マンション管理に関する法律トラブル相談室管理費の滞納問題


自己破産していた区分所有者の部屋が競売された場合、管理費等の請求は

理事長(管理者)をしています。裁判所より、自己破産をしていた当マンションの管理費等を滞納している区分所有者の部屋が、競売により落札された旨の通知を受けました。今後の管理費等の請求はどのように行えばよいのでしょうか。

 区分所有法第8条では、前の区分所有者が管理費等を滞納したまま売買等で所有権が移転した場合には、管理組合は新たに所有権を取得した区分所有者に前の区分所有者が滞納していた管理費等を請求することができると定めています。
 これを特定承継といい、売買だけでなく、競売によって所有権を取得する場合も含まれます。
 本問は、管理費等を滞納している区分所有者が自己破産し、そのマンションが競売によって新たに所有権が移転した場合、滞納された管理費を誰に請求することになるかという問題です。
 ところで、区分所有者が自己破産した場合、破産開始決定前の滞納した管理費等が免責(法的に返さなくてもよいこと)されますから、管理組合は自己破産した区分所有者に対して、破産開始決定前の滞納管理費等を請求することはできません。しかし、破産開始決定後に滞納する管理費等は免責されませんので、自己破産した区分所有者に請求することができます。また、自己破産した区分所有者が破産開始決定前の滞納した管理費等に免責を受けても、前の区分所有者に請求できないだけで、破産開始決定前の滞納した管理費等が消滅するわけではありません。
 そこで、管理組合は競売によって所有権を取得した区分所有者に対して、破産開始決定前後を問わず、自己破産した区分所有者が滞納した管理費全額を請求することができます。
 また、自己破産した区分所有者は、法的に、破産開始決定前のすべての債務の支払い義務を免れますが、その結果、破産開始決定後から競売されるまでの間に発生する管理費等につき、支払い能力が生まれる場合があります。その場合、管理組合は自己破産を受けた区分所有者に対して、競売されるまでの毎月の管理費等を請求するのが良いでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2009年8月掲載(2025年2月更新)

お気軽にお問い合わせください。

マンション管理、ビル・施設管理、
修繕改修工事や設備工事、ビルメンテナンスのお悩みごとなど。

ご相談・お問い合わせ