管理組合は法人になることができるそうですがどうすればいいのですか。また、法人になった場合のメリットとしてはどのようなことがあるのか教えてください。
区分所有法では、一定の手続きをとることにより法人になることができると定められています。
その手続きとは、まず総会において、①管理組合法人となること②管理組合法人の名称③管理組合法人の事務所の住所、以上の3点を区分所有者および議決権総数の各4分の3以上の賛成で決議することが必要です。そして、その事務所の所在地において登記をすることにより法人になることができます。
管理組合法人になることによって生じるメリットとしては、法律関係、財産が明確になることがあげられます。例えば裁判において管理組合自ら原告または被告になることができます。電話を敷設したり不動産の所有移転登記をする際にも、名義を管理組合名にすることができます。しかし現状においては、法人格がなくても、管理規約を定め、代表者(理事長等)が選任されていれば訴訟を起こすことができますし、預金口座は管理組合名義で開設することができます。言い換えれば法人にならなくても実務上は大きな違いはないということです。
区分所有法では「管理組合法人の理事は管理組合法人を代表する」と規定しています。法人の理事を複数選任すると、理事全員がそれぞれ代表権を有することになるのです。法人化していない管理組合では理事長のみを区分所有法に定める「管理者」(代表者)として選任しているケースがほとんどですから、今までと同じ形態で組合運営を進めたいのであれば、規約で「管理組合法人の理事は理事長が務める」との定めを設け、理事長のみに代表権を与えるといった工夫も必要となります。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1995年7月掲載
マンション管理、ビル・施設管理、
修繕改修工事や設備工事、ビルメンテナンスのお悩みごとなど。