マンション管理に関する法律トラブル相談室売買及び賃貸に関すること

賃貸に出した場合の管理費の支払いは

マンションを他人に賃貸することになりました。以後、管理費は賃借人から支払うことにしたいのですが。

 管理費とは、敷地および建物の共用部分の維持管理に要する費用であり、区分所有者が通常はその共用持分に応じて負担することとなっています。
 一般的には規約で「区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、管理費等を管理組合に納入しなければならない」と定めてあります。
 区分所有者が、専有部分を賃貸した場合には、賃借人はその借室の賃料を賃貸人である区分所有者に支払うもので、管理費もその賃料の算定要素の一つとして含まれるでしょうが、賃借人が直接負担するものではありません。
 賃借人に管理費の支払いをさせた場合には、賃借人と区分所有者の責任が不明確となり、未納管理費の督促に支障をきたすことが予想されます。賃借人の賃料(管理費を含む)の滞納は、あくまでも貸主である区分所有者と賃借人との問題です。賃借人の賃料滞納を理由に、区分所有者が管理費を滞納するなど論外です。管理費の負担義務は、自ら居住しているか否かによるものではなく、区分所有者としての基本的な義務であるとご理解ください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1990年8月掲載

駐車場の専用使用権は売買できるか

共用部分の駐車場を契約していた区分所有者が、駐車場付でマンションを転売されました。管理規約には「専有部分を譲渡した場合駐車場の専用使用権は消滅する。」とあります。新区分所有者は旧区分所有者との売買契約をタテに駐車場の解約には応じるつもりはないと言っています。

 駐車場のように敷地や建物共用部分の一部を排他的に使用できる権利を専用使用権と呼びます。専用使用権には区分所有権(マンションの所有権)に付随しており、売買の対象となるものと、管理組合との契約により発生しているため売買の対象とならないものとの二種類に分けることができます。前者は専用庭、バルコニー、ルーフバルコニーなどで、後者は本件の駐車場や、貸し倉庫などです。
 本件の場合は、規約の定めにより旧区分所有者から新区分所有者にマンションの所有権が移転したと同時に駐車場使用契約は失効しています。現在の状況は駐車場契約の締結もないまま不当に駐車場を占拠しているわけです。区分所有者間の売買契約書の中で、仮に駐車場の専用使用権を継承する旨の記述があったとしても、それは管理組合に対して法的効力のない事柄が記載されたにすぎません。当事者である新区分所有者の間でこれを理由に値引きや場合によっては契約の解約といった紛争にまで発展する可能性があります。いずれにしても本件は管理組合には関係のない不動産売買取引上の問題です。新区分所有者にはこのことをよく説明し理解を得てください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1990年10月掲載

中古マンションを購入する場合の注意点は

中古マンションを買う場合、注意すべき点を教えてください。

 マンションを購入する場合は広さや間取り、外観や立地条件に重点が置かれがちですが、実際に居住して快適な生活が送れるか否かは管理の良し悪しにかかっているといえるでしょう。中古マンションを購入する場合に注意すべき点をいくつかあげてみます。
  • (1)管理規約が設定され、規約に基づき管理組合が公正に運営されているか
  •   管理規約及び総会議事録は保管場所を明示して利害関係者に閲覧させることとなっています。管理規約の内容や過去の総会での決定事項について確認されると良いでしょう。
  • (2)管理費等の未納はないか
  •  管理費、修繕積立金等を前の区分所有者が滞納していた場合、仮にあなたがそれを知らずにマンションを購入したとしても未納管理費等の支払について責任が発生します。宅地建物取引業者やマンションの管理会社に未納管理費の有無を確認してください。
  • (3)管理会社とその委託内容は
  •  「自主管理」で清掃なども入居者で行うといったマンションもありますが、多くのマンションでは専門の管理会社に管理業務を委託しています。事務管理、会計管理業務まで含めて委託する「総合管理」か、設備点検や清掃業務に限って委託する「部分管理」なのか。委託管理の場合にはその内容をよく確認しておきましょう。また管理会社は信用と実績のある業者でしょうか。
  • (4)修繕計画と修繕基金
  •  マンションも古くなってくると屋上の防水や外壁の塗装などでまとまった資金が必要となってきます。修繕基金が十分積立てられているかその残額について宅地建物取引業者に確認してください。長期修繕計画が作成され、それに基づいて資金計画が立てられていれば安心です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1991年1月掲載

賃貸に出している住戸の水道料金請求先は

私のマンションでは、管理組合で各家庭の水道メーターを読み取って、水道代は管理費等と一緒に銀行引落です。部屋を賃貸に出していますので、賃借人から集金してほしいのですが。

 建物の構造や自治体の取り扱い上の理由によって、管理組合がマンション全体の水道料金を一括して水道局へ支払うマンションでは、管理規約の定めもしくは総会の決議によって各戸の水道料金を管理組合で検針・請求することとしています。あなたの場合他人にマンションを賃貸しているとのことですが、マンションを賃貸するのは区分所有者と賃借人との契約の問題です。賃貸借契約によっては水道料金を賃料に含む例や、毎月定額で清算するといった例もあります。すなわち、どのような賃借人を選び、水道料金についてもどのような取り決めをするかは、個々の区分所有者が決定されることで、管理組合はこの契約に直接の関わりはありません。また賃借人を相手として請求した場合、転出などで賃借人から水道料金をとりはぐれるおそれもあります。請求の相手方が区分所有者であれば水道料金の未納があっても管理費の滞納に準じた取り扱いができますので、他の債権に優先して先取特権が保証され、集金事務を円滑に行うことができるのです。区分所有法には「規約又は総会の決議に基づき区分所有者が他の区分所有者に対してする債権は債務者の区分所有権の上に先取特権がある」との定めがあります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1991年3月掲載

転売後で未登記のマンションの議決権は

マンションを転売することになり、売買契約は結びましたが、所有権移転登記はまだです。総会で議決権をもつのはどちらですか。

 動産・不動産にかかわらず物の所有権の変動は当事者が意思表示をするだけで行うことができます(マンションのように不動産については、所有権を第三者に対抗して主張するには登記が必要となります)。そこで、売買当事者間に特別な約束がある場合を除いて所有権の移転登記がまだでも売買契約が結ばれていれば、所有者の変更があったものとして、買主が議決権を持つことになります。さて、両当事者の間に、マンションの所有権をめぐって争いが生じている場合はどうでしょうか。売買契約書や組合宛の両当事者からの所有権移転届など、当事者の意志を確認する証拠となるものがない場合、本当の所有者が不明ですから、登記名義人を所有者と推定して議決権を認めるのが無難です。転売の際には、議決権の行使者や管理費等の負担者、駐車場の契約者などに変更が生じますから、管理組合は事務整理上、所有権移転届の様式を定めて、組合員に届出を義務付けるのが良いでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1992年1月掲載

専属専任媒介契約について

現在所有しているマンションを売却するために以前よりA不動産会社へ仲介を依頼していました。たまたま購入を希望する知人から声がかかり、その知人と売買契約を交わしたところ、A不動産会社から専属専任媒介契約に違反するとの理由で違約金の支払いを請求されました。どうすればよいのでしょうか。

 不動産の売買は宅地建物取引業法に従って行われます。仲介を依頼する場合、大きく分けて一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の三形態があります。問いの専属専任媒介契約とは、依頼者は媒介契約をした業者の探した相手以外とは契約を結べないというものです。この専属専任媒介契約とその他の契約の大きな違いは、自ら買主を探して契約を結ぶこと(自己発見取引)が禁止されている点です。問いのケースではこの規定に違反となりますので、あなたは違約金の支払い義務を負わねばなりません。違約金はその媒介契約の報酬額の上限(四〇〇万円以上の物件では六万円+販売価格の三%)に相当する額までです。
 では、どうすればよかったのでしょうか。この専属専任媒介契約は依頼者に対する拘束が強いだけに依頼者の保護の観点から不動産会社への規制も設けられています。積極的努力義務として、媒介契約締結から五日以内に指定流通機構に登録し、相手方を検索しなければなりません。又、業務の状況を一週間に一回以上依頼者に報告する義務を負います。不動産会社が以上の義務を果たさない場合は、法的手順によってその媒介契約を解除できます。又、義務違反を根拠としなくても、あなたは任意に契約を解除することができます。その際、不動産会社から解除までにかかった費用の返還を請求される場合があります。支払う額を考慮すれば、自己発見取引をする前に専属専任媒介契約を解除することが望ましかったといえます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1993年12月掲載

転勤の間部屋を貸していたが

転勤のため、自己所有のマンションを二年契約で賃貸に出していましたが、転勤先から戻る時期が決まりましたので、それに合わせて借家契約を解約したいのですが、どうすればよいのでしょう。

 借家契約の解約を貸主から申入れる場合、期間満了の一年から六ヶ月前までに借主にその旨を伝える必要があります。その後、期間満了と共に借家関係が終了となります。ただ、期間満了後でも借主が貸主の申し出を拒否して部屋を利用しつづけている場合は、貸主が遅滞なく異議を述べないと、契約は存続することになり、再び借主に借家権が発生します。また、貸主から解約申込をするには、自ら使用することを必要とするなど「正当の理由」がなければなりません。本問では、自ら使用することを必要とする場合に該当しますが、「正当の理由」は賃貸借当事者双方の諸事情を広く考慮して判断されることになります。その結果として、相当な代替家屋や立退料を提供する必要がある場合もあります。なお、本件ケースのように一定期間のみ他人に部屋を貸し、その後自分で住みたい場合は平成四年八月一日施行の借地借家法第三八条に規定された「賃貸人の不在期間の建物賃貸借」の締結を申し出るとよいでしょう。これはやむをえない事情がある場合に限って、契約の更新・存続がない旨の特約ができるというものです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年3月掲載

賃貸の契約に関する法律とは

四月から転勤となったため、部屋を賃貸に出そうと思っていますが、賃貸の契約に関する法律が改正となり二〇〇〇年三月一日より施行されたということを聞きました。何が変わったのでしょうか。

 従来の「借地借家法」が改正され、二〇〇〇年三月一日より「定期期限付借家契約」が締結できるようになりました。
 従来の借家契約は、正当な理由がない限り、家主からの更新拒絶ができず自動的に契約が更新されていましたが、今回の借地借家法の改正により定期借家契約は契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に借家契約が終了することになります。
 例えば、転勤期間が三年間でマンションに戻ってくることがわかっている場合、三年間の定期借家契約を結ぶことによって三年後には必ずマンションを明け渡してもらうことになるわけです。
 ただし、家主は、その契約期間の満了以前(契約期間により予告期間がちがいます)に建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければなりません。
 この定期借家契約を結ぶ場合は「やむを得ない事情を記載した書面によってしなければならない。」(同法第三八条第二項)ので、転勤などやむを得ない事情により、確定した期限付借家契約を結ぶ旨を記載した契約書の中に、この特約を入れておかなければなりません。一般的には、公正証書などによって契約書を作成するのが安心です。もし、この特約を記載していないと定期借家契約としての効力がなく、従来の借家契約となりますので注意が必要です。
 尚、定期借家契約は原則、借家人、家主とも中途解約はできません。
 また、二〇〇〇年三月一日より以前に結ばれた借家契約については従来通りの契約の効力となります。しかし、借家人、家主の双方が合意した上で従来の借家契約を終了させれば新たに定期借家契約を結ぶことはできます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2000年4月掲載

手付金を支払ったが

マンションの購入契約をして宅建業者に手付金を支払いました。しかし、別に安いマンションが見つかり、そちらを購入したいので、以前の契約を解除しようと思います。その場合、手付金はどうなるのでしょうか。

 手付金は不動産購入契約にはつきもので、契約が成立した証拠としての証約手付の他、一般的には違約手付・解約手付と称されるものがあります。違約手付とは相手方に契約違反があった場合、損害賠償予定額として没収できるものです。次に解約手付とは支払った手付の放棄、又は受け取った手付の倍額を返還することによって契約が解除できるものです。俗に言う「手付流し」「手付倍返し」がこれにあたります。
 契約書で手付金の取扱いについて明記してあるはずですが、特に宅建業者が売主であるときはどんな手付でも解約手付とみなされます。
 さて、本件は宅建業者との売買ですから解約手付の性格を有しますので、買主から契約解除する場合は、手付金を放棄することになります。ただし、手付金として宅建業者が受領できるのは代金の二割までと制限されていますので、それを越えた額は内金となり、返還請求できます。
 問いのケースで、売主が宅建業者でない場合は、違約手付の場合もありますので、契約条項はよく注意して読んでください。尚、ローンが借りられたら買いたい(ローン特約)、現所有物件の売却資金で買いたい(買換え特約)という場合には、ローンや買換えができないとき解約できる旨の特約を入れておけば、手付の返還請求ができます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年6月掲載

家賃の値上げは困難か

所有マンションを賃貸に出そうと思います。将来的に家賃を増額することは困難なのでしょうか。

 借家契約で家賃を定めておいても、時の経過で貨幣価値が変わるとか、固定資産税が変わるなどの変化によって、家賃の額が不相当になってくることは現実にはよくあることです。そのような場合、当事者はその変化に応じて家賃の増減を請求することができます。
 貸主が家賃の増額を求める場合、借主がそれに応じて話し合いで新たな額が決まれば、その額が新たな家賃の額となります。しかし、話し合いがまとまらなければ、調停の申し立てを行い、調停でも話し合いがまとまらなければ、裁判で決めることになります。ただし、調停手続きの中で貸主と借主の間でかなりのところまで歩みよっても最終的にはどうしても合意に至らない場合もあるでしょう。
 このような場合に有効なのが、「調停条項の裁定」の制度です。当事者間に「調停委員会が定める調停条項に服する」という書面による合意があれば、調停委員会が解決案を定め、当事者はそれに従うこととなります。この書面による合意は調停が申し立てられた後になされたもののみ有効です。
 また、紛争をあらかじめ防止する趣旨も含めて、固定資産税の増額などに応じて家賃を増額させていくという特約も有効な場合がありますが、将来的に家賃の額が不相当になった際、やはり当事者間で協議することとなります。いずれにしても借主と協議して、合意することが、円満な解決方法といえます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年8月掲載

貸室の修理は誰がするのか

マンションの部屋を貸しています。借主から、壁面の照明スイッチの接触が悪いので直して欲しいと連絡を受けました。私が修理費用を負担しなければならないのでしょうか。

 賃貸借関係において貸主・借主どちらが修繕義務を負うかについては、あくまで賃貸借契約での定めによります。ところが、修繕義務の範囲については契約書に明記していないこともあるようで、しばしばトラブルの原因になっています。
【使用状況によるものは借主負担】
 家屋の賃貸借においては所有者である貸主が破損箇所の修繕を負担するのが原則です。しかし、借主がたばこをよく吸うために壁紙が汚れたというような場合にまで、その張り替えを貸主が負担するのは公平とはいえません。契約において修繕義務の範囲を明記していない場合、公平の原則や慣例により次のように区別するのが妥当でしょう。
 (1)借主負担…使用状況によってその劣化、破損に影響を受けるもの、畳・ふすま・壁紙など、(2)貸主負担…通常の使用で耐用年数を経過すれば、取替えの必要があるもの、給排水・電気設備など
 壁のスイッチは(2)にあたり、借主がよほど乱暴な使い方をした結果でない限り、貸主が修繕義務を負うと考えられます。
【決定事項は文書にして】
 貸主の修繕に関する対応としては、自ら業者へ依頼する他に、借主にその手配を任せるのもよいでしょう。
 借主が修繕費用を負担した場合、支払いと同時に借主は貸主に対してその必要経費の償還を請求できます。この請求に対し、貸主が支払いに応じない場合、借主は次回の家賃支払いを拒むことも可能ですので当事者間できちんと話し合う必要があるでしょう。
 トラブルを未然に防ぐためには、賃貸借契約締結時に対象箇所をあげて修繕義務の範囲を明確にしておくことが大切です。修繕工事に際しては、見積書や領収書などをきちんと保管し、当事者間で決めたことは覚書等を交わしておいた方がよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年11月掲載

所有権移転届を提出してくれない場合の管理費等支払義務者は

理事長をしています。このたび、ある部屋で売買が成立し、区分所有者が変更になりました。しかし、新区分所有者(A氏)に何度督促しても、「所有権移転届」を提出してもらえません。マンションの管理規約には、「新たに組合員の資格を取得した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない」とあります。登記簿謄本を確認したところ、確かにA氏に所有権は移転していました。「所有権移転届」の提出がなくても、管理組合としては登記簿謄本を確認した上で、A氏に管理費等の請求をおこしてもいいのでしょうか。

 マンションの区分所有者は、規約の定めに従って、毎月管理費等を支払う義務が発生します。売買などで、新たに所有権を取得した区分所有者も同様です。しかしながら、管理組合は、売買などでいつ誰が区分所有者になったのかを常に把握しておくことは困難です。そのため、管理組合は管理規約などで、所有権の移転があった場合には書面で組合員の資格を取得した旨を届け出るように定めているのが一般的です。
 本問のケースでは、新たに区分所有者になった人(A氏)が「所有権移転届」を提出しない、ということですが、幸いなことに、管理組合で区分所有者が変更になったという情報を得ています。前述した通り、区分所有者であれば、「所有権移転届」を提出しようがしまいが、管理費等の支払い義務を負うのは当然のことです。したがって、登記簿謄本で新区分所有者がA氏であることを確認した上で、A氏に管理費等を請求して全く問題はありません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2008年9月掲載

ウィークリーマンションは住居としての使用にあたるか

理事長をしています。最近ある住戸がウィークリーマンションとして貸し出されました。専有部分は住居使用のみを認めるという管理規約に違反するので、使用方法を改めるように申し入れましたが、賃貸借契約のため規約に違反しないと反論されました。ウィークリーマンションは住居としての使用といえるのでしょうか。

 一般的なマンションでは、管理規約にて住居部分の使用方法を専ら住居として使用するように制限されていますが、これは区分所有者自らが居住することに限らず、賃貸借契約に基づく賃借人なども含まれます。また、必ずしも住居専用とすることまでを求められてはなく、居住者の生活の拠点となっていれば自宅を兼ねた事務所として使用することも可能です。
 大切なことは、専有部分の使用制限を設けている目的を理解することです。一般的なウィークリーマンションは、ビジネスや観光を目的にした一時的な滞在を目的に使用されることが多く、その使用者はマンションの一般住民とともに生活しているという意識はありません。しかしながらマンションのような集合住宅では、住民同士がお互いの顔を知り、相互理解や協力によって良好な住環境の確保や地域コミュニティーの形成を図ることが大切です。その意味でウィークリーマンションとしての使用は、場合によっては管理組合運営の障害となりうる可能性があるといえます。そのとき管理組合は当該区分所有者に対し、共同の利益に違反する行為の停止や専有部分の使用禁止を求めることも可能です(区分所有法第五七条、五八条)。
 まずは当該区分所有者に管理組合運営の主旨を理解いただき、改めてウィークリーマンションとしての使用停止を申し入れれば良いでしょう。また、類似トラブルの再発を防ぐためにも使用細則の整備を通じて、管理組合員への周知を図っておくことも重要だと思われます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2010年9月掲載

壁紙の張り替え費用を賃借人に負担させることができるか

所有するマンションの一室を賃貸に出していたのですが、この度退去することになりました。部屋の状態を確認したところ、壁に画びょうの跡が無数にあり、ポスターの跡も残っているため、全面的に壁紙の張り替えが必要です。壁紙の張り替え費用を賃借人に負担させることはできますか。

 国土交通省が二〇一一年八月に再改訂版を公表した『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』によれば、画びょうの穴程度のものは賃借人の負担にはならないとされています。
 また、ポスター等の日焼け跡についても同様に賃借人の負担ではないとされています。
 同ガイドラインの基本的な考え方は、設備の経年劣化や通常の生活で発生する損耗は賃借人が負担するものではないとされています。
 一方で、賃借人に過失のある場合については賃借人の負担となるものと考えられます。
 例えば、釘やネジで壁の深くまで穴をあけたことにより、下地ボードの張り替えが必要となる場合がそれに該当します。
 ただし、ガイドラインはあくまで一般的な基準にすぎませんから、契約書で合意した内容がまず適用されますので、今回の壁紙張り替え費用の負担者は、賃借人と締結した契約書の内容によることになり、契約で合意のない場合は、ガイドラインに準拠して判断することになると考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2015年7月掲載

短期間の専有部分貸し出しについて

管理組合の理事長をしています。当マンションの区分所有者に、1カ月程度の短期間で繰り返し部屋を貸し出している方がいるようです。管理規約には『区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。』との定めがあるのですが、このように専有部分を貸し出すことは、規約違反ではないのでしょうか。

 標準管理規約第12条では、「専有部分を専ら住宅として使用する」と定めており、「住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する。」とコメントされています。
 この観点に立てば、1カ月程度の短期間で入居することは「生活の本拠」があるとは判断できませんので、規約違反であるといえるでしょう。また、頻繁に人が入れ替わることは「平穏さ」を害する行為ともいえるでしょう。
 ただ、昨今では空き室を旅行者に有料で貸し出す「民泊」について全国的に話題となっており、旅館業法では規制を緩める動きもあるようです。部屋を短期間で貸し出すことについては、今後さまざまな議論が展開され、「生活の本拠」を基準とした「専ら住宅」か否かの判断も変わってくることも考えられます。
 管理組合としては、総会などで、その時々の法令、社会慣行をもとに管理組合としての方針を合意し、部屋の短期間の貸し出しについてのルールを定めるのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2015年12月掲載

建物状況調査とは

平成30年4月1日より、既存住宅の取引において、宅地建物取引業者との媒介契約書面に、建物状況調査の斡旋の有無が記載されることになったようですが、建物状況調査とは何でしょうか。既存住宅を売買する際には必ず行わなければならない調査なのでしょうか。

 建物状況調査とは、国土交通省の定める講習を修了した建築士が行う、建物の基礎、外壁等、建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査を指します。
 なお、建物状況調査の対象となるのは既存の住宅に限られ、その他の住宅は対象となりません。既存の住宅とは、(1)人の居住の用に供した住宅、または(2)建設工事の完了の日から1年を経過した住宅、のいずれかに該当するものを指します。
 建物状況調査を行うことで、調査時点における住宅の状況を把握した上で売買等の取引を行うことができ、取引後のトラブルの発生を抑制することができます。
 また、住宅瑕疵担保責任保険法人の登録を受けた検査事業者による建物状況調査を行い、調査結果が一定の条件を満たすことで、既存住宅売買瑕疵保険に加入することができます。
 既存住宅売買瑕疵保険とは、既存住宅を売買する際に加入することができる保険で、住宅の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分等について、瑕疵が発見された際に修理費用等が支払われるためのものです。
 建物状況調査は任意に行う調査であり、必ずしも行わなければならないものではありませんが、住宅の状況を把握した上で取引ができることにより、売主にとっては、引き渡し後のクレームを回避できる、買主にとっては、より安心して購入の判断をすることができるとして、広く活用が期待されています。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2018年8月掲載

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