マンション管理に関する法律トラブル相談室総会・理事会の運営


総会の開催を中止もしくは延期することは可能か

新型コロナウイルス感染症等の感染拡大を防ぐため、理事会の開催は中止としていますが、総会の開催については区分所有法に定める集会の招集に該当することから、年1回の開催が法的に義務付けられていると聞きました。総会の開催を中止、もしくは延期することは法的に問題があるのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の影響によって、前年の開催から1年以内に区分所有法上の集会の開催をすることができなくなった場合の対応について、法務省より以下の通り指針が示されました。

(指針内容)
 区分所有法においては、管理者又は理事が、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならないとされ、集会において毎年1回一定の時期にその事務に関する報告をしなければならないとされていますが、前年の開催から1年以内に必ず集会の招集をし、集会においてその事務に関する報告をすることが求められているわけではありません。
 したがって、今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、前年の集会の開催から1年以内に区分所有法上の集会の開催をすることができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後、本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りるものと考えられます。

 以上の指針から、新型コロナウイルス感染症等を理由に、総会の開催を延期することは法的に問題ないと考えます。ただし、本指針では、集会を開催することができない状況が解消された後、本年中に集会を招集し、集会を開催することが定められていることから、総会の開催自体を中止することは法的に問題があると考えられます。
 また、標準管理規約第46条第4項においても、書面又は代理人による議決権の行使を認めていることから、仮に総会を開催する場合であっても、感染症の感染拡大を防ぐべく、議決権行使書や委任状による議決権の行使を広く呼びかけ、総会会場に大勢の人が集まることがないように対策することが望ましいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2020年5月掲載(2025年2月更新)

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