マンション管理に関する法律トラブル相談室共用部分について


バルコニーに物置を設置している住戸の対策について

マンション管理組合の理事長(管理者)をしています。バルコニーに物置を設置している住戸があり、直接住民に注意したところ、「購入時に不動産仲介業者から“設置してもよい”と聞いている。購入を決めた条件だった」と言われ、対処に困っています。どのように対応すべきでしょうか?なお、当マンションでは、使用細則で物置、その他工作物をバルコニーや専用庭等の専用使用部分へ設置することを禁止しています。

バルコニーは、構造的には建物部分そのものであるから、建物全体の躯体(くたい)の一部であって、法定共用部分と考えることができます。
 また、多くのマンションでは、バルコニーが2個以上接続していて、建築基準法第35条の避難施設としての機能を有する場合があり、そのために、標準管理規約もバルコニーを共用部分とし、当該専有部分の区分所有者に専用使用権を認める規定を設けた上で、バルコニーの使用方法につき使用細則を規定する方式を取っているのが一般的です。
 この場合、バルコニーの使用細則に「物置、その他の工作物の設置」を禁止する旨の規定を設けるのが一般的であり、この規定に反して区分所有者がバルコニーに物置を設置することは、使用細則違反に該当する行為となります。
 そして、区分所有者(占有者も含む)は、管理規約および使用細則等を誠実に遵守する義務を負っているため、この住民の言い分は、物置を設置してもよい理由にはなりません(標準管理規約第3条、第5条)。  また、標準管理規約第67条では、理事長は理事会の決議を経たうえで、規約や使用細則等に違反している区分所有者に対して、是正勧告、指示、警告を行うことができる。それでも是正されない場合、理事会の決議を経て、訴訟その他法的措置を講ずることができると規定しています。
 まずは、前記を含めて、バルコニーに物置を設置している住戸に話をすることが重要です。再三にわたる是正勧告、指示、警告によっても是正されないことが、訴訟その他法的措置を行うことができる要件となりますので、管理組合として該当する住民への対応を行う都度、記録を取っておくことをお勧めします。
 なお、同じく使用細則で物置等の設置を禁止している専用庭等についても、同様に対応することになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2019年1月掲載(2025年2月更新)

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