マンション管理に関する法律トラブル相談室総会・理事会の運営


夫婦2人とも役員になれるのか

分譲マンションの1室を夫婦で共有しています。次期管理組合役員となる順番なのですが、夫婦2人とも役員になれるのでしょうか。

ご質問されている方のマンションの管理規約の内容が不明なので、標準的な例でお答えします。
 一般的な規約では、[役員の資格]に関しては「理事および監事は、○○マンションの組合員のうちから、総会で選任する」と定められています。この条文だけを見ると、ご質問のようにご夫婦2人で共有していらっしゃる場合は、2人がともに区分所有者(=組合員)でありますし、問題はないように見えます。
 しかし、マンションの基本法とも言える区分所有法には「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者1人を定めなければならない」と決められています。これはあくまで総会の議決権行使者に関しての定めですが、これは法律の主旨が、「組合の決議に関して、1戸に複数の共有者がいる場合でも議決権を行使できる人は1人としなければならない」ということなのです。
 この原則は規約の中で運営方法などを規定する理事会においても準用できると考えられ、理事会役員も1戸に1人とするのが妥当です。もし仮に、複数の共有者が役員になることを認めてしまった場合、極端な例ですと、理事が少数の場合(例えば3名の場合)には理事の過半数が1戸の所有者で占められてしまい、理事会の決議が1戸の所有者の意向で決定されてしまう危険性もあります。こうした事態を避ける意味でも、役員は1戸1人で、かつ、その役員は議決権を行使すべき者とするのがよいでしょう。
 ただし、以上は通常のマンションの場合で、再開発ビルなどの区分所有建物で、1区分で多数の議決権を有する場合などでは前提が違ってきますので、規約で特別の定めをすることが必要でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年10月掲載(2025年2月更新)

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