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「水道料金差益」とはどのようにして生まれるものなのか

「水道料金差益」とはどのようにして生まれるものなのでしょうか?また、この利益の帰属先は区分所有者個人または組合どちらのものとなるのでしょうか。

 ほとんどの自治体の水道料金体系では、使用量が増えると段階的に単価(一立方メートル当たりの料金)は高くなっていきます。マンションの場合、マンション管理組合(以下組合という)と自治体との間で親メーターを設置して、各住戸と管理組合との間には子メーターを設置して、水道水を供給することがよくあります。この場合には、組合が自治体に親メーターの使用料を一括して支払うことになりますが、使用料が多くなり単価が高くなるために、本来の使用料よりも高額な負担となります。しかし、多くの自治体では水道料金算定の際の共同住宅用の割引制度があり、申請によってマンション全体の使用量を戸数割りした場合の低い単価が適用されることとなります。この場合、各戸の水道の平均使用量が多かったり、使用量が少なく基本料金以下であったりする住戸がありますので、各住戸の使用量に対して自治体の定める水道料金を計算した上で全戸分の合計を求めると、自治体から組合への請求額と比べて、若干の差益が生じてくることとなります。
 本題の水道料金差益の帰属先についてですが、管理組合が自治体に一括してマンション全体の(個人の水道使用料も含む)水道料金を支払い、その後、各区分所有者に使用量に応じて請求するといった方法は、考え方を変えれば、まず管理組合が「水」を自治体から買取り、その買取った「水」を各区分所有者に販売(請求)しているともいえます。それゆえ、管理組合は区分所有者に対して水道料金の支払を請求する権利を有していることとなります。ですから、この請求方法によって生まれてくる差益は組合に帰属するものであると考えられます。
 また、水道メーターの故障や、交換の際は管理組合がこれらの費用を負担することになるので、差益を組合に帰属させ、将来に備えて資金を蓄えておくことも必要であり、そのことによりマンションの資産価値を保つ観点からも組合に帰属するという考え方が適当であるといえるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2001年12月掲載

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