マンション管理に関する法律トラブル相談室共用部分について


バルコニーに設置された給湯器の色を使用細則で指定することは可能か

私の所有しているマンションで過日総会が開催され、使用細則において「バルコニー設置の給湯器の色について、外観の統一の目的のため外壁と同系色の茶系色とする」旨の規定を設ける議案が上程され、賛成多数により承認されました。マンションの給湯器は、区分所有者の所有する設備であり、民法第206条によって所有者が自由に使用できるものと思いますが、個人の所有権を制限するようなことをマンションの使用細則で規定することができるのでしょうか。

 民法第206条では「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と規定されていますが、この条文に記載されている「法令の制限内において」の「法令」には区分所有法も含まれます。
 区分所有法第30条では「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」と規定され、本条でいう「管理又は使用」の対象は、共有財産の管理といった狭義の管理にとどまらず、専有部分を含めたマンション全体を指す広義の管理を指すものと解されています。
 実際には、管理規約や使用細則には専有部分や個人の所有物の管理・使用に関する規定もさまざまに規定されています。
 ただし、専有部分は、本来はそれぞれの区分所有者が管理及び使用をするべきものですから、その規制の程度については管理組合全体の「共同の利益」と、規制によって伴う「個人使用の不利益」との比較衡量によって判断すべき事項と思われます。
 そして、この比較衡量には絶対的な判断基準がなく、管理組合でいえば、組合員間の共通認識に沿って決めることも許されるものと解されます。
 したがって、本マンションでは、できるだけ建物の色調を統一的な色合いにしたいとの共通認識があるようですので、その使用細則において給湯器の色調指定の規定を設けることは、問題がないものと考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2014年6月掲載

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