マンション管理に関する法律トラブル相談室売買及び賃貸に関すること


所有権移転届を提出してくれない場合の管理費等支払義務者は

理事長(管理者)をしています。このたび、ある部屋で売買が成立し、区分所有者が変更になりました。しかし、新区分所有者(A氏)に何度督促しても、「所有権移転届」を提出してもらえません。マンションの管理規約には、「新たに組合員の資格を取得した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない」とあります。登記簿謄本を確認したところ、確かにA氏に所有権は移転していました。「所有権移転届」の提出がなくても、管理組合としては登記簿謄本を確認した上で、A氏に管理費等の請求をおこしてもいいのでしょうか。

 マンションの区分所有者は、規約の定めに従って、毎月管理費等を支払う義務が発生します。売買などで、新たに所有権を取得した区分所有者も同様です。しかしながら、管理組合は、売買などでいつ誰が区分所有者になったのかを常に把握しておくことは困難です。そのため、管理組合は管理規約などで、所有権の移転があった場合には書面で組合員の資格を取得した旨を届け出るように定めているのが一般的です。
 本問のケースでは、新たに区分所有者になった人(A氏)が「所有権移転届」を提出しない、ということですが、幸いなことに、管理組合で区分所有者が変更になったという情報を得ています。前述した通り、区分所有者であれば、「所有権移転届」を提出しようがしまいが、管理費等の支払い義務を負うのは当然のことです。したがって、登記簿謄本で新区分所有者がA氏であることを確認した上で、A氏に管理費等を請求して全く問題はありません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2008年9月掲載

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