マンション管理に関する法律トラブル相談室共用部分のトラブル

マンション駐車場に屋根を造った人がいるが

管理組合の屋外駐車場の契約をしている区分所有者(Aさん)が、その区画に上屋を設置されました。Aさんは、その区画の使用料を毎月払っているのだからどのように利用しようと勝手だと主張されています。

 一般的にマンションの屋外駐車場は区分所有者全員の共用部分にあたる敷地上に、特定の区分所有者に車を駐車する専用の使用権を認める契約です。それ故、契約に特別の約定のない限り、管理組合(B)と契約者(A)との間の駐車場使用契約は約定の自動車を駐車する以外の目的に使用してはならず、他の共用部分の使用方法と同様に当該自動車以外の何物も置くことも建築することもできないことになります。したがってAの設置した上屋は速やかにAの責任(費用の負担など)において原状回復されるべきです。
 場合によっては、BはAに対し、違約金の請求や、契約の解除を行うことができます。なお、駐車場に上屋を設置する行為は「共用部分の変更」にあたりますので、組合員総数及び議決権総数の各四分の三以上の議決を得て、上屋を建築することもできますが、この場合は管理組合が上屋を建築するのが一般的ですし、本問の場合、このような議決を得ていないので、先の結論と同様になります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1990年6月掲載

看板の設置について

専用庭に大きな営業用の看板を出している人がいます。マンションの外観が損なわれますし、マンションを事務所として利用すること自体おかしいと思いますが。

 区分所有者全員の共有となっている敷地や共用部分でありながら、通常特定の人だけがもっぱら使うことができて、その他の人は使えない部分を専用使用部分といいます。専用庭やバルコニーなどがこれに該当します。
 専用使用部分は専有部分とは異なりますので規約によりその用法や使用料が定めてあります。通常規約では専用庭に工作物を構築したり、現状を変更する行為を禁止していますので、本件の場合は撤去を求めることができます。
 またマンションを事務所として利用しているとのことですが、専有部分の用法についても通常規約に定めがあり例えば「住戸部分については住宅として使用するものとする」などの規定が定められています。
 この規定の趣旨が、専有部分の使用形態に関して、住宅専用以外の用途に使用すること自体を禁止しているのか、それとも、その他の用途に使用することによってその使用・管理運営が適切さを欠くことから、近隣に迷惑を及ぼす行為を禁止しているのかが問題です。
 一般には、迷惑行為を禁止する趣旨と解されています。
 そこで、本問では、事務所として使用されているとのことで、どのような使用形態の事務所であるかが不明ですが、例えば、設計事務所のような特定の依頼者との業務行為に使用される場合には、迷惑行為には該当せず、直ちに規約の趣旨に反するとも言えないと解されます。
 なお、その使用形態が近隣に迷惑を及ぼしている場合には、規約違反行為となり、違反行為の差止め請求などを求めることができます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1990年7月掲載

バルコニーの改築について

組合員からバルコニーをガラス戸でかこって温室のようにしたいとの申し出があり、バルコニーの改築を禁止した規約はあっても自分のバルコニーだから自由に使いたいと主張されます。管理組合としては、どのように対処したらいいのでしょうか。

 まず基本的には、共用部分の管理について定められた規約に従ってバルコニーを使用しなければなりません。規約は、多くの場合、販売時に全員の合意あるいは、総会で四分の三以上の賛成を得て成立したものです。特別な場合以外、組合員は規約を守る義務がある訳です。
 さて、最高裁まで持ち込まれた日本住宅公団・石神井公園団地の判例では、バルコニーを改築した区分所有者が敗訴しております。この時の改築の禁止理由は、(1)建物の美観、(2)バルコニーの安全性、(3)バルコニーの避難路としての効用などが損なわれることを挙げています。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1989年6月掲載

バルコニーを改造している住戸が転売されたら

バルコニーを温室に改造した人が、以前から問題になっていました。最近このマンションが転売され、新しい区分所有者の同意も得られ管理組合はこの温室を撤去しました。撤去費用を前の所有者へ請求していますが払ってもらえません。

 バルコニーは共用部分ですから、勝手に改造することは許されません。管理組合として撤去にふみ切ったことは当然といえるでしょう。さて撤去費用の請求の件ですが、本件の場合は、新区分所有者に負担してもらうのが妥当です。売買によりマンションの区分所有権が旧区分所有者から新区分所有者へ移転した際に温室の所有権も同時に移転したとみるべきです。よって違法な温室を現時点で所有している新区分所有者に管理責任も移行しており、新区分所有者の負担と責任において原状回復する義務があります。もっとも新区分所有者と旧区分所有者との間には別の法律的な問題が残っており売買契約時の重要事項説明の内容いかんによっては、新区分所有者から旧区分所有者へ温室撤去費用を請求できるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1990年11月掲載

ゴミの分別や出す日を守らない人がいるが

私のマンションでは曜日によって燃やせるゴミ、燃やせないゴミなどを分けて指定された収集場所に出していますが、いつも誰か収集日を守らずに出す人がいて困っています。

 家庭ゴミの出し方については、掲示板にだけでなく各戸に連絡が届いているはずですが、中には分別するのが面倒で指定の日に関係なく出す人がいます。
 まず、対処すべきことは管理会社に依頼して監視や取り締まりをきびしくすることです。それで、解決すればよいのですが現実には、管理員のいない深夜や早朝にゴミを出されるため違反者が特定できなかったり、注意してもなかなか聞いてもらえないことが多いかと思います。このような場合は管理会社から管理組合に事情報告がなされるはずです。
 管理組合としては、違反者の行為は他のマンション居住者に対する「共同の利益に反する行為」になるので「ゴミはきまりを守って捨てなさい」と張り紙をしたり、直接違反者に対して改善を指示することになります(区分所有法第五七条一項)。
 管理組合から右記の指示命令が出ればたいていの人は守ると思います。しかし、それでも効果がないときは集会の決議によって訴訟を提起し「違反行為の禁止・差し止め」を求めることになります(区分所有法第五七条二項以下)。
 ただ、日常生活における違反行為について、訴訟による解決は最終的なものであり、居住者各個人が共同管理の意識を高め、自発的にきまりを遵守することが何よりも大切なことです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1993年3月掲載

不法駐車の損害賠償請求は可能か

私の契約している敷地内駐車場に同じマンションの居住者が勝手に車をとめています。その人は「自分も居住者なのだから」と言いはって、張り紙などの警告にも関わらず、駐車をやめません。この場合、損害賠償請求、慰謝料請求など可能でしょうか。

 不法行為に対してそれによって損害を受けたという因果関係を明確にすれば、損害額(実費)、慰謝料など請求することができます。
 さて、問いのケースですが、損害賠償請求する前に、まずは駐車場の管理を強化する必要があります。駐車場の形にもよりますが、駐車場スペースに柵を設けて施錠するなどの方法が考えられます。
 駐車場の管理を強化しても、なお違法駐車をやめない場合、柵の設置費や、もしも違法駐車のために他に駐車場を借りたならその賃料など実費は損害額として請求することができます。
 さらに、駐車場が利用できないことで精神的苦痛を受けたとして慰謝料請求も可能です。ただ、柵を設置するなどの改良行為は、手続きなどが決して容易なことではありません。損害の支払も任意に支払ってくれなければ裁判手続きを取ることになります。
 また、今回のように、警告をしても違法駐車をやめないケースはまれですが、質問から推測する限り、法律的な紛争が予想されます。不法行為に至るまでの問題点の解決も兼ねて、居住者同士の紛争ですし、管理組合の仲介などにより、根本的な解決をはかるため話し合いの場を設けることが必要でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1993年7月掲載

共用部分の独占的使用について

マンションの住人ですが、部屋の前にいつも自転車を二〜三台置いている人がおり、そのために廊下の通行が困難になります。管理組合としてどのような措置がとれますか。

 廊下は区分所有者全員で共有し利用する共用部分です。部屋の前に自転車や荷物を置く人もいますが、通常は住民相互の心がけで解決できるものです。
 問いのケースはまれですが、区分所有者の一人が共用部分を独占(自転車を二、三台置いていて、少し荷物を持つと通れない状態)して使用し、その結果として他の区分所有者の正当な使用を妨げるような行為は許されません。その場合、他の区分所有者はその行為をやめさせる、またはその行為を予防するために必要な措置をとるよう請求することができます。
 また、区分所有者に限らず専有部分の賃借人など区分所有者以外の占有者も、区分所有者と同様に、共同の利益に反する行為をしてはなりません。占有者がこれに違反した場合は、他の区分所有者が取り得る措置として、まず専有部分の区分所有者に対して、占有者の行為をやめさせるように請求することができます。
 また、区分所有者が前述のような請求をうけながら占有者の行為を放置した場合は、その区分所有者に対して損害賠償請求することができます。一方で、その専有部分の区分所有者だけではなく、占有者に直接請求することも可能です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1993年10月掲載

防犯カメラの設置費はどうやって支払うか

私の住むマンションでは駐輪場におけるイタズラや盗難が相次いで起きています。理事会としては、駐輪場に防犯カメラを設置する方向で話がまとまりましたが、設置費用が約一五〇万円かかるそうです。設置費用はどうやって支払えばよいでしょうか。

 防犯カメラの設置費用を支払う方法はいくつかあると思われます。まず考えられるのは、修繕積立金を取り崩すという方法です。国土交通省の定める標準管理規約には、修繕積立金に関して次の定めがあります。
 修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができます。
(1)一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
(2)不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
(3)敷地及び共用部分等の変更
(4)建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
(5)その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
 防犯カメラの設置は第五号の「区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理」にあたると考えられますので、修繕積立金を取り崩して設置費用に充当することができます。
 次に考えられる方法は、金融機関から借入れをするというものです。ただしこの場合、当然借入れ金に対する月割返済額を発生させることになりますので、修繕積立金を取り崩しても不足する場合を除いては、得策ではないと思われます。
 また、一時金として各戸から徴収するという方法もあります。一時金の各戸の負担割合は専有面積割合によるのが通常です。あらかじめ各戸の負担額がどれ程のものか検討し、各区分所有者が納得のいく負担額であればこの方法でもよいでしょうが、一戸当りの負担額があまりにも多額になるようなら、この方法はさけた方がよいでしょう。
 その他には、リース契約という方法もあります。リース契約では、防犯カメラ設備の所有権はリース会社にあり、動産保険がかかるので借入れよりも月割返済額が多い場合もありますが、多額の借入金が計上される訳でもなく、また管理費勘定から支出が出来ますので、借入れも一時金の徴収も難しい場合には検討してみてはどうでしょう。
 以上のような方法を十分考慮し、管理組合にとって最も適切だと思われる方法を選択するべきです。ただしどの方法をとるにしても、総会の議決を得るのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1996年3月掲載

防犯カメラのビデオテープを再生する際の注意点は

マンションのエレベーター内に防犯カメラを設置しています。しかし、実際に迷惑行為などが発生しても、当管理組合ではどのような場合にビデオテープを再生できるのか決めていません。そこで、運用規則(内規)を作成しようとしていますが、どのような点を注意すればよいのでしょうか?

 まず、防犯カメラで録画した映像を無制限に公開したり、閲覧させることは、プライバシー保護の観点から好ましいことではありません。
 そこで、防犯カメラで録画した映像を誰が管理するのか、どんな場合に、誰が再生し、閲覧できるのか、閲覧した映像などの内容を第三者に公表しない義務や、刑事事件などの場合の証拠品としての提出について以下の事項について規定するのがよいでしょう。
(1)ビデオテープの管理を誰がするのか。通常は理事会(理事長)が管理することになるでしょう。
(2)ビデオテープを閲覧するためには、閲覧の必要性を記載した申出書を提出してもらうのがよいでしょう。
 なお、閲覧の必要性としては、刑事事件や民事事件に発展する場合、例えば、窃盗や痴漢などの刑事事件の発生や器物を損壊した場合などの民事事件のための必要性がこれに該当します。
(1)理事会は、閲覧の申し出があった場合、閲覧の必要性を判断し、閲覧させる場合には、管理者の立会いのもとに閲覧させること、閲覧した内容は第三者に公表しない義務を有することを規定するのがよいでしょう。
(2)刑事事件の証拠となる場合には、これを提出できることを規定しておく必要もあります。
 以上の通り、あくまでも防犯用の必要性から設置されたものでありますので、これをみだりに再生して閲覧し、あるいは録画することなどは許されません。
 また、刑事事件が発生し、これを証拠として提出する場合には、必要な部分だけを録画して、関係のない映像部分を除外し、プライバシーに配慮することも必要でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2001年9月掲載

敷地内の不法駐車の対処法は

マンション敷地内において、不法駐車が多発し困っています。どのような対処法がありますか。

 昨今、駐車場が不足しているマンションでは、本件のような問題を抱えている物件は少なくないようです。まず始めに、マンション内は私有地なので道路交通法の適用外であるために、警察の協力は得にくいと考えたほうがよいでしょう。
 通常、張り紙などの警告で同一車両における不法駐車の再発は防止できます。それで効果がないようであれば、(1)現場の写真を撮り運輸支局で所有者を調査し、直接警告するという方法が考えられます。また、(2)車両に輪留めをかけ、申し出るまで車両を動かなくするという手段も考えられます。
 (1)の運輸支局への問い合わせは有料で、直接窓口へ出向かなければいけません。
 (2)は実行するにあたって、車両の所有者に対し、輪留めをしていることや輪留めをはずすために申し出ていただく旨を張り紙などで明確に告知することを怠ってはなりません。それに気づかず発進すれば、車輌が破損する恐れがあります。また、輪留めをはずせる者が常にマンション内にいること(管理人が常駐しているなど)に十分な配慮をする必要があるでしょう。
 紹介した方法は、マンションの入居者が加害者である場合は後々わだかまりを残しかねません。まずは不法駐車に関して文書配布や掲示・看板などで、管理組合としてこのような処置をとる準備があることをあらかじめ周知させておいて、不法駐車をしにくい状況にしていくことを第一に考えていくべきでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1998年7月掲載

屋上の防水の不具合を倒産した売主に申し出るには

マンションで二年目点検を実施した際、屋上の防水に不具合がありました。管理組合として売主に申し出ようとしましたが、すでに売主は倒産していました。どうしたらよいでしょうか?

 売主が売却した目的物に隠れた瑕疵(不具合をいう)がある場合、買主は売主に対して、法的な責任を問うことができます。本件の場合、防水の不具合を修理する補修工事が必要ですので、その工事費用を請求することになります。
 また、当該マンションの建築業者の仕事に隠れた瑕疵がある場合、注文者(売主)は建築業者に対して、法的な責任を問うことができます。その場合、その瑕疵の修補を請求することもできます。このような法的な責任は、一定の期間により時効になりますので、注意を要します。
 ところで、マンションの建築や販売においては、建築業者や売主がアフターサービスを約束していたり、連名で約束している場合があります。
 アフターサービスの範囲は、建築業者や売主の意思によって様々ですが、最近では、業界団体が一定の基準を定め、それに準拠しているのが通例です。例えば、不動産協会で定めるアフターサービス規準書では、屋上の防水の保証期間は一〇年と定めています。当該マンションの売主の約束で、二年以上の保証期間を設定されていれば、本来修繕補償が受けられるはずです。
 しかし、本件では、売主が倒産していますので、売主に対して約束したアフターサービスの履行を求めるのは困難ですが、建築業者も注文者(売主)にアフターサービスを約束しているので、買主は、売主の権利に代位して、建築業者にアフターサービスの履行を求めることも可能です。
 通常は、建築業者が売主に対して建物の防水の保証書を提出していますので、竣工引渡図書の中に保証書があるか否かを、確認してください。建築業者との交渉がより円滑となるはずです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1999年7月掲載

マンションの売主が倒産した場合の瑕疵修補は

マンションの売主が倒産してしまったため、ベランダの漏水など、瑕疵修補を建築工事会社に申し入れましたが、工事代金が支払われていないことを理由に無償での補修を断られました。なにか方策はありませんか。

 売主(注文者)から建築工事を請負った建設会社は、瑕疵のない建物を建築して引き渡す義務があり、建物に瑕疵がある場合、民法第六三四条により、注文者は請負人に対し、瑕疵修補又は損害賠償を請求することができますが、その期間は一年間です。
 ところで、分譲マンションのような中高層建物を建築する場合には、工事契約の施工方法などについて、民間(旧四会)連合の協定工事請負契約約款を準則に契約するのが一般的ですから、コンクリート造りの建物には二年間の瑕疵担保責任が約束されていますし、その瑕疵が故意又は重大な過失による場合には、二年を一〇年と延長しています。
 設問の場合は、瑕疵修補を請求できる期間内の事例であれば、売主は建設会社に瑕疵修補又は損害賠償を請求することができます。
 ところで、瑕疵修補又は損害賠償の請求に関して、同時履行の抗弁権(双方が同時に義務を尽くすことが必要なこと)が成立することになり、建設会社は売主の瑕疵修補又は損害賠償の請求に関して、自己の報酬請求債権を主張でき、相殺もできます。
 次に、隠れた瑕疵のある分譲マンションを購入した買主は売主に対して、民法第五七〇条により民法第五六六条を準用し、建物に隠れた瑕疵がある場合は、売買の契約解除又は損害賠償を請求することができます。この期間は瑕疵を知ったときから一年です。ただし、多くの売買契約書においては、特約で引渡後二年間しか、瑕疵による賠償請求などができないようにされているようです(宅建業法の適用)。
 以上の法的関係において、買主の売主に対する瑕疵担保責任の請求、および売主の建設会社に対する瑕疵担保責任の請求が可能であるとして、買主は建設会社に瑕疵担保責任の請求ができるかということになります。
 債権者代位権に関する民法第四二三条の規定により、債権者(買主)は自己の債権(売主に対する瑕疵担保債権)を保全するため債務者(売主)に属する権利(売主の建設会社に対する瑕疵担保請求権)を行使できることから、買主は、売主に対する瑕疵担保請求権をもって、売主の建設会社に対する瑕疵担保請求権(瑕疵修補又は損害賠償)を代位行使することができることになります。
 しかし、建設会社は買主に対して、売主に対して主張できる事由を主張することができますから、建設会社は売主に対する報酬請求権をもって、買主の瑕疵担保請求権に同時履行の請求を主張できることになります。本設問の場合、建設会社の主張も理由があることになります。
 ところで、瑕疵の内容にも関係しますが、建設会社に建築基準法(施工令)違反の欠陥がある場合は、買主は売主に対する瑕疵担保責任のほか建設会社に対する民法第七〇九条(第七一五条)に規定する不法行為を問うことも可能でしょう。
 この場合は、建設会社は買主に対し、売主に対する報酬未払いの主張をもって対抗できませんので、損害の賠償(瑕疵補修請求はできない)をしなければならないことになります。
 本設問の解決にあたっては、瑕疵の内容がどのようなものであり、損害の程度(補修費用の額)がどの位であるか、それが法令に違反する瑕疵といえるか、また、建設会社の法的責任がどのような責任であるのかを専門家とも相談され、裁判による解決のための費用のことも考え、話し合いによる解決がよい場合もあるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2000年10月掲載

放置自転車を撤去するには

近ごろ、駐輪場の自転車が増えて困っています。中には、マンション居住者以外の自転車が多数あるようです。このような自転車を撤去したいと思うのですが、どのような手順で進めればよいのでしょうか。

 まず、マンション居住者の自転車と、外部の自転車とを区別する必要があります。そのための方法として駐輪シールの発行があります。管理組合で自転車専用シールを作成し、自転車に貼付してもらい、このシールが貼っていない自転車を外部のものとして取り扱うことにします。
 次に、日を決めて、シールの貼付のない自転車に、不法駐輪なのでただちに撤去すること、所定の日時までに撤去しない場合は管理組合の方で適宜処理する旨を警告した紙などをつけておきます。なお、紙などをつけた日時、対象自転車、警告した場所などを記録しておくことも必要です。
 そして、所定の日時(理事会で決定)を経過しても撤去されない自転車については、管理組合が保管し、所轄の警察で所有者の確認と盗難届の有無の確認をします。所有者が判明したものは、管理組合から取りに来るよう通知をします。この通知をしても引き取りに来ないもの、所有者の不明なものについては、遺失物として警察に届出をします。
 法所定の保管期間(民法第二四〇条より原則として三ヶ月)を経過した後、なおも取りに来ないものについては、管理組合が放置自転車の所有権を取得し、自ら処分(売却・廃棄)することができるようになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1999年8月掲載

マンションの駐車場の分譲は不公平では

私のマンションの駐車場は一階共用部分にありますが、事業主が区分所有者に分譲しています。このことは管理規約にも明記されてはいますが、共用部分を一部の人が永久に無料で専用使用するのは不公平だと言う人もいます。どのように考えればよいでしょうか。

 まず、分譲業者が駐車場の専用使用権を一部の区分所有者にのみ分譲するということは有効であるかということを考えてみます。駐車場の専用使用権を購入した人は、分譲業者より永久に駐車場を使用できる前提で、マンションの代金とは別に駐車場使用権の代金を支払っているわけですから、専用使用権を取り上げられたり、無償であったものを有償とされることは納得できないと考えられます。また、他の区分所有者も規約を設定するにあたり、この規約を承認しているわけですから、駐車場の使用権は有効に成立していると考えられます。
 一方、専用使用権のある駐車場とはいえ、その敷地は組合員全員の共有ですから、本来、各共有者がその持分に応じて駐車場全部の利用をなしうるものであり(民法第二四九条)、また、その駐車場部分にかかる固定資産税や清掃、照明電気代などの管理費用を区分所有者全員で負担しているという不公平が生じているという意見もあるでしょう。
 当該駐車場を他の組合員も使用する必要性の程度、固定資産税額などの公租公課の多寡、維持管理費用の負担額・期間、分譲駐車場の価格などを総合的に比較均衡して話し合うことも一つの考え方ですが、組合員の合意を得ることは困難と思われます。
 そこで、管理組合が当該専用使用権を有する組合員に対して、その権利を相当額で買い取るなり、応分の管理費用の負担を求めるといったことも、解決方法の一つであると思います。
 なお、仮に裁判に訴えても、当該組合員が不相当な価格や不当な方法で当核使用権を取得しているのでない限り、当該使用権の設定を是認される公算が大きいと思われます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1999年9月掲載

敷地内プレイロットでの事故の責任は

マンションの住人ですが、子どもの友人(マンション外に居住)がマンション内のプレイロットのすべり台から落ちて、負傷しました。このすべり台は手すりがさびついていて、落ちた原因もその手すりが折れたためでした。この場合、管理組合や区分所有者はどの程度まで責任を負うのでしょうか。

 マンションの建物は、個人の所有である専有部分と全員の共有である共用部分とに分けられます。マンション内のプレイロットは共用部分の附属施設として多くの管理規約では共用部分に準じた取り扱いを定めています。
 すべり台や鉄棒のような、土地の工作物において事故が発生した場合、その設置または保存に瑕疵があり、それによって他人に損害を与えた場合は、まず第一次的に、その工作物の占有者が、又、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、工作物の所有者が損害賠償責任を負うことになります。
 この「設置または保存の瑕疵」とは、工作物の築造当初から、または築造後維持管理されている間に、その物が本来備えているべき設備を欠くことを言います。
 本件ケースでは、すべり台の手すりがさびていたことが事故の原因です。つまり、設置または保存の瑕疵があったわけですから、損害賠償の責任を負う者は、第一次的には工作物の占有者です。これは、共用部分の維持管理を行うために区分所有者全員で構成される管理組合になるでしょう。
 もっとも、工作物の占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは責任をまぬがれ、その工作物の所有者が責任を負うことになります。この所有者の責任は、占有者の場合のような免責事由がなく、過失がなくても責任を負ういわゆる無過失責任だといわれています。
 その場合、区分所有者がその損害を賠償することになるわけです。また区分所有者のそれぞれの負担は平等であり、相互に求償をみとめるべきでしょう。ただし共用部分の附属施設についても管理規約で共有持分割合を定めているときはその割合で負担することになります。
 どちらにしても、実務上は管理組合が窓口となって対応することになるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1993年8月掲載

バルコニーから布団が落ちたら誰の責任か

バルコニーの手すりに布団を干したいとの希望が多いので、管理規約を変更して布団を干せるようにしたいと思います。この場合万一落下事故が発生したときに管理組合にも責任が生じるのでしょうか。

 管理組合は個々の布団を干す行為をそれぞれ個別に認識してこれを是認しようとしているわけではありません。
 管理組合が認めようとしているのは、「手すりに布団を干す」という一般的な行為です。この場合、布団が落ちないよう、専用のはさみを用いたり干し方に気を付けるといった、安全に関する注意義務は、個々の住民の側にあると考えられますから、事故が発生しても一般的には管理組合に過失があったとは言えないでしょう。
 管理組合が許可した場合でも、布団を干すときには風の強い日はさけて、専用のはさみを用いるなど、落下防止には十分な配慮をしてください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1992年5月掲載

上階から物が落下してけがをした場合の賠償責任は

管理組合の役員をしています。上階から植木鉢が落下し、下を歩いている人がけがをしました。おそらく子どものいたずらだと思いますが、誰が落としたのかわかりません。こういった場合、管理組合に賠償責任があるのでしょうか。

 上階に住んでいる人が個人の持ち物を落としたのであれば、物を落とした人の不注意が事故の原因であって、この問題に管理組合が関与することはありません。また、誰が落としたのかわからない場合でも落下物にもよりますが、建物と直接関係のない個人の持ち物、本件の場合のように個人の植木鉢では通常は管理組合が賠償責任を負うことはありません。
 しかし、落下した物がマンションと直接関係のある物、例えば外壁の一部などが剥がれ落ちて事故が起きたのであれば、建物の維持管理責任を負っている管理組合が責任を問われます。
 また、大抵のマンションでは、管理組合が火災保険に加入しており、特約として個人賠償責任保険を付保しています。
 一般的に、保険会社の審査により、物を落とした人物が特定できて、それが過失だと認められた場合にかぎり、保険金は給付されます。通常、一一才以下の子どもが物を落としたのであれば、本人に物事を判断する能力がない(過失)と認められ、保険金が給付されますが、一二才以上の子どもであれば、過失または故意の事故なのかどうか保険会社により審査されます。また、物を落とした人物が特定できないかぎり、保険金は給付されないことになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1999年2月掲載

のら猫の管理の責任は管理組合にあるか

理事長です。ある住民の方から「のら猫に車を傷つけられて困るので処分してほしい。」と、連絡がありました。理事会で議題とする予定でしたが、次の理事会までにのら猫が車に傷をつけてしまったようで、車の所有者の方が「のら猫の処分を依頼したのに対策をとらなかったのはおかしい。管理組合に弁償請求をする。」と言っています。この場合、管理組合に弁償義務はあるのですか。

 管理組合が管理するマンションの駐車場といっても、いろいろな形態があります。
 単に敷地の空地部分を白線で区画しただけのものから、敷地上に機械式の二層設備を設けたもの、パーキングタワー式のものもあります。他方で、完全に建物の中の一階や地階部分に駐車場を設けているものも見受けられます。
 それゆえ、管理組合が駐車場を管理する注意義務も、駐車場の形態によって異なってくると考えられます。
 一般的には、その駐車場が一切の害獣などの侵入を防ぐ構造で、シャッターつきといった設備をうたい文句に、高額な料金の設定がなされているような駐車場であれば別ですが、マンションによく見られる開放的な駐車場の場合には、仮にのら猫により自動車が傷つけられたとしても、管理組合が注意義務違反として責任を問われないと言えます。
 なお、車の所有者がのら猫によって車に傷をつけられたとしても、民法第七一八条は「動物の占有者はその動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定していますので、管理組合がのら猫の飼主や占有者であるわけはなく、のら猫の管理を怠ったという責任を問われることはありません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2002年5月掲載

台風災害で損害保険は支払われるか

台風の強風でマンションの屋根材が飛んで駐車場に止めていた車に傷がつきました。管理組合で加入している損害保険で修理費をみてはもらえないのですか。

 管理組合が管理している建物の共用部分が原因で事故(たとえば屋上からの漏水や外壁・屋根材の落下などの事故)が発生した時に備えて、ほとんどのマンションでは「施設賠償責任保険」に加入しています。
 問いの場合ですが、残念ながら保険の対象とはなりえません。なぜなら台風のようなどうすることもできない天災が原因となる事故の場合、管理上の責任が無いと考えられるからです。
 一般に保険加入者(管理組合)に損害賠償の責任がある場合に保険会社より保険金が支払われるのです。
 屋根材が老朽化して落下したり、取付方法に不備があって自然に落下した場合には管理組合は管理上の責任を負うことになりますので保険金が支払われることとなります。個人の日常生活上の事故(たとえばベランダから物を落としたり、洗濯水が階下へ漏水したといった事故)を対象とした「個人賠償責任保険」にも管理組合で団体加入している例が多いようです。詳しくは管理委託会社などの担当者に問い合わせればよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1991年11月掲載

敷地内での餌付け行為をやめさせることはできないのでしょうか

マンションの敷地内で、のら猫に餌付けをする居住者がいます。最近では、敷地内にたくさんののら猫が徘徊するようになり、鳴き声や糞などの悪臭、ゴミ荒らしに悩まされています。餌付け行為をやめさせることはできないのでしょうか?

 本問と同種事例と考えられる事件として、マンションの居住者がマンションのベランダで野鳥(野鳩)の餌付けや飼育を継続的に行い、このことによる汚損、悪臭、騒音等が問題となり、裁判になって判決が言い渡された事件(東京地裁平成七年一一月二一日判決)があります。
 この事件では、野鳩の餌付け行為等が区分所有法六条一項の「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」との規定に違反するかなどが争点となりました。
 この判決では、「数年間にわたり本件専有部分において野鳩の餌付け及び飼育をし、これらの行為を原因としてマンション及びその付近に野鳩が撒き散らす糞、羽毛、羽音等により本件マンションの共同生活に著しい障害が生じている」と認定し、この行為が共同利益違反としての不法行為を構成すると認定し、専有部分の明渡しと損害賠償とを認めました。
 本問の事案も、敷地内での継続的な餌付け行為のためにのら猫が徘徊し、「鳴き声や糞などの悪臭、ゴミ荒らし」が生じているという事実によれば、餌付け行為が共同の利益に反する行為に該当すると考えられますので、管理組合としては、区分所有者に対して餌付け行為の停止を求める申し入れをするのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2005年11月掲載

集会室での事故の責任は

理事長をしています。集会室の有効活用ということで、集会室を開放し、子どもの遊び場とするという案が出ています。事故が心配なのですが、「管理組合は、集会室の事故については、一切責任を負いません。」という張り紙をしておけば問題ないのでしょうか。

 民法第七一七条において、「工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」と定められています。
 本件の場合、集会室は共用部分であることから、上記の占有者、所有者ともに管理組合が当てはまります。
 つまり、管理組合は集会室の欠陥や不備を見落とした場合や発見していたが放置していた場合、または事前に必要な点検をしていなかった等が原因で、第三者がけがをした場合には、賠償責任を追及されます。
 例えば、子どもが壁にぶつかってけがをした場合、ただぶつかった場合は、管理組合に責任はありませんが、壁からくぎが飛び出していてけがをした場合は、管理組合の責任となります。
 よって、ご質問のような張り紙をしていても責任を一切負わないというわけにはいきませんので、張り紙としては、「管理組合は、利用者の過失及び偶発的事故が発生した場合は、損害賠償その他一切の責任は負いません。」という文章で出すのが、相当でしょう。
 万が一、施設の不備による事故が起こったときのために、施設賠償責任保険という保険に加入しておく必要もありますが、どんな事故でも起きないことが一番ですので、日ごろの点検をきちんと行い、保護者の管理のもとに遊んでもらうようにした方が良いでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2005年12月掲載

エレベーターを使わないため一階所有者の管理費を安くするという決議は有効か

理事長です。管理規約に管理費等の負担額は、共用持分に応じて算出するとありますが、五年前、一階の住戸はエレベーターを使わないためほかの階の住戸より管理費を二〇〇〇円安くするという総会決議がなされています。この決議は有効なのでしょうか。

 区分所有法第一九条は「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」と規定し、管理費等の負担の仕方を規定しています。そこで、管理規約には管理費等の負担割合を定めていますが、持分(住戸の専有面積)の割合に応じて負担するように定めるのが一般的です。
 管理費等が持分の割合に応じて負担するように定めている場合には、その単価を変更する場合は、管理規約の変更に当たりませんので、普通決議で行うことができます。しかし、本問のように、持分の割合に応じて負担する管理規約と異なって、一階の区分所有者だけを有利に(従前の管理費が一万円だったのを八〇〇〇円にする)取り扱う場合には、管理規約の変更に当たりますので、区分所有法第三一条に基づく特別決議(区分所有者及び議決権の各四分の三以上の決議)で行うことが必要です。
 そこで、五年前の決議が特別決議により可決されているかどうかによって、決議の効力が決することになります。
 ところで、管理費等は、高層建物や敷地の維持・管理に必要な費用を区分所有者全体で負担するのが当然ですが、その負担の割合は、共用部分の利用の仕方が各区分所有者の利害は必ずしも一致しないので、共用部分から受ける利益の程度が必ず管理費用の額にすべて反映させることは不可能です。また、エレベーターは、給排水設備や配管などと同じように高層住宅には不可欠な設備であり、一階部分及び二階以上の部分とも建物と一体となった設備であるために、その維持や補修に際しては建物の全体に影響を及ぼすことになるので、共用部分に対する各区分所有者の利害損失をある程度これを無視することもやむをえないといえます。裁判所の判例もこのように考えています。
 そこで、エレベーターを利用しないで、一階の区分所有者の管理費等を他の区分所有者のそれより安くするという考えは、法律上違法であるとまではいえませんが、反面、適正でないといえるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2006年3月掲載

市から「マンションの敷地の一部を市に提供して欲しい」という 依頼があった場合は

区画整理事業による道路整備のため、市から管理組合に「マンションの敷地の一部を市に提供して欲しい。」という依頼があり、今度、提供するかどうかについて臨時総会が開かれます。やはり総会で多数の方が賛成すれば、可決されるのでしょうか。

 本問の市からの「マンションの敷地の一部」の提供という意味が定かではありませんが、通常は、市が「マンションの敷地の一部」を買い取りたい(所有権の移転)という意味だと思われます。そうすると、区分所有法第一七条一項に「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する」と規定されていますが、これは、敷地の所有権の移転や賃借権の設定などを伴わない共用部分の敷地の利用関係を変更する場合に適用されるもので、臨時総会で特別多数の賛成によって管理組合が市と契約することはできません。
 すなわち、本問の事例は、各区分所有者が共用部分に関して有する共有持分を売却することになるので、民法第二五一条に「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない」との規定が適用され、全区分所有者の同意が必要となり、区分所有者の一人でも反対する方があれば、敷地の提供はできないことになります。
 ただ、市の方で、本件マンションの敷地の一部が区画整理事業として決定されている場合には、区画整理事業の一環として、任意売却に応じない場合には、換地処分(換地の指定や清算金の交付や徴収)がなされるので、マンションの敷地の一部が区画整理事業の範囲に入っているのか、そうではなくて、任意の売却などを求められているのか、その内容を正確に把握される必要があると考えます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2006年5月掲載

駐車場の抽選による区画入替について

私が理事長をしているマンションの駐車場には、非常に出し入れの困難な区画が少数ですが、存在します。(不便な区画であるため、以前の総会で駐車場の使用料は値下げをしていますが、それでも、)その少数の区画の契約者から、駐車場の入替を定期的に抽選でして欲しい、との話があります。理事会が行ったアンケートの結果、駐車場の抽選による区画入替について、大多数の方は望んでいないことが判明しています。この状態で、抽選案を理事会の決議で採用してもいいものでしょうか。その際、法的な問題があるでしょうか。

 駐車場の使用契約は、管理組合と使用者との契約であり、本問の場合は、この使用契約に駐車場の位置を指定して契約されていると思われます。
 使用規則等で駐車位置の指定方法は理事会の決議により変更できることが明記されておれば、理事会の決議により、駐車位置を抽選制に改正することもできますが、一般的には駐車位置の指定方法の変更は、総会決議によると考えられます。なお、駐車位置が所有区分に対応していることが規約で明記されている場合や、当初販売時から、一階区分などに近接して設けられた駐車場などは、総会の決議があっても、区分所有者本人の同意がなければ変更することはできない事例もあります。
 しかし、本問の場合は、大多数の意に反し、全員の契約を解約し、新たに抽選制による契約をする必要がありますし、これを強行すれば、法的・事実的に、紛争を発生しかねません。
 そもそも少数の「非常に出し入れの困難な区画」があること自体、事故の危険性もあり、駐車場全体の設計の改善を図ることが必要です。
 そして、設計上も改善が図れない場合には、事故の危険があるので、例えば、近隣の駐車場の使用を考え、高額な使用料との差額を補助する改善策や、「出し入れが困難な区画」を廃止したことにより、広くスペースを取れる駐車位置に、機械式駐車装置を設置するなどの改善策を検討されてはどうでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2007年9月掲載

相続した住戸の駐車場使用契約は有効か

区分所有者である父親が死亡し、息子の私が住戸を相続しました。父親は管理組合と駐車場使用契約を結んでいました。相続後、私が引き続きその駐車場区画を利用していたところ、管理組合の役員の方から、当マンションの管理規約では「区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う」とあり、区分所有者が変更になったので、駐車場を一旦管理組合に返却するように言われました。相続の場合でも、駐車場使用契約は効力を失ってしまうのでしょうか。

 本問の管理規約では、駐車場使用契約が効力を失うのは「専有部分を他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したとき」と定められています。ここで、専有部分を相続することが、譲渡にあたるかどうかが問題となります。
 管理規約の「他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与」とは、一般的に、他人に住戸を売買したときや、競売によって落札されたとき、もしくは賃貸借契約を結んで住戸を他人に賃貸したときを想定していると思われます。近い親族への無償の譲渡(相続や贈与)や無償貸与は該当しないと考えるのが一般的でしょう。
 したがって、相続により区分所有者が変更になったからといって、駐車場使用契約は効力を失うことはないと考えられますので、駐車場を返却する必要はないと思われます。しかしながら、今後も同様のケースが発生する可能性がありますので、規約や使用細則などで明確に基準を設けるのが良いでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2008年2月掲載

第三者が分譲駐車場の区分所有権を保有することに法的な問題はないのか

私が住むマンションでは、住戸である専有部分のほか、区分所有権が設定された分譲駐車場があります。ところが、先日裁判所より、この分譲駐車場を所有する区分所有者の住戸専有部分のみ競売の申し立てを受け、その申し立てが受理された旨の通知が管理組合あてに届きました。当マンションの管理規約では、住戸の所有権と分譲駐車場の所有権の分割処分を禁止しています。本競売によって、当該分譲駐車場を住戸部分の区分所有権を持たない第三者が分譲駐車場の区分所有権を保有する状況になった場合、法的な問題はないのでしょうか。

 お問い合わせのケースのように、マンション内に分譲駐車場を準備する場合、通常、管理規約にて「分譲駐車場は、住戸部分の区分所有者のみが所有できること、さらに住戸と専有部分はそれぞれ単独で売却できないこと」などが定められているのが一般的です。競売の落札により住戸部分の区分所有者ではなくなった方が分譲駐車場の区分所有権の保有を続けることになった場合、管理組合はその分譲駐車場の区分所有者に対して、当該駐車場の区分所有権を第三者(この場合においてはマンションの住戸部分の区分所有者)に譲渡または売却を求めていく必要が生じます。またその区分所有者がこの求めに応じない場合には、分譲駐車場の明け渡し(譲渡または売却)を求める民事訴訟の申し立てを検討していく必要が出てきます。
 しかしながら、これらの競売後の一連の手続きは非常に煩わしく、問題解決に多くの時間を要します。競売後の無用のトラブルを回避するため、債権者(競売申立人)に、住戸部分の競売と分譲駐車場の競売とを一括して競売する手続きをとってもらうようにお願いし、競落人が同じ人になるようにするのがよいでしょう。
 ただ、債権者が抵当権に基づいて競売する場合、分譲駐車場には抵当権がつけられていないという場合は、分譲駐車場を競売することができませんので、住居部分は競落人が区分所有し、分譲駐車場は旧区分所有者のものとなりますので、区分所有者に競落人へ分譲駐車場を譲渡してもらうように要請することとなり、これに従わない場合は、明渡訴訟を提起し、分譲駐車場の競売手続きを別に進めざるを得ないでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2009年3月掲載

給水管の修理費用は、組合と区分所有者のどちらが負担すべきか

理事長をしています。マンション一階住戸の床スラブ下方の地中部分で、給水管(戸別水道メーターより専有部分側の配管)に亀裂が生じて水漏れが発生しました。水漏れの修理費用は、組合と当該区分所有者のどちらが負担すべきでしょうか。管理規約では、給水管の管理責任に関する記載がなく、明確な判断基準が示されていません。

 共用部分と専有部分の境界線を、建物を基準にして考えてみると、マンションなどの区分所有建物の場合、床スラブや天井スラブ、界壁(隣接する専有部分を仕切る壁)など、専有部分に属さない建物の部分は共用部分と扱われています。
 また、マンションでは、管理組合と区分所有者間における、給水管の管理責任を区別する境界線として、各戸に設置された戸別水道メーターが基準とされる場合が多く、水道メーターより外側にある配管が共用設備として管理組合が管理し、逆にメーターより部屋側にある配管を専有部分と同様に区分所有者が管理すべき設備として扱われることが一般的です。
 前述の二つの基準によれば、本件における給水管は、その一部が共用部分に設置されてはいますが、区分所有者が管理すべき設備と考えることは可能です。
 しかしながら、床スラブ下の地中部分に埋設された給水管を、区分所有者が日常的に管理することは非常に困難でしょう。そのような設備の場合、その管理責任は管理組合に帰属するものととらえ、水漏れ修理費用は管理組合で負担することが妥当であると考えられます。
 いずれにしても、同様のケースにおける対応が円滑に行われるよう、管理組合で協議の上、管理規約の整備を行い、責任分担を明確化していくことをお勧めします。
 ちなみに、裁判例としては、枝管が床スラブを貫通して階下の天井裏に設置されている事例で、共用設備として、管理組合が管理するとされた事例があります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2009年7月掲載

駐車場使用契約に違反する使用者が使用方法を改めない場合

理事長をしています。マンションの駐車場の一区画に二台の車両を駐車している駐車場使用者がいます。ほかの車両の入出庫や通行人などの通行に支障があるため、二台目の車両の移動を要請しましたが応じません。どのように対処すればよいでしょうか。※駐車場使用契約書には、ほかの自動車の運転使用の妨げになる行為や、駐車場の運営・管理に支障をきたす行為を禁止する内容を記載しています。

 まずは駐車場の使用者に対し、一区画に二台の車両を駐車する行為は、契約書に記載の禁止事項に抵触し契約違反であることを伝えて使用方法を改めるように申し入れ、応じない場合には契約解除を通告していけばよいでしょう。
 さらに、これらの要求にも応じない場合には、法的な手続きに基づいて区分所有者の共同の利益に反する行為の差止めや、専有部分の一定期間の使用禁止を訴えることも可能です(区分所有法第五七条、五八条)。
 差止めや専有部分の使用禁止の場合には、管理組合の決議が必要ですので、注意してください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2010年1月掲載

駐車場使用契約の抽選制の導入について

理事長をしています。マンション敷設の駐車場が不足しており、抽選による駐車場契約者変更を検討しています。どのような手続が必要ですか。

 多くの分譲マンションでは、敷地内に駐車場が敷設されています。しかし、駐車台数が全住戸に割り当てられるだけ確保されているマンションは少なく、一般的には、管理組合と区分所有者とが一定期間の駐車場使用契約(以下「使用契約」という)を締結し、その後更新され、一度使用契約を締結した区分所有者が長年駐車場を使用し続けるという事例が多く認められるようです。
 そこで、使用契約を締結できなかった区分所有者は、敷地外の駐車場を長年使用することになり、不公平感から使用契約の内容を改めて、抽選制にしてほしいという要請が理事に寄せられることがあり、本問もこのような事例といえます。
 判例は、一般的な使用契約では、使用期間が一年間の更新制の契約内容を、使用期間が二年間とする抽選制の契約内容に変更する組合決議を有効と判断していますので、期間の満了によって使用契約を終了させて、抽選をして使用契約者を決めることは可能であるといえるでしょう。
 抽選制を導入する場合に注意すべきことは、集会において、抽選制の導入を決議することが必要になりますので、区分所有者が相互に理解しあうことが重要です。
 ことに、区分所有者数と駐車場数とが拮抗している場合などは、激しい意見の対立を招くことがあり、その後のマンション管理にも支障の出ることがないように、区分所有者全員が相互に理解しあうことが重要です。例えば、抽選制の決議の成否に関わらず、マンション駐車場と敷地外駐車場の使用料とに差異がある場合には、敷地外駐車場使用者に一定の使用料の補助を行う制度の導入を行っているマンションもあります。
 なお、駐車場付で営業建物として区分所有されている場合には、駐車場の専用使用権がある事例があります。この場合は、一般的な駐車場使用契約と契約内容が異なるため、この使用契約に抽選制を導入することはできないことがありますので、注意してください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2010年8月掲載

専用庭を駐車場として使用することに問題はないのか

理事長をしています。一階住戸の専用庭に自家用車を駐車している居住者がいますが、専用庭を駐車場として使用することは問題ないのでしょうか。

 一階住戸に専用庭を有する一般的なマンションでは、管理規約の中で専用庭は当該住戸の区分所有者に専用使用権(※)を与えられた専用使用部分(共用部分)と定めているため、他住戸の区分所有者は使用することはできません。しかしながら、あくまでも共用部分であることには変わりなく、当該住戸の区分所有者であっても、専用庭本来の用途を勝手に変更することはできません。通常、専用庭の使用方法として認められているのは、背の低い植物を植えたり、移動が容易な物置や子ども用の遊具などを置くことなどです。
 本問のように、専用庭を駐車スペースとして使用することは、共用部分の用途変更に当たるため、総会の特別決議を経る必要があります(区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成)。
 また、特定の住戸の専用庭のみ駐車場に変更する場合には、隣接住戸の所有者に特別な影響を与えるものと考えられ、総会の特別決議のほかに、隣接住戸の承諾を得なければならないことにも注意が必要です。
※専用使用権:敷地や共用部分の一部を特定の区分所有者が排他的に使用できる権利

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2010年10月掲載

敷設駐車場が不足している場合の抽選実施について

理事長をしています。当マンションは総戸数に対して敷設駐車場が不足し、敷設駐車場の使用者とそのほかの組合員との間に不公平が生じているため、総会にて駐車場使用細則を制定し、定期的に抽選会を実施することを検討しています。現在の駐車場使用者はそのような議案は無効だと主張していますが、法的な問題はないでしょうか。

 マンションの総戸数に対し、敷設駐車場の区画数が不足した場合、敷設駐車場を使用できない区分所有者はマンション近隣の駐車場を借りる必要があり、敷設駐車場の使用者とほかの区分所有者の間には利便性における格差が生じてしまいます。この格差を解消するには、従来の駐車場使用契約を終了させた上で、新たな駐車場使用者を募集し直すなどの対応が必要ですが、現在の駐車場使用者がどのような権利に基づいて使用しているかが争点となるでしょう。
 一般的な分譲マンションの敷設駐車場は、管理組合の共用部分とされており、駐車場使用を希望する者は、管理組合と駐車場使用契約を締結する必要があります。問題は、その使用契約書に契約期間がどのように記載されているかということです。多くの場合、契約期間は一年間で、貸主と借主の双方より特段の申し出がない場合においては、前年と同一条件で更新される旨の記載がされていますので、貸主(管理組合)より契約を更新しないことを通知し、契約を終了させることは可能です。
 管理組合の手続きとしては、駐車場使用細則の制定が総会の決議事項(普通決議)に該当するため、総会において出席組合員の過半数の承認を得ることが必要です。
 ただし、このような運用変更は、従前の駐車場使用者からの不平不満が出ることは容易に予想できます。あまりに形式的に手続きを進めた場合には、管理組合内で確執が生じることもあり、今後の組合運営に支障をきたしかねません。総会にて審議を問う前に、組合員に対して十分な説明を行い、理解と協力を得ることが必要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2011年7月掲載

マンション敷地内の放置バイクについて

マンションの敷地内にバイクが放置されています。マンション掲示板や放置バイクに貼り紙をして撤去を求めていますが、所有者が名乗り出ないため、放置バイクの処分を検討しています。どのような手続きが必要でしょうか。

 マンション敷地内へのバイク放置は、美観を損ねるだけでなく、場合によっては住民生活に危険を及ぼすこともあり、可能な限り早急に対処したいものです。
 しかしながら、本問のように、掲示板やバイクに貼り紙をしても所有者が名乗り出ないからといって、放置バイクの処分を安易に行ってしまうと、後になってバイクの所有者から損害賠償等を請求される場合もあります。そのようなトラブルを未然に防ぐためには、おおむね次の手順で対応するのが良いでしょう。
 まずは警察等に問い合わせをし、所有者の特定に努めてください。警察等に問い合わせをした場合、放置バイクのナンバープレート等から所有者が特定できることがあります。放置バイクの所有者が特定できた場合と特定できなかった場合とで対応法が異なります。
【(1)放置バイクの所有者が特定できた場合】
 警察より所有者に連絡をとり、放置バイクの撤去・移動を指導することで、問題が解決する場合があります。
 所有者が判明したにも関わらず放置バイクを引き取りに来ない場合や、所有者と連絡がつかない場合には、訴訟にて「妨害排除請求」および「損害賠償請求」を行うことも可能となります。また、盗難届が出されていたり犯罪等に関与していた場合などは、警察が引き取り保管する場合もあるようです。
【(2)放置バイクの所有者が特定できなかった場合】
 警察等に問い合わせをしても所有者が判明しない場合は、マンション掲示板や放置バイクの車両本体等への貼り紙により、放置バイクの所有者に対して移動、撤去を求め、応じない場合には管理組合にて撤去、廃棄処分をする旨を通告します。
 貼り紙を掲示後、一定期間(おおむね三週間から一カ月程度)を経過しても所有者が現れない場合には、当該放置バイクは所有者が放棄した物権とみなされ、民法第二三九条に基づきマンション敷地の所有者である管理組合が放置バイクの所有権を取得することになり、管理組合により撤去や廃棄処分をすることも可能となります。
(参考)民法 第二三九条 無主物の帰属:所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2012年11月掲載

バルコニーに設置された給湯器の色を使用細則で指定することは可能か

私の所有しているマンションで過日総会が開催され、使用細則において「バルコニー設置の給湯器の色について、外観の統一の目的のため外壁と同系色の茶系色とする」旨の規定を設ける議案が上程され、賛成多数により承認されました。マンションの給湯器は、区分所有者の所有する設備であり、民法第二〇六条によって所有者が自由に使用できるものと思いますが、個人の所有権を制限するようなことをマンションの使用細則で規定することができるのでしょうか。

 民法第二〇六条では「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と規定されていますが、この条文に記載されている「法令の制限内において」の「法令」には区分所有法も含まれます。
 区分所有法第三〇条では「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」と規定され、本条でいう「管理又は使用」の対象は、共有財産の管理といった狭義の管理にとどまらず、専有部分を含めたマンション全体を指す広義の管理を指すものと解されています。
 実際には、管理規約や使用細則には専有部分や個人の所有物の管理・使用に関する規定もさまざまに規定されています。
 ただし、専有部分は、本来はそれぞれの区分所有者が管理及び使用をするべきものですから、その規制の程度については管理組合全体の「共同の利益」と、規制によって伴う「個人使用の不利益」との比較衡量によって判断すべき事項と思われます。
 そして、この比較衡量には絶対的な判断基準がなく、管理組合でいえば、組合員間の共通認識に沿って決めることも許されるものと解されます。
 したがって、本マンションでは、できるだけ建物の色調を統一的な色合いにしたいとの共通認識があるようですので、その使用細則において給湯器の色調指定の規定を設けることは、問題がないものと考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2014年6月掲載

バルコニーの窓ガラス交換費用は誰が負担するのか

理事長をしています。当マンションは竣工より三年が経過していますが、ある一室のバルコニー側サッシの網入りガラスに原因不明のひび割れが生じてしまいました。その部屋の区分所有者から管理組合に対して窓ガラス交換の要望が寄せられたのですが、交換費用は管理組合と区分所有者のどちらが負担することになるのでしょうか。当マンションの規約は標準管理規約に準じています。

 標準管理規約第七条(専有部分の範囲)では、窓枠及び窓ガラスは専有部分に含まれないものとすると定めており、窓ガラスを共用部分としていますが、標準管理規約第一四条(バルコニー等の専用使用権)では、各住戸の区分所有者が窓枠及び窓ガラス(他にバルコニーや玄関扉など)について、専ら使用できる専用使用権を有することを承認すると定めています。
 また、標準管理規約第二一条(敷地及び共用部分等の管理)では、敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとすると定めていますが、そのただし書きで、専用使用権を有するバルコニー等(窓枠及び窓ガラス)の管理については、通常の使用に伴うものについては、「専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない」と定めています。
 本問のケースでは、窓ガラスのひび割れの原因がはっきりしないものの、竣工から三年しか経過していないこと、しかも一室のみにひび割れが生じていることからして、管理規約第二一条に定める「通常の使用に伴うもの」によりひび割れが生じたと解され、専用使用権を有する区分所有者の費用負担で交換を行うこととなるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2014年8月掲載

無断駐車の車両をレッカー移動することができるか

理事長をしています。当マンション敷地内の無断駐車が絶えなくて困っています。再三注意していますが効果がないため、「無断駐車はレッカー移動します」と警告し、車両をレッカー移動したいと考えていますが、法的に問題はないのでしょうか?

 他人の土地に無断駐車をすることは、一般的に、刑事上及び民事上の違法な行為に当たるといえます。
 しかし、仮に法律違反があるとしても、マンション敷地内の車両をレッカー移動することは、民事法上禁じられている「自力救済」にあたります。
 この「自力救済」とは、「法的手続きによらず私力の行使(実力行使)をもって自己の権利を実現すること」をいい、一般的には違法行為とされ、自力救済を行った者が反対に法的責任を問われることになるため、無断駐車の車両をレッカー移動することを行ってはいけません。
 公道での駐車違反であれば、道路交通法により警察に通報すれば警察がレッカー移動する場合がありますが、マンション敷地内の場合は私有地内なので、民事不介入の原則により、警察がレッカー移動することはありません。
 ただしマンションの敷地内でも、居住者の車でないことが明らかな場合は、警察に通報すれば、所有者の確認や連絡などの協力が得られる場合もあります。
 そこで、管理組合の対応としては、貼り紙等の警告で粘り強く対応するとともに、カラーコーンを置くなどして物理的に駐車できないようにし、事実上、無断駐車ができにくくすること等が考えられるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2014年11月掲載

区分所有者が自身で玄関扉の鍵を付けられるか

理事長をしています。当マンションの区分所有者から玄関扉にもう一つ鍵を付けたいが自身で取り付けても問題ないかと問い合わせがありました。管理組合としてはどのように対処すれば良いでしょうか。当マンションの規約は標準管理規約に準じています。

 標準管理規約では、第七条(専有部分の範囲)第二項にて、「玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする」と定めており、玄関扉自体は共用部分とされています。よって、玄関扉に穴を開け新たに鍵を設置する行為は、共用部分を変更する行為にあたるため、管理組合の承諾なく行うことはできません。
 また、標準管理規約第二二条(窓ガラス等の改良)では、「玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯等、住宅の性能の向上等に資するものについて、管理組合が速やかに実施できない場合には、当該工事を各区分所有者の責任と負担において実施することについて、細則を定めるものとする」と定めています。
 今回のケースでは、まず管理組合として玄関扉に鍵を追加設置する場合の細則を定めることが一つの方法といえるでしょう。外観の調和等を考慮し、一定の位置・形状・仕様等を定め、その細則に沿った設置申請であれば許可するという運用を行うとよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2015年2月掲載

撤去の要求に応じない業者の広告を管理組合が撤去できるか

理事長をしています。マンション内の掲示板に業者が無断で広告を貼りに来て困っています。業者に再三にわたり広告の撤去を要求しても応じないため、管理組合の判断で広告を撤去しようと考えているのですが問題ないでしょうか?

 区分所有法第六条にて、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と定めてあります。マンションの住民が掲示板を使用する場合でも、無断使用は共同の利益に反する行為に該当します。
 マンションの住民すら無断使用できない掲示板を、外部の業者が無断使用することは当然認められません。今回の場合、管理組合は業者に対し掲示物の撤去を求めることができ、業者がそれに応じない場合は組合側で掲示物を撤去しても問題ありません。その際、貼り付けされた広告物の状態を写真に撮り、撤去した広告物を保管しておくのが良いでしょう。
 そして、再三にわたり注意しても掲示板に広告を貼る悪質な業者は、住居侵入罪として刑事罰の対象となることもあります。その場合、写真や貼り付けされた広告物が客観的な資料になります。
 いずれにしても、業者には管理組合が刑事告訴をする可能性も伝え、今後は無断で掲示板を使用することが無いように強く求めると良いでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2015年4月掲載

機械式駐車場からの漏水による費用負担について

機械式駐車場の地下部分に駐車していた車両が、上段駐車区画に積もった雪が溶けたことにより発生した漏水によって、染みがつき汚れたとして、車両の所有者から管理組合に対して塗装修理費用を請求されました。この機械式駐車場は複数箇所でたびたび漏水が発生していましたが、管理組合の資金不足のため修繕工事は見送り、除雪を求めたり、シート保護を依頼したりという各自での対策を案内していました。管理組合は修理費用を支払う必要はあるのでしょうか。

 民法第七一七条は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」と規定しています。本問の機械式駐車場は管理組合が所有し、占有する設備と思われますので、漏水箇所の修繕を実施していなかったことが「保存に瑕疵があった」として不法行為責任を問われる可能性があります。そして、本問の場合、管理組合が駐車場使用組合員に対し、漏水対策を促していたとのことですが、「保存の瑕疵」に対する注意義務を果たしていたとはいえないと思われます。
 しかし、仮に損害賠償が認められたとしても、車両の所有者自身が漏水による汚れ対策をとっていないことにも起因すると考えられ、損害の一部を過失相殺されることも考えられます。そして、今回の事故は漏水による汚れということですから、損害の程度もそれほど多額な修理費用ではないと思われますので、話し合いによって解決するのが良いと思います。
 これらのことを考えると、管理組合はこの状態を放置しておくと、今後もトラブル発生の原因となりますので、金融機関より融資を受けるなどの方法で資金調達を行い、修繕工事を行うことをお勧めします。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2015年6月掲載

専用使用権付きの駐車場使用料金の有償化について

私のマンションの一階事務所前には駐車スペースがあり、事務所の専用使用権がついていますが、管理規約では駐車場使用料は無償となっています。住戸部分の区分所有者から、自分たちは有償で駐車場を使用しているのに、事務所部分だけ無償なのは不公平であるとして、有償に改定するよう要望が出ましたので、理事会で検討し、総会に有償に改定する議案を提出したところ、事務所の所有者より、「専用使用料の改定は、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす場合にあたるので、私の承認が必要である」と言われたのですが。

 区分所有法第三一条には、「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と規定されています。
 ご質問のケースでは、一階事務所前の駐車場使用料は管理規約で無償となっていますので、これを有償化することは管理規約を変更する必要があり、その場合、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で改定することが可能です。
 しかしながら、専用使用権のついた駐車場使用料を有償化することが、「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす場合」にあたるかどうかが問題となります。ここでいう「特別の影響」とは、「規約の設定、変更などの必要性及び合理性と、これによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較し、当該区分所有者関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えるか否か」という観点から、検討する必要があります。
 例えば、一階事務所を区分所有する際に、駐車場を確保するために、ほかの区分所有者とは異なって特別な費用を支払うなど、実質的に使用料の先払いがされているような場合には、有償化することに「特別の影響」を及ぼすといえる場合もあります。
 しかし、ほかの区分所有者と一階事務所の区分所有者とに不平等、不公平な取扱いがされているだけで、改定する駐車場使用料が社会通念上相当な額であれば、「特別の影響」を及ぼすとまでは言えないと考えられます。
 その場合には、一階事務所の区分所有者の承諾は必要ないでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2008年8月掲載

マンションの店舗部分を共用部分とするには

理事長をしています。マンションの店舗部分の区分所有者が、当該店舗の売却を予定しています。当管理組合にて店舗部分を購入し、集会室などの共用スペースとして運用できないか検討していますが、法的な問題がありますか。

 管理組合名義で不動産を購入するためには、管理組合の法人化が必要となります。区分所有法では、管理組合を法人化するためには区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成を必要とする総会決議事項とされています(区分所有法第四七条)。
 また、購入した店舗を集会室などの共用部分として管理していくには、当該店舗を管理規約で定める規約共用部分に変更したうえで、規約共用部分たる旨の登記をする必要があります。なお、専有部分を規約共用部分に変更することは管理規約の変更にあたるため、この場合においても総会で区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成が必要な特別決議事項となります(区分所有法第三一条)。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2009年5月掲載

長期不在の部屋のベランダに鳩が住みついた場合

理事長をしています。マンションの一室が長期間不在のため、ベランダに鳩が住みつき、周辺の住民から苦情が寄せられています。衛生的にも問題があるため何らかの対応を取りたいのですが、どのような方法が良いでしょうか。

 バルコニーは共用部分ですが、管理組合から区分所有者に専用使用権を与えられたスペースです。共用部分の管理は管理組合が行いますが、本問のように専用使用権を与えられたバルコニーなどの管理は通常の使用に伴う(清掃や割れたガラスの交換など)責任と費用について、専用使用権を有する者が負担しなければなりません。非居住の区分所有者であっても、この責任は免れません。
 ところで、マンションの一室のバルコニーに鳩が住みつかせるような行為は、区分所有者が居住しているか否かに関わらず、マンションの部屋のバルコニーに鳩の羽が飛散したり、糞をまき散らすことになり「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」(区分所有法第六条)との規定に該当すると考えられます。
 従って、管理組合は当該区分所有者にバルコニーに鳩が住みつかせないような措置を求めるとともに、バルコニーが汚れている場合はその清掃を行うように要求することができますし、このとき同区分所有者が管理組合の要求に応じない場合には、共同の利益に反する行為として、集会の決議により、鳩が住みつかないような構造物の設置などを求める裁判を提起することもできますし、その費用の負担を求めることも可能です(区分所有法第五七条)。
 まずは当該区分所有者に連絡を取り、バルコニーの状況をお伝えしたうえで善処いただくように依頼しましょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2010年3月掲載

専用庭の樹木を独断で伐採することに問題はないのか

マンションの1階住戸を所有する区分所有者です。住戸に専用庭が付いており、新築当初より樹木が植えられているのですが、夏には虫が発生しますし、枝の剪定や落ち葉の掃除も面倒なので、伐採することを検討しています。私の独断で伐採することは問題ないでしょうか?

 当該樹木は、共用部分である専用庭に新築当初より植えられていることから、共用部分と考えられ、当該樹木の取り扱いについては管理規約の定めによることとなります。
 標準管理規約第21条では、「バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行う」旨の定めがありますが、樹木における通常の使用に伴う管理とは、消毒、枝の剪定、落ち葉の掃除等を指すと考えられ、伐採は、共用部分の変更行為に該当するでしょう。
 共用部分の変更行為は管理組合の総会決議事項であることから、区分所有者の独断で樹木を伐採してはいけません。樹木の伐採を希望する場合、総会議案とすることについて理事会に働きかける必要があります。
 なお、区分所有法第17条において「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する」と定められていることから、樹木の伐採がマンションの外観等に大きな影響を及ぼさない限り、その決議要件は普通決議で足りると思われます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2016年4月掲載

使用が制限される場合、専用庭使用料を免除できるか

理事長をしています。私のマンションでは、1階住戸に専用庭があり、専用庭使用料を組合員から徴収しています。この度、大規模修繕工事を実施することとなり、足場を組むこととなったのですが、1階住戸の組合員より、大規模修繕工事期間中は専用庭を使用できなくなるため、専用庭使用料を免除してほしいとの要望がありました。どのように対応すればよいでしょうか。当マンションの規約はマンション標準管理規約に準じています。

 専用庭には、専用使用権という「敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利」が設定されています。
 専用庭使用料は、共用部分である専用庭に設定されている専用使用権の対価として区分所有者が管理組合に支払うものです。
 また、専用使用権は、マンション標準管理規約コメント第14条関係において、「管理のために必要がある範囲内において、他の者の立ち入りを受けることがある等の制限を伴うものである。」とされており、管理組合が行う管理行為によりその使用が制限されることを前提に認められている権利であると考えられます。
 したがって、管理組合が行う大規模修繕工事により区分所有者の専用庭の使用が制限されたとしても、原則として専用庭使用料を免除することはできないでしょう。
 とはいえ、専用庭が使用制限を受ける程度や期間によっては、使用料を徴収しないという判断もあると思われます。あらかじめ使用料の免除規定を定めておくのも一つの方法です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2016年6月掲載

集合郵便受けのダイヤル錠交換費用は管理組合に請求できるか

マンションの区分所有者です。集合郵便受けのダイヤル錠が故障してしまいました。原因は、長年使用したことによる経年劣化のようです。ダイヤル錠を交換する費用を管理組合に請求することはできますか?なお、当マンションの管理規約は標準管理規約に準じています。

 集合郵便受けは共用部分ではありますが、各住戸がそれぞれの郵便受けを専用使用していることから、標準管理規約第14条に定める「区分所有者が専用使用権を有するバルコニー等」に準ずる部分といえます。また、標準管理規約21条第1項では、「バルコニー等の保存行為のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。」と定められています。
 これらにより、集合郵便受けのダイヤル錠の交換は専用使用部分の保存行為と考えられ、当該住戸の区分所有者が負担することが適切と考えられます。
 しかしながら、標準管理規約では、集合郵便受けのダイヤル錠交換費用の負担者を明確に定めているものではありません。管理組合の実情に応じて、負担者を明確にしておくことも考えられるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2016年9月掲載

空き部屋のバルコニーの鳩の糞の放置の対策について

理事長をしています。空き部屋のバルコニーの床面に大量の鳩の糞がたまっており、悪臭が発生していると周囲の住戸の居住者より苦情が出ているのですが、当該区分所有者に手紙で清掃実施を求めても、なしのつぶてで困っています。そこで、管理組合にてバルコニー床面の清掃を行い、清掃費用を当該区分所有者より、毎月の管理費と併せて口座振替にて徴収することを検討しています。何か問題があるでしょうか。なお、当管理組合の管理規約は、標準管理規約に準じています。

 バルコニーは接する住戸の区分所有者に専用使用権があり、清掃などの保存行為については、当該区分所有者の責任と負担により行うこととされています(標準管理規約第21条)が、あくまで共用部分ですので、当該区分所有者に通知の上、管理組合がバルコニーに立ち入り、鳩の糞を除去することについては何ら問題ありません(標準管理規約第23条)。
 ただし、その費用を当該区分所有者の了解なく、口座振替にて徴収することは、民事法上禁止されている「自力救済」にあたり、一般的には違法行為とされています。
 区分所有法第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)第2項の規定により、管理組合が当該区分所有者に対しバルコニー内の鳩の糞の除去を請求する訴訟を提起し、勝訴判決後に、強制執行により鳩の糞を除去することも考えられますが、この方法では、異臭で困っている居住者の救済に相当の期間を要します。
 管理組合が行う対応として、次の方法等が考えられるでしょう。
(1)当該区分所有者に対し、内容証明郵便により「○日以内にバルコニーの鳩の糞を除去すること。期限内に実施しない場合は管理組合にて行いその費用を当該区分所有者に請求すること」の通知をする。
(2)(当該区分所有者が鳩の糞を除去しない場合)管理組合にて鳩の糞を除去する。
(3)管理組合より、当該区分所有者に除去費用を請求する。
(4)(当該区分所有者より支払がない場合)除去費用の支払いを求める少額訴訟を提起する。
 訴訟手続きを進める場合は、弁護士等に相談して進めていくのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2017年4月掲載

専用使用権付きの駐車場使用料の増額について

当マンションには、管理規約で特定の住戸に特定の駐車場区画の使用権が付属している、“専用使用権付き駐車場”と、管理組合と区分所有者が都度使用契約を交わす“契約駐車場”が設定されています。専用使用権付き駐車場の使用料が契約駐車場の使用料と比較すると極端に安価であったため、理事会では専用使用権付き駐車場の使用料増額に向けて管理規約変更の検討を進めています。しかし、専用使用権付き駐車場の利用者が増額に反対しており、管理規約の「規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」の条項を根拠に、自分たちの承諾が無ければ管理規約の変更はできないと主張しています。この場合、反対する一部の組合員の承諾を得ずに管理規約を変更することはできないのでしょうか。なお、当マンションの管理規約は標準管理規約に準じています。

 マンション分譲当時の近隣相場及び現在の近隣相場や、契約駐車場の使用料等に鑑み、増額された駐車場使用料が社会通念上相当な額であれば、反対する一部の組合員の承諾を得ずとも、総会で管理規約変更が承認されれば、駐車場使用料を増額することは可能と考えられます。
 区分所有法第31条第1項では、「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と定められています。
 判例(最高裁 平成10年10月30日)によれば、「特別の影響」とは「規約の設定、変更等の必要性及び合理性と、これによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らし合わせて、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいうもの」と解しています。
 また、標準管理規約においても「規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない」として、正当な理由を持たない組合員については、その承諾は不要とされています。
 例えば、契約駐車場使用料が月額8000円であり、近隣相場も同程度で、専用使用権付き駐車場使用料のみが著しく安価に設定されているのであれば、月額8000円を目安に専用使用権付き駐車場使用料を増額することは、「特別の影響」を及ぼすべきものではなく、当該組合員の「承諾」は不要と考えてよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2018年4月掲載

原因箇所が特定できない漏水の責任は

先日マンションの一室にて漏水事故が発生しました。入居者からの連絡を受け、原因として想定される被害住戸の直上階の給排水管を確認のうえ、当日実施可能であった応急措置を試みたのですが、すぐに漏水は止まりませんでした。漏水が発生した当日は雨天が続いていたこともあり、外壁等からの雨水による漏水の可能性もあったため、後日改めて原因を調査することになったのですが、その後、雨天時にも漏水が発生することはなく、何度調査を行っても原因箇所を特定することができない状況です。入居者からは管理組合に対し、漏水によって被害を受けた内装の原状復旧、家財の弁償について求められています。このように漏水原因箇所が共用部分か専有部分か特定できない場合、損害賠償の責任を誰が負うべきなのでしょうか。

 区分所有法では、第9条(建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定)に「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する」と規定されています。つまり、ご質問にある漏水の原因箇所は共用部分にあると推定して、管理組合が被害箇所の原状復旧や家財の弁償について対応する必要があります。
 なお、マンション総合保険の契約内容によって、漏水調査に要した費用や損害賠償費用について補償される可能性があります。保険代理店等に速やかに事故の状況を報告するとともに補償内容について確認してください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2018年6月掲載

バルコニーに物置を設置している住戸の対策について

マンション管理組合の理事長をしています。バルコニーに物置を設置している住戸があり、直接住民に注意したところ、「購入時に不動産仲介業者から“設置してもよい”と聞いている。購入を決めた条件だった」と言われ、対処に困っています。どのように対応すべきでしょうか?なお、当マンションでは、使用細則で物置、その他工作物をバルコニーや専用庭等の専用使用部分へ設置することを禁止しています。

 バルコニー(ベランダ)は、構造的には建物部分そのものであるから、建物全体の躯体(くたい)の一部であって、法定共用部分と考えることができます。
 また、多くのマンションでは、バルコニーが2個以上接続していて、建築基準法第35条の避難施設としての機能を有する場合があり、そのために、標準管理規約もバルコニーを共用部分とし、当該専有部分の区分所有者に専用使用権を認める規定を設けた上で、バルコニーの使用方法につき使用細則を規定する方式を取っているのが一般的です。
 この場合、バルコニーの使用細則に「物置、その他の工作物の設置」を禁止する旨の規定を設けるのが一般的であり、この規定に反して区分所有者がバルコニーに物置を設置することは、使用細則違反に該当する行為となります。
 そして、標準管理規約第67条では、「理事長は理事会の決議を経たうえで、規約や使用細則等に違反している区分所有者に対して、是正勧告、指示、警告を行うことができる。それでも是正されない場合、理事会の決議を経て、訴訟その他法的措置を講ずることができる」と規定しています。
 また、区分所有者(占有者も含む)は、管理規約および使用細則等を誠実に遵守する義務を負っているため、この住民の言い分は、物置を設置してもよい理由にはなりません(標準管理規約第3条、第5条)。
 まずは、上記を含めて、バルコニーに物置を設置している住戸に話をすることが重要です。再三にわたる是正勧告、指示、警告によっても是正されないことが、訴訟その他法的措置を行うことができる要件となりますので、管理組合として該当する住民への対応を行う都度、記録を取っておくことをお勧めします。
 なお、同じく使用細則で物置等の設置を禁止している専用庭等についても、同様に対応することになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2019年1月掲載

防犯カメラの設置について

防犯カメラを設置したいのですが、どのような点に注意すべきか教えてください。

 防犯カメラには、大きく分けると2つの役割があります。ひとつは犯罪・迷惑行為を抑止する防犯効果、もうひとつは発生した犯罪・迷惑行為の記録です。
 防犯効果は、カメラが作動・撮影しているということを周囲にアピールすることで効果が高まります。「防犯カメラ作動中」といったイラスト入りのステッカーを貼るなど、周囲に防犯カメラの存在を示すと良いでしょう。一方、防犯カメラの存在を示すことは、カメラの設置位置と死角を把握されることにもなりかねません。その対策として複数台の防犯カメラを互いに監視し合い、死角を補うように設置することを推奨します。予算の都合上複数台の設置が難しい場合はダミーカメラの設置についても検討すると良いでしょう。
 また、防犯カメラを設置・稼働すると個人情報を含んだ映像を扱うことになりますので、個人情報保護法の観点から見ても問題のないような「防犯カメラ運用細則」を作成することが必要でしょう。
 防犯カメラの映像を制限無く自由に閲覧できてしまうと個人情報保護のうえで問題となる可能性が高いため、細則の中でも「閲覧」に関しては厳しい制限を設けると良いでしょう。
 具体的には、閲覧を希望する者には閲覧目的を記載した申請書を提出してもらい、その内容が妥当か理事会の承認を受けたのち、理事長等の立会いの下、目的に関する部分のみ閲覧できる、といった運用が考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2020年1月掲載

マンションのフェンスが倒壊し、隣地駐車場の車両を破損させた場合

暴風により、住んでいるマンションのフェンスが倒壊し、隣地駐車場に停めてある車両を破損させてしまいました。 車の所有者からは損害賠償を求められているのですが、管理組合で加入しているマンション総合保険により、保険対象事故として対応することはできるのでしょうか。

 一般的なマンション総合保険(以下、「マンション保険」という)において、暴風(風災)による損害は保険金支払いの対象となる事由に該当しますが、保険の対象となっている範囲は、マンションの共用部分および共用部分に収容されている区分所有者共有の動産のみです。したがって、本問の隣地に停めおかれた車両は保険の対象範囲ではないため、今回のケースでは保険金は支払われません。
 また、マンション保険に施設賠償特約が付保されている場合がありますが、施設賠償特約とは、建物の共用部分に起因する偶然の事故等によって、他人の生命または身体を害したり、他人の財物に損害を与えたりして、法律上の損害賠償責任を負っている場合に保険金が支払われるものであり、本問のように、車両に損害を与えた原因が自然災害である場合には、建物の共用部分に起因する損害ではないものとされ、保険金は支払われないものと考えられます。
 なお、もともとフェンスの設置状態に問題があり、その問題により損害が生じた場合は、法律上の損害賠償責任を負う可能性もありますので、まずは保険会社に相談されてみるとよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2020年3月掲載

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