管理費の悪質な滞納者がいます。管理会社に対し、回収の責任はどこまで問えるのでしょうか。
管理会社に管理組合の会計業務を委託している場合、管理費の集金事務は管理会社が代行します。つまり、本来管理組合が行う管理費の集金に関する権限を、契約によって管理会社に委任しているのです。管理会社は管理組合の名称を明示して(管理組合事務代行○○管理会社など)管理費の請求を行います。管理会社が通常の請求事務を怠ることなく行い、その結果滞納者が発生したとしても、これは管理組合の問題として解決しなくてはなりません。こういった事態に備えて、区分所有法では管理組合に強い権限を与えて、管理費滞納者などの義務違反者に対して、「共同の利益に反する行為の差止め請求」を行ったり、また訴えによって「専有部分の使用禁止請求」、「区分所有権(マンション)の競売請求」などを行うことができるとしています。
滞納者への督促の具体的方法は管理委託契約に定めますが、通常は手紙、電話などによる督促まででしょう。悪質な滞納者へは内容証明郵便で督促し、それでも回収できない場合は、弁護士へ相談の上裁判所へ支払命令の申し立てを行うなどの法的措置を取られるのがよいでしょう。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1992年10月掲載