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店舗前のシャッターを修理した場合、その費用の負担先は

私はマンション一階にある店舗の区分所有者です。先日店舗前についているシャッターが壊れてしまい、自己の負担でそのシャッターの修理をしました。この修理費を管理組合に請求することはできますか?

 本問は、店舗前のシャッターが区分所有者の専有部分かまたは共用部分かが回答の前提になります。区分所有者の専有部分であれば、区分所有者が所有するものであり、当然修理費を負担すべきですが、共用部分であれば、管理組合の所有に属する物を区分所有者が専用使用権に基づいて使用していることになり、修理費をどちらが負担するかが問題となります。
 ところで、店舗前のシャッターが専有部分かまたは共用部分かは、通常はそのマンションの管理規約に定めがありますので、その規約に従って判断することになります。
 ちなみに標準管理規約(複合用途型)によれば、「玄関扉及びシャッターは、錠及び内部塗装部分」を専有部分と規定し、また、「窓枠及び窓ガラス」は専有部分に含まれないと規定しています。
 その趣旨は、標準管理規約では、専有部分と共用部分との境界に関して、上塗説(躯体部分は共用部分であるが、上塗り(クロスなど)を専有部分とする説)を採用し、シャッターなども外気を遮断する躯体部分に類する物と考えられるのと、これを専有部分とすると、区分所有者は玄関扉の形状を変えることができるために、マンションの外観が不統一な様相になることもあり、これを防止する趣旨をも含んでいます。
 そうすると、区分所有者は、管理組合からシャッターの専用使用権を認められ使用していることになりますが、専用使用権が認められた共用部分の管理は、通常の使用に伴う破損については、専用使用権を有する者がその責任と負担において管理するものとされています。以上によれば、本問の回答は、管理規約により、シャッターが専有部分に属する場合または、共有部分に属する場合でも、区分所有者の通常の使用に伴う破損の場合、いずれも区分所有者がその修理費を負担することになり、共用部分に属する場合で、通常の使用に伴わない長期間の使用による劣化によるなどの破損の場合のみ、管理組合が修理費を負担することになり、区分所有者は管理組合に対し、立て替えた修理費を請求することができることになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2003年12月掲載

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