マンション管理に関する法律トラブル相談室その他


元区分所有者が利害関係人として、管理組合の会計帳簿等の閲覧請求できるか

理事長をしています。以前に区分所有者であった方が、過去の管理費の使い込み調査を目的に、管理組合の会計帳簿の閲覧を求めてきましたが、応じる必要がありますか。

 マンションの理事長は会計帳簿を作成・保管し、組合員(区分所有者)または利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、閲覧させなければなりません(区分所有法第三三条二項)。
 本問では、以前に区分所有者であった方が、利害関係人にあたるかが争点になります。
 以前に区分所有者であった方が、過去における自らが納めた管理費の使い込みという不正を調査するといっても、そもそも組合員が納めた管理費や修繕積立金は管理組合に帰属するものとされており、組合員は一度納めた管理費等について、通常は返還請求ができません。
 従って、仮に管理組合の一部の理事等に不正行為があり、管理組合が損害賠償等を請求するにしても、そのために権利を有するのは、現在の区分所有者が行うことになり、以前の区分所有者が利害関係人となりえないために、会計帳簿の閲覧請求に応じることはできません。
 ことに、管理組合の会計帳簿には管理組合の重要な情報にとどまらず、各組合員の個人情報等も多く含まれています。現在の組合員からの閲覧請求であっても、閲覧理由を記載した書面による請求をしてもらうなど、個人情報が漏れないように、その対応にも注意を払うことが必要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2010年7月掲載

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