マンション管理に関する法律トラブル相談室その他


事業主に預託した管理費等について

新築マンションの部屋を購入しました。入居時に管理組合に支払ってもらうべく管理費をそれぞれ三カ月分(三万円)と修繕基金(三〇万円)を事業主(販売主)に預託しました。入居して二カ月たちますが、いまだに事業主より管理組合の口座に振り込まれていないようです。万一、事業主が倒産などによって支払うことができなくなってしまった場合、私は再度管理組合へ管理費と修繕基金を支払う必要があるのでしょうか。

 管理費と修繕基金(以下管理費等という)は、区分所有法第一九条に「その持分に応じて共用部分の負担に任じ」と規定し、また、標準管理規約第二五条によれば「敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため管理組合に納入しなければならない」と規定されているので、分譲マンションの購入者(区分所有者)は管理組合に対して管理費等を支払う義務があります。
 ところで、分譲マンションの新規販売の時点では、事業主が管理組合を代理(事務管理なども考えられます)して、購入者から管理費等を集金することになり、このことは、管理組合(購入者全員で設立されることになる)もこれを了承しているので、購入者が事業主に管理費等を支払えば、管理組合に支払ったことになります。
 それゆえ、それ以後は、管理組合は事業主に対して、購入者が支払った管理費等の支払いを請求することになり、購入者に請求することはできないと考えられます。
 実際の問題として、事業主は管理組合を代理して、管理費等を集金していますので、委任者である管理組合に対して、管理組合の預金口座を開設し、その日か翌日には、それに入金すべきであると考えられますし、いくら遅くても、規約で定められたその月の末日までには入金しなければならず、入金しない場合には、債務不履行となり、管理組合も法的処置をとる必要があります。
 また、設問にあるように、万一、事業主が倒産などして支払いができなくなった場合は、管理組合が破産法等の債権回収手続きをとることになり、個々の購入者(区分所有者)には改めて管理費等を支払う義務はないと考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2004年9月掲載

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