などの個人情報の開示は必要最小限にとどめる必要があります。
 管理上必要な情報としては、区分所有者の連絡先なども含まれますが、組合員に開示できる情報としては、登記事項(公開されている)である部屋番号、区分所有者の姓名と、標準管理規約で届出が義務付けられている、賃借人の世帯主の姓名ぐらいです(ただし、姓名を開示することにより、性別が判別できるため、姓のみとしている組合もあります)。電話番号やメールアドレス、家族構成、性別など、個人情報に属するものは本人の許諾がなければ開示できないと考えるべきでしょう。
 なお、組合員以外の第三者に対して、各組合員はこれらの情報を、慎重に取り扱うべきことは言うまでもないことです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2006年10月掲載

事業主が破綻した場合、事業主填補分の管理費は回収できるのか

管理組合の理事を務めています。マンション購入時に、各区分所有者との間に、「第一期の管理費収支が赤字の場合、赤字分の金額を上限に事業主が填補する」という覚書を事業主と締結していますが、第一期の期中に事業主が破産しました。  未販売住戸が多く、管理費の収支が赤字ですが、事業主が破産した今、赤字分の管理費は回収できなくなるのでしょうか。

 区分所有法(第一九条)では、原則として、マンションの管理費等は、区分所有者が納めるように定めています。
 事業主が未販売住戸の区分所有者であることから、未販売住戸分の管理費等は、他の区分所有者と同様に、事業主が管理組合に納めなければなりません。
 しかしながら、マンションは販売開始と同時に完売するものばかりではないために、マンションの販売の際に、事業主が各区分所有者との間で、「第一期の管理費の収支が赤字の場合、赤字分の金額を上限に事業主が填補する」という覚書を取り交わすことがあります。
 本問もそのような事例ですが、そもそも事業主が、このような覚書を管理組合に対して、法的効力を有するといえるかが問題ではありますが、通常は、管理組合の設立に際して、この覚書の追認がされるのが普通ですし、仮に、追認がない場合にも、期末に、管理組合の管理費の収支に赤字が出れば、事業主がその赤字分を填補した決算が承認されるのが普通です。
 しかし、第一期の期中に破産してしまった場合、管理組合の管理費の赤字分の填補がされることはないのが普通ですし、管理組合が事業主の填補金を免除することを決議することもないので、結局、覚書が解除され、管理組合は事業主に対して、未販売住戸の管理費全額を請求することになります。
 そして、破産宣告前の管理費は破産債権となり、破産宣告後の管理費は財団債権(破産手続きとは別に、随時、破産する会社が持っている財産(破産財団)から債務の弁済を受けることができる権利)になると考えます。
 ところで、一般的に、未販売住戸は、破産管財人による売却や競売によって新たな区分所有者のものになりますので、区分所有法第八条(特定承継人の責任)によって、新たな区分所有者が旧所有者である事業主の管理費の未払金を支払うことになります。
 ただし、稀有なケースと思われますが、管理費の収支が黒字の場合は補填の必要がありませんし、管理組合の設立前の倒産の場合は、破産財団から赤字部分を先取特権として回収されない限り、その補填を受けられないことになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2008年12月掲載

債権者が亡くなった場合債務の返済相手は誰になるのか

理事長です。五年前に大規模修繕工事を行いましたが、修繕積立金が不足したため、当時の理事長個人から融資を受けて工事を行い、その後、毎月返済を行ってきましたが、このたび、当時の理事長がお亡くなりになりました。亡くなられた理事長の奥様より、ご主人の財産は奥様が相続したため、今後の返済については奥様の個人口座へ振り込んでいただきたいとの申し入れがありましたが、返済方法としては問題ないでしょうか。

 管理組合の理事長への債務の返済については、亡くなられた理事長の相続人に対して返済する必要があり、一般的には、全相続人が相続分に応じた分割債権として相続し、これを各相続人へ返済することになります。
 本問では、これを被相続人の妻が相続したとの口頭の申出を受けたということですが、どのような方法で確認するのかが問題です。
 マンションの専有部分の相続であれば、登記簿謄本で確認できますが、その他の債権債務については別の確認方法が必要です。
 相続の確認方法としては、相続人全員の署名と印鑑(通常は実印)のある遺産分割協議書を提出してもらえばよいのですが、そうすると、被相続人の遺産全てを開示しなければならず、通常は、相続人に拒否されると思います。
 そこで、相続人を証する書面(戸籍謄本など)を提示してもらい(提出までは要しない)、その相続人の全員による、相続人の妻がこの貸金債権を相続したことを承諾する書面を提出してもらうことで確認するのがよく、一人の相続人だけの書面や口頭での申出だけでは不十分であると考えられ、本問では、亡くなられた主人の妻の口頭の申出だけでは、不十分と考えます。
 妻の話を鵜呑みにして、妻の個人口座に振り込んで返済した後に、他の相続人がこれを了解していなかったことが判明すれば、他の相続人から請求を受けるとこれを拒否できない場合もありますので、注意しましょう。
 相続人全員の承諾書が提出されず、貸金債権の相続人が確認できない場合には、債権者不確知を原因として供託する方法もあります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2009年1月掲載

行方が知れない元理事長から横領金を回収するには

理事長をしています。五年前に当時の理事長が管理組合の預金を横領するという事件がありました。その理事長は刑事告訴により懲役刑にて服役したのち、最近になって仮出所をしたもようですが、既にマンションには居住してなく、住所は把握できていません。行方が知れない元理事長から、いまだ返金がなされていない横領金を回収していくにはどのような手続きが取れますか。

 そもそも他人のお金を横領した場合には、これを返還しなければならないという債務が発生します。この横領金を回収するためには、民事訴訟を提起し、確定判決を得ておけば、管理組合は、元理事長の財産に強制執行することができます。仮に元理事長が自己破産を申し立て、免責決定を得ても、破産法第二五三条一項二号に規定する「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」に該当し、責任を免れることができません。
 ところで、民事訴訟により元理事長を訴えるには、現住所を確認する必要があります。裁判所から発送する訴状の送達を行うためです。お問い合わせのケースにおいて元理事長の現住所を確認するためには、元理事長の住民票を取得すればよいでしょう。住民票の取得は本人による申請のほか、本人から委任された者あるいは本人との利害関係(自己の権利の行使等)にある者が取得することができますが、管理組合は本人の利害関係人にあたるということになります。このとき、元理事長が住民票に記載の住所に居住していない場合には、裁判所からの訴状送達はなし得ませんが、その場合には公示送達(※)の手続きにより訴訟を行うことができます。
※公示送達とは=相手方の住所・居所が分からない場合や、相手方が海外に住んでいてその文書の交付の証明が取れないときなどに、法的に送達したものとする手続きのこと(民訴法第一一〇条)。この場合、相手方が不明の場合は申立者の住所地の、相手方の所在が不明の場合は相手方の最後の住所地の簡易裁判所が申立先になる(民法第九八条四項)。公示送達の文書は、裁判所に一定期間掲示され、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載することで送達されたものとみなされる。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2009年2月掲載

事業主が所有者として登記されている場合新所有者の基金支払義務は

理事長をしています。事業主から未販売住戸を購入した新所有者へ、管理規約(※)に基づき修繕積立基金を請求しましたが、未販売住戸の最初の所有者として事業主が登記されていたため、納入義務は事業主にあるとして管理組合の求めに応じません。新所有者に基金の支払義務はないのでしょうか。 ※管理規約では、事業主から所有権を譲渡された区分所有者は、修繕積立基金を納めなければならないと定められていた。

 お問い合わせのケースでは、管理規約に「事業主から所有権を譲渡された区分所有者に、修繕積立基金の納入義務がある」と定めているとのことです。
 そして、敷地権付区分所有建物の場合の所有権保存登記は、一旦事業主名義で登記する方法と、直接購入者名義で登記する方法とのどちらを選択してもよいことです。
 以上のことから、当該区分の第一番目の名義人になることと、修繕積立基金の納入義務とは直接的には結び付かないといえるでしょう。
 また、実質的にも、将来の建物を修繕して、その利益を得るのは、未販売住戸を購入した新所有者であることからも、新所有者が、基金の支払義務を負うことが合理的といえます。
 したがって、本件における修繕積立基金は、当該未販売住戸の購入者のみが支払義務を負うこととなります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2009年6月掲載

マンションに非居住の区分所有者からの協力金の徴収について

理事長をしています。当マンションでは賃貸化が進み、組合活動において居住所有者の負担が大きく、非居住の所有者との不公平感が増しています。よい対策はないでしょうか。

 マンションに居住する所有者と非居住の所有者の不公平を是正する方法の一つとして、非居住者に対して住民活動の協力金を徴収する方法があります。
 築年数を重ねたマンションでは高齢化や賃貸化が進み、役員の成り手がなく組合運営に支障を来しているところも少なくありません。その結果、役員に就任された方と就任を免除された方の間には、組合員としての活動に従事する方と利益のみを享受する方との不公平が生じてきます。そこで両者の不公平を是正するため非居住の区分所有者に対し、金銭的な負担を求めるというわけです。この方法の必要性や合理性については適法とされています(最高裁判例 平成二二年一月二六日)。
 ところで、築年数を重ねたマンションでは、大規模修繕工事への対応や住民の高齢化対策など、年々課題が増えていく一方です。単に金銭的負担を求めるのではなく、マンション管理の重要性と組合運営への参加やその理解を求めることが何よりも必要であり、仮に金銭的な負担を求めるにしても、徴収した金銭の使用目的を明確に示したうえで、非居住の所有者の理解を得ながら組合活動のあり方を検討されることが最も適正なことと考えます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2010年2月掲載

瑕疵担保責任の消滅時効

理事長をしています。築三年目のマンションで屋上防水の不具合から最上階の住戸に雨漏りが生じました。マンションの事業主に補修工事を依頼しましたが対応してくれません。雨漏りの補修工事は管理組合が行わなければならないのでしょうか。

 新築マンションの売買の場合で、瑕疵がマンションの構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものであるときは、マンション引き渡しのときから一〇年間は事業主が瑕疵担保責任を負うことが定められています。また、これに反する特約で買主に不利なものは無効とされています(住宅の品質確保の促進等に関する法律第九四条)。
 本問の場合、屋上防水の不具合による雨漏りは、同法により事業主側が一〇年間の瑕疵担保責任を負う必要があります。
 ここで注意が必要なことは「引き渡しから一〇年経過すれば、瑕疵担保による補修請求権や損害賠償請求権の消滅時効が成立する」ということです。
 瑕疵担保責任の消滅時効の成立を免れるための有効な措置としては次の方法があります。
  • (1)事業主に、補修の義務があることを認めてもらう。
  • (2)法的手続き(訴訟や調停など)による補修工事の実施を要求する。
    などです。注意すべき点は、内容証明郵便についてです。内容証明郵便を送るだけでは、時効は中断しません。内容証明郵便発送後、六カ月以内に法的手続きをとることで、発送時にさかのぼって時効を中断することができます。
     マンションは多くの区分所有者にとって終の棲家です。長期にわたって資産価値を維持し快適な住環境を保つことが大切です。
     まずは事業主に誠意ある対応をお願いしていきましょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2010年4月掲載

元区分所有者が利害関係人として、管理組合の会計帳簿等の閲覧請求できるか

理事長をしています。以前に区分所有者であった方が、過去の管理費の使い込み調査を目的に、管理組合の会計帳簿の閲覧を求めてきましたが、応じる必要がありますか。

 マンションの理事長は会計帳簿を作成・保管し、組合員(区分所有者)または利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、閲覧させなければなりません(区分所有法第三三条二項)。
 本問では、以前に区分所有者であった方が、利害関係人にあたるかが争点になります。
 以前に区分所有者であった方が、過去における自らが納めた管理費の使い込みという不正を調査するといっても、そもそも組合員が納めた管理費や修繕積立金は管理組合に帰属するものとされており、組合員は一度納めた管理費等について、通常は返還請求ができません。
 従って、仮に管理組合の一部の理事等に不正行為があり、管理組合が損害賠償等を請求するにしても、そのために権利を有するのは、現在の区分所有者が行うことになり、以前の区分所有者が利害関係人となりえないために、会計帳簿の閲覧請求に応じることはできません。
 ことに、管理組合の会計帳簿には管理組合の重要な情報にとどまらず、各組合員の個人情報等も多く含まれています。現在の組合員からの閲覧請求であっても、閲覧理由を記載した書面による請求をしてもらうなど、個人情報が漏れないように、その対応にも注意を払うことが必要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2010年7月掲載

管理組合で隣接地(不動産)を購入するには

理事長をしています。マンションの駐車場不足を解消するため、管理組合で隣接地の購入を検討しています。どのような手続きが必要ですか。

 管理組合が不動産を購入する場合、まずは管理組合を法人化するのが良いでしょう。管理組合法人が不動産を購入したときは、登記上の所有者を法人名で登記することができるためです。法人化していない管理組合でも不動産を購入することは可能ですが、この場合の所有権の登記は、区分所有者全員を共有者とした登記が必要となり、手続きが煩雑で困難です。
 また、不動産購入の際は、管理組合で次のような決議が必要となります。
  • (1)管理組合法人化:組合員総数および議決権総数の各四分の三以上(法人化しない場合は不要)
  • (2)不動産の購入(共用部分の変更):組合員総数および議決権総数の各四分の三以上
  • (3)議決権の持ち分割合の変更(規約の変更):組合員総数および議決権総数の各四分の三以上
     このような手続き上の煩雑さからも分かるように、管理組合による不動産の購入は、非常に大きな問題であり、慎重な審議が必要です。購入前後の利便性の比較や購入費用の妥当性などを十分に検討することはもちろん、総会招集前にも、関係資料配布や組合員説明会などを通じて、より多くの組合員の理解を求めることが重要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2011年3月掲載

理事長の管理組合費の不正使用について

私が住んでいるマンションでは、理事長による管理組合費の使い込みがうわさになっています。あくまでもうわさなので、事実を確認したいのですが、どうすればいいでしょうか。

 管理組合費の不正使用を確認するには、会計帳簿などを調査する必要があります。会計帳簿の確認作業は、他の理事や監事に依頼することが可能です。特に監事は、理事会運営の適正を監査し、組合員に報告する権限と義務があります。
 仮に理事長による管理組合費の不正使用が判明したときは、理事長に弁済を求め、これに応じない場合には、訴訟にて不法行為による損害賠償請求を行う必要も出てきます。さらに、管理組合費の不正使用は横領罪にも当たるため、刑事告訴することも可能です。
 また、不正が行われた期間に理事を務めていた組合員も、場合によっては責任を負うことがあります。理事は管理組合と委任契約があり、管理組合に対して善管注意義務があります。理事長による管理組合費の不正使用を知りながら見て見ぬふりをすれば、重大な義務違反として責任を問われる可能性は充分にありうるでしょう。
 管理組合費は日常の営繕や大規模修繕工事等に必要で、快適な住環境の整備を行いマンションの資産価値を維持していく上で非常に大切なものです。各々が自覚をもって、適正な運営に努めることが重要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2011年9月掲載

事業主との広告塔の無償貸与契約は永続的か

理事長をしています。マンションの屋上にある広告塔を分譲会社が無償で使用しています。同社が広告塔を無償使用することは、分譲時の売買契約書や重要事項説明書に記載され、管理規約にも記されています。 このまま永続的に広告塔を分譲会社に無償貸与しなければいけないのでしょうか。

 マンションを新築する際、分譲会社の社名やロゴなどの広告塔を設置する事例があることはよく見受けられます。このような場合、多くの分譲会社は、分譲時の売買契約書や重要事項説明書、管理規約に記載の容認事項などに、分譲会社による広告塔を設置するために、共用部分の無償使用を承認する旨を記載し、マンション購入者の承諾を得ていることが一般的です。
 本問では、広告塔を設置した共用部分の無償による専用使用(民法第五九三条 使用貸借に該当する)が永久に継続できる権利か否かが争点となります。
 過去の判例では、次のような判断がされています。
(1)たとえ分譲時に、売買契約書や重要事項説明書、または管理規約などで事業主に対する広告塔の無償貸与(使用貸借契約の締結)を約束していたとしても、これは永続的に続くものではない。
(2)一定期間経過後は、広告塔の使用を終了するか、使用料を支払う賃貸借契約に変更するかの対応が必要である。
 その理由は、共用部分に対する区分所有者の経済的負担と分譲会社の経済的利益とに不公平があるとすれば、社会通念上において相当ではないと思われるからです。
 なぜなら、分譲会社が共用部分を無償使用することによる経済利益を上げ続ける一方で、区分所有者が生活上の利便性の向上などもないのに、分譲会社に対して無償使用させ続ける法的利益を認めることは、健全な社会通念を逸脱しているといえるからです。
 このように、分譲会社が共用部分である屋上を無償使用して広告塔を建てているマンションがある場合には、いつまでもマンション購入者の経済的負担に甘んじるのではなく、相応の経済的負担を負う必要がありますし、分譲時においては、無償使用の期限など(例えば、無償期間を三年間とする、全戸の分譲が終了した場合)を明確に規定し、将来の無用なトラブルを避ける必要があります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2011年12月掲載

携帯電話基地局を屋上に設置するには

理事長をしています。携帯電話会社からマンションの屋上に携帯電話基地局を設置させてほしいとの申し入れがありました。設置に当たっては(屋上を借り受けるための)賃借料も支払っていただけるとのことで、理事会としても前向きに検討したいと考えていますが、管理組合としてはどのような手続きが必要ですか。

 携帯電話基地局をマンション共用部分である屋上に設置する行為は、「共用部分の変更」に当たります。
 区分所有法では、「共用部分の変更」は原則として、区分所有者および議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議(特別決議)としていますが、例外的に、共用部分の形状または効用の著しい変更を伴わない場合においては、区分所有者および議決権の各過半数による集会の決議(普通決議)と定めています。
区分所有法〈抜粋〉
(共用部分の変更)
第一七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
(共用部分の管理)
第一八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。 
 お問い合わせのケースでは、分譲マンションの屋上に携帯電話基地局を設置することが、共用部分の形状または効用の著しい変更を伴うことなのか、また、専有部分の使用に特別の影響を与えることなのかが問題となります。
 一般的には基地局を設置したとしても建物の外観に著しい影響を与えているとはいえず、過去の判例でも、『基地局の設置は屋上の形状や効用に著しい変更が生じるとはいえず、また専有部分に特別な影響を与える事実はないとし、共用部分の管理に関する事項として普通決議で足りる。』との判断が下されたものがあります(平成二一年二月二八日 札幌高裁)。
 しかし、設置される基地局の荷重によっては、建物の構造に悪影響を与える可能性もありますので、事前に専門家に相談し、建物の構造上問題ないことを確認した上で総会の議案とするのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2012年5月掲載

不要になった積立金を各区分所有者に返還できるか

理事長をしています。テレビ電波のデジタル化(地デジ化)が完了し、当マンションが周辺住宅へテレビアナログ電波を供給するために保有していた電波障害対策施設が不要となりました。そこで、当該施設の維持管理費用としてこれまで各区分所有者より徴収していた積立金を、組合員へ返還することを検討しています。返還することに何か問題はありますか。

 管理組合に積み立てられている維持管理費用を各区分所有者に返還することは、区分所有者全員が共有する管理組合の財産の処分に当たります。区分所有法では財産の処分について特段の定めがないため、民法の規定に基づいて区分所有者全員の合意が必要です(民法第二五一条)。
民法第二五一条(共有物の変更)
 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
 なお、国土交通省が作成したマンション標準管理規約では、「組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない」と定めています(標準管理規約第六〇条五項)。マンションでは、快適な住環境を確保し、資産価値の維持・向上を目的として管理費や修繕積立金等を徴収しており、この目的はマンションが存続する限りにおいて永続的なものだからです。この趣旨に従うと、本問のケースでは、積み立てられた維持管理費用は、管理費や修繕積立金等の他の費目に移して、将来の維持管理や修繕に備えることが望ましいといえるでしょう。 

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2012年8月掲載

監査を外部の専門家に依頼することは可能か

理事長をしています。当マンションでは会計監査業務について、公認会計士などの外部の専門家に監査を依頼することを検討しています。このようなことは可能なのでしょうか。ちなみに当マンションの規約は、標準管理規約に準じています。

 標準管理規約では、第四一条一項にて「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査する」とされていますが、第三五条二項において「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する」と記載があるため、組合員以外の者を監事として選任することはできません。
 従って、今回のケースでは、標準管理規約第三四条の「専門的知識を有する者の活用」が考えられます。同条では「管理組合は、マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる」と定められていますので、専門的知識を有する者に監査の援助を求めることができます。
 なお、公認会計士に監査の援助を依頼すれば、費用がかかりますので、外部の専門家に監査を依頼することおよび報酬金額について総会で事前に承認を得ておくのがよいでしょう。その場合、具体的な依頼先については理事会決議で問題ないといえるでしょう。 

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2014年7月掲載

インターネットを利用していない区分所有者に利用料金を負担する義務があるか

私のマンションは、管理組合にてインターネット設備を有し、プロバイダー契約を締結することで居住者がインターネットを利用することができます。また、インターネット利用料金については、各区分所有者の負担であることを管理規約に明記しています。このたび、管理組合より各区分所有者へインターネット利用料金の請求を行ったところ、ある区分所有者が当該インターネットを利用していないことを理由に支払いを拒否しています。インターネットを利用していない区分所有者は、利用料金を負担する義務はないのでしょうか。

 マンションの各戸に対してインターネットサービスを提供するために締結されたインターネット接続回線契約やプロバイダー契約に基づき発生する費用は、一見するとインターネットを実際に利用していない者にとって負担すべき根拠がないようにも思えます。しかしながら、そのようなサービスがマンション全戸に一律に提供されているということは、マンションの資産価値を増す方向で反映されていることから、これらに要する費用についても、マンションの資産価値の維持ないし増大に資するものといえます。よって、各区分所有者がインターネットサービスの利用の有無にかかわらず、その費用支出による利益を受けていることから利用料金を負担することは妥当といえます。
 なお、本マンションでは管理規約にインターネット利用料金を各区分所有者にて負担することを定められていますので、インターネットを利用していない区分所有者も当然に利用料金を管理組合に支払う義務を負うことになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2015年5月掲載

マンションでの民泊とは

マンションで民泊を行うことができるようになったと聞きました。どのようなことか教えてください。

 2017年6月9日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立しました。
 来春施行予定とされていますが、法が施行されれば、都道府県に届出をすることで、マンションにおいても、年間180日を上限として民泊として利用することができることとなります。
 国土交通省は、住宅宿泊事業法(民泊)について、管理規約で可能か禁止かを明記することが望ましいとし、さらに個別のマンションの事情によっては、「住宅宿泊事業者が同じマンションに居住している場合に限り可能とするケース」や「自己の生活の本拠として使用している専有部分において宿泊させる場合に限り可能とするケース」も考えられるとコメントしています。
 多くの居住用マンション管理規約では、専有部分の用途を、「専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」と定められていると思われますが、この記載のみでは、民泊新法で認められる民泊営業を禁止していることになりません。
 各マンション管理組合においては、マンション内での民泊営業の是非を検討し、その結果に基づき管理規約を改定しておくことが望ましいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2017年8月掲載

部屋を売却した人からの会計帳簿の閲覧請求に応じる義務があるか

理事長をしています。部屋を売却し退去された方から「納入した管理費等の使い方で気になることがあるので組合会計帳簿を見せてほしい」との連絡がありました。組合会計帳簿を見せなければならないでしょうか?なお、マンションの管理規約はマンション標準管理規約に準じた内容となっています。

 マンション標準管理規約の第64条では「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。」と記載されていますが、本件においては退去した方が「利害関係人」であるかが問題となります。
 平成15年5月21日の東京地裁判例によれば、会計帳簿を「閲覧の対象となる会計帳簿等の書類には控訴人(管理組合)の団体としての信用に係る具体的情報のみならず組合員各人のプライバシーその他の個人情報が載っているもの」であり、「相当な理由が明示されない閲覧請求は理事長において拒絶し得るもの」としています。
 また、そのような会計帳簿を閲覧できる「利害関係人」とは現在の区分所有者(組合員)以外に例えば「区分所有者からその専有部分の貸与を受け、管理組合にその旨の届出があった者又はその同居人、管理組合との間で組合管理部分について貸与、管理受託その他の契約関係を有するもの等でその地位と当該閲覧請求との間に法律上の関連性が認められる者」としています。
 売却により退去し、マンション管理組合の組合員の資格を喪失した方については上記の「利害関係人」にはあたらないと考えられるので、会計書類を開示する必要はないでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2018年3月掲載

罹災証明書とは

罹災(りさい)証明書とはどのような書類なのですか?

災害対策基本法に基づき、地震や台風などの天災や火災などの災害によって住居が被害を受けた場合、被害の程度に応じて自治体が被害を認定してくれる証明書のことを罹災証明書といいます。自然災害による被害を受けた場合は自治体が、火災による被害を受けた場合には消防署が罹災証明書を発行します。
 罹災証明書は各種被災者支援策※の適用の判断材料として幅広く活用されており、多くの行政支援策の申請手続きにおいて罹災証明書の添付が必須となっています。逆に言うと罹災証明書の発行を受けなければこれら行政支援の適用を受けることができませんので、被災された場合には速やかに罹災証明書の発行申請を行うことをお勧めします。
 被災者から市町村へ罹災証明書の発行申請後、被害状況の調査を経て発行となりますが、大規模な災害の場合には発行まで相当の日数がかかる場合もあります。
 被害の程度については、主に下表のような4段階の基準が設けられています。被害の程度によって支給可否、支給額等が変更となるものもありますので、都度各自治体のホームページ等で確認してください。
※被災者支援策の例
「税金、国民健康保険料の減免」「被災者生活再建支援金の支給」「住宅応急修理制度の活用」「災害援護資金の利用」「民間金融機関からの借入条件の優遇」「私立学校の授業料減免」「保険金の支給」等

災害の被害認定基準

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2018年10月掲載

「新4K8K衛星放送」についてどのような対応が必要か

2018年12月1日より本放送が始まる「新4K8K衛星放送」について、管理組合としてどのような対応が必要でしょうか。

 「新4K8K衛星放送」とは、従来のハイビジョン放送に比べ、より高精細で美しい映像を視聴することができる、新しい衛星放送のことを指します。
 マンションなどの集合住宅において「新4K8K衛星放送」を視聴するためには、「新4K8K衛星放送」の視聴に対応したパラボラアンテナ、ブースター、壁面端子への取り換えなど、共用部分の改修工事が必要となることがあります。ブースターや壁面端子を取り換えずにパラボラアンテナだけを施工した場合には、電波が外部に漏れだし、無線Wi-Fiの利用ができなくなるなどの通信障害がマンション内で生じる恐れがあるために、注意が必要です。
 ケーブルテレビで受信する場合は、ケーブルテレビ設備の改修工事等が必要となることがあるため、事前に管理会社、または、ケーブルテレビ事業者に確認された方がよいでしょう。
 なお、「新4K8K衛星放送」の本放送が始まっても、現在の地上デジタル放送、BS放送、110度CS放送については、引き続き視聴が可能です。「新4K8K衛星放送」の視聴について、どの程度の居住者のニーズがあるか、また、改修工事にどの程度の費用がかかるか等を調査した上で、管理組合として検討を進めることが望ましいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2018年11月掲載

個人情報取扱事業者としてどのようなことに注意すべきか

今、私は管理組合の役員をしていますが、個人情報保護法が改正されたことにより、管理組合も個人情報取扱事業者になったと知りました。管理組合としてどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。

 平成29年5月に改正個人情報保護法が施行され、改正前は、5000人以下の個人情報を取り扱う事業者は法の対象外となっていましたが、改正後はこの規定は廃止となり、個人情報を取り扱う「全ての事業者」に適用されることとなりました。
 この「全ての事業者」は法人に限らず、マンションの管理組合、NPO法人、自治会や同窓会なども含まれますので、管理組合の運営をするうえで、各居住者の個人情報を取り扱うに当たっては、次のような点に気を付ける必要があります。
 まず、利用目的をできる限り特定しなければならない(個人情報保護法第15条第1項)とされていますので、特定した利用目的はあらかじめ公表しておくか、個人情報を取得する際に本人に通知する必要があります。また、個人情報を書面で取得する場合は、利用目的を本人に明示する必要があります(同法第18条第2項)。
 また、取得した個人情報を書面で保管する場合は、施錠できる場所での保管、パソコン等でデータ保管する場合は、ファイルにパスワード設定を行うなど、漏えい防止のために適切な措置を講じなければなりません(同法第20条)。
 なお、取得した個人情報の利用は、特定した利用目的以外に利用することはできません。特定した利用目的以外に利用する場合には、変更した利用目的の通知・公表等をあらためて行い、本人の同意を得る必要があります。
 また、個人情報を第三者に提供するときは、警察や裁判所、税務署等からの照会など法令に基づく場合や、人の生命・身体・財産の保護に必要で本人の同意を得ることが困難である場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得る必要がありますので、注意が必要です(同法第23条)。
 管理組合としては、個人情報の取扱いを明確にする方法として、組合員情報等を集める際の届出書に、あらかじめ利用目的を記載しておいたり、個人情報取扱細則を定めておくと良いでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2019年2月掲載

民泊の営業を防止するには

マンションの一室を利用した民泊の営業が行われた場合、どんなトラブルが想定されますか。また、民泊の営業をされたくない場合どうすれば良いでしょうか。

 マンション内で民泊の営業が行われることによりさまざまなトラブルが起こるリスクがありますが、中でも、日本語が通じない、または、日本の慣習を理解していない外国人利用者によるトラブルが想定されます。よくある事例としては、ベランダなどの場所で昼夜問わず騒ぐなどの騒音トラブル、エントランスやマンション周辺でたむろすることにより、見慣れない外国人が生活環境に入っていることに不安を覚え、居住者の平穏が脅かされるといったトラブルが挙げられます。
 また、ゴミ捨てのルールを把握していない場合、ルールに沿わないゴミの廃棄がなされることにより、マンションの美観が損なわれる等のトラブルが起こる恐れがあります。
 民泊紹介サイトにて、ゲストルーム・バーベキュースペース等の共用スペースが利用可能であると紹介されていれば、これらの施設が占拠され、本来利用すべき居住者が利用できなくなる恐れもあります。民泊利用者はマンションの居住者とは異なり、マンションで長く暮らしていくわけではないので、施設が乱暴に使われることも考えられます。
 さらに、万が一これらのトラブルが発生したとき、相手が日本語の通じない外国人である場合、注意を聞き入れさせることができない、または、上手くコミュニケーションが図れないことにより揉め事に発展する等、二次被害が発生するリスクもあります。
 このようなトラブルを懸念し、自らのマンション内で民泊営業を行わせないためには、管理規約を改定することで民泊業者が入り込まないように対策をとる方法があります。
 住宅宿泊事業の届出書には【規約に住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがない】ことを確認する項目がありますので、民泊業者が入居する前にあらかじめマンション管理規約を改定して民泊禁止の旨を定めておくことで、民泊事業の防止を図ることができます。ただし、民泊事業の許可を持たずに民泊事業を行う、いわゆる「ヤミ民泊業者」に対しては、管理規約改定だけでは十分な対策とはいえません。
 自らのマンションが民泊禁止マンションであることを広く居住者が認識し、認められていない民泊がマンション内で行われていないか居住者が気にかけていくことも、民泊に関するトラブルを防止するために必要となるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2019年3月掲載

豪雨災害の備えについて

マンション管理組合の理事をしています。近年、豪雨災害が全国各地で頻繁に発生しており、管理組合として検討し、何か備えをすべきと感じています。具体的に何から始めるべきでしょうか。

 例えば、お住まいのマンションは砂防指定地に指定されていますか?
 これは自治体の洪水ハザードマップや土砂災害ハザードマップにて確認することができます。身近なところから一人一人が意識を高く持つことが非常に重要です。一方で、近年のゲリラ豪雨等の異常気象下では、ハザードマップ上で危険がないとされる地域でも、河川の氾濫による冠水被害等が報告されています。これらの物損被害については、保険契約によりカバーできる場合がありますので、マンション保険に水災補償(注)を付保することについて保険代理店にご相談してみてください。
 特に、以下の条件に当てはまる場合には水災被害を受ける危険性が高まるため、早急に検討を始めることをお勧めします。
  • (1)敷地、駐車場、建物が前面道路より下がっている場合
  • (2)受水槽やエレベーター等の地下ピットがある場合
  • (3)建物の周辺に山や川がある場合
  • (4)砂防指定地に指定されている場合
注)水災補償とは、台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ等によって床上浸水または地盤面より45㎝を超える浸水を被り、損害を受けた場合等に保険金が支払われるプランです。補償内容は保険会社によって異なる場合があるため、詳しくは保険代理店にご相談ください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2019年8月掲載

管理費等は消費税増税の影響を受けるか

マンション管理組合の組合員です。2019年10月より、消費税率が10%に変更になりました。消費税増税に伴い、私たちが管理組合に支払っている管理費等も増額するのでしょうか。

 管理組合は、マンションの全ての区分所有者を構成員とする団体です。管理組合と組合員である区分所有者との間で行う取引は営業行為には該当せず、管理組合に支払う管理費等は課税対象とはならないため、管理費等は消費税増税の影響を受けません。
 また、現在は消費税率を例外的に8%に据え置く、「軽減税率」並びに「キャッシュレス・ポイント還元事業」という制度があります。
 例えば、外食を控えてテイクアウトを利用する、コンビニでは現金でなく電子マネーにて決済する等の工夫によって、消費税率を8%に抑えることができます。皆さまひとりひとりの工夫をお勧めします。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2019年11月掲載

口座の管理に負担のかからないペイオフ対策の方法はないのか

ペイオフ(預金保護)の対策のために、複数の金融機関で口座を開設しているのですが、口座が増えてしまい、名義変更等の管理をするのに負担がかかっています。何か良い方法はないでしょうか。

 ペイオフとは、預金保険法に基づき、金融機関が破綻して破産処理となった際に、預金者の預金債権を保護する仕組みです。保護される金額の上限は、元本1000万円とその利息までと決まっていますので、その対策として複数の金融機関に預金を分散させている管理組合も多いのではないかと思います。
 しかし、近年では、ご質問にあるように、預金を分散させることで管理がわずらわしくなる点以外にも新たな問題が発生しています。
 1点目はマイナス金利政策の影響による低金利により、利息よりも残高証明書の発行手数料の方が高くなり預金に管理費用がかかる問題と2点目は口座維持手数料がかかるおそれがあるという問題です。
 口座維持手数料とは、口座を持っているだけで発生する手数料のことで、日本国内で導入している金融機関はまだ少数ですが、大手銀行を中心に年間1000円程度で導入する動きが出始めています。
 このように預金を分散させることによるデメリットが多い現状を鑑みると、預金の全額を、1つの金融機関にペイオフの対象となる無利息の決済性預金口座に集約すること、もしくは、破綻のリスクが相対的に少ない大手銀行に集約することにより、管理の費用や負担を軽減してみてはいかがでしょうか。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2020年7月掲載

2020年6月公布の改正マンション管理適正化法についての注意点とは

2020年6月24日に公布された改正マンション管理適正化法について、管理組合として注意すべき点はあるでしょうか。

 今回の改正点を確認すると、国や地方公共団体に多くの役割が与えられ、マンションの管理の適正化をより積極的に推進する内容となっています。
 大きな改正点としては、マンション管理の適正化を推進するために(1)国による基本方針の作成(2)地方公共団体によるマンションの管理計画の認定制度(3)同公共団体のマンションに対する管理適正化のための指導・助言等が挙げられます。それぞれの詳細は次のとおりです。
(1)マンションの管理の適正化の推進を図るため、国土交通大臣は基本方針の策定を行います。また都道府県等はその基本指針に基づき、マンション管理の適正化の推進を図るための計画(マンション管理適正化推進計画)を作成できるようになります。
(2)管理組合は、マンションの管理に関する計画(管理計画)を作成してマンション管理適正化推進計画を作成した都道府県等の長に認定を申請することができます。都道府県知事等は基準に適合する管理計画を認定することができます。
 管理計画の記載事項としては、修繕その他の管理の方法(長期修繕計画)、修繕その他の管理に係る資金計画(修繕積立金の状況)、管理組合の運営状況(総会・理事会の定期的な開催)等があります。
(3)都道府県等は、管理組合の管理者等に対してマンション管理の適正化を図るために必要な助言及び指導することができます。また管理組合の運営が著しく不適切であることを把握したときは勧告できるようになります。
 管理計画の認定を受けるということは、適切な管理が行われているということを意味しますので、マンションの資産価値を維持するという点において効果が期待できます。
 本改正法は公布から2年以内に施行される見込みですので、認定制度に関心がある管理組合は、施行前に長期修繕計画や修繕積立金等の状況を確認し必要に応じて見直しを進めるなどの検討をしてみてはいかがでしょうか。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2020年10月掲載

民法改正による売主の瑕疵担保責任についての変更点とは

民法改正による売主の瑕疵担保責任についての変更点について教えてください。

 最も大きな変更点は、売主の「瑕疵担保責任」の規定が大幅に見直され、「瑕疵」という文言が使われず、「契約の内容に適合しない」(以下「契約不適合責任」という)という文言に変わったことです。
 そして、契約不適合責任を債務不履行責任と位置付けることによって、責任範囲や買主の対抗措置の拡大、手続きの簡略化が図られています。主な変更点は下表のとおりです。
 これまで買主には契約解除と損害賠償請求のみが認められていましたが、改正民法では「追完請求(民法第562条)」と「代金減額請求(民法第563条)」が可能となりました。瑕疵を修理し補うこと、代替物を引渡すこと、不足分を引渡すことを請求できるようになり、また、これらが売主によって為されない場合には、催告して代金の減額を求めることもできるようになっています。
 旧民法では、瑕疵を理由とした損害賠償請求および契約解除要求の権利行使は、買主がその事実を知ってから1年以内に行う必要がありました。民法改正以降は、種類又は品質に関する契約不適合を理由とする権利行使は、買主が契約不適合を知った時から1年以内に通知する必要がありますが、数量や移転した権利に関する契約不適合を理由とする権利行使については期間制限が設けられていません。この点は買主の権利と、売主の負担のバランスを図った改定となっています。
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編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2020年11月掲載

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