マンション管理に関する法律トラブル相談室マンションの基本的事項

「区分所有者」とは

私たち分譲マンションの所有者は「区分所有者」と呼ばれていますが、そもそも「区分所有者」とはどういうことですか。

分譲マンションのように一棟の建物であっても、構造上区分された複数(二つに区分されていてもよい)の部分に分かれており、それぞれの部分が独立して住居、店舗、事務所または倉庫その他建物としての用途に使用される場合には、それらの建物部分は分離してそれぞれ所有権の対象とすることができます。こういった所有権のことを「区分所有権」といい、区分所有権を有する者のことを「区分所有者」、区分所有の対象となる建物全体を「区分所有建物」というのです。
 複数の人が一棟の建物を所有する場合、「共有(共同名義)」とする方法もありますが、「区分所有」することによって壁やドアで囲まれたマンションの一戸ずつを個人の所有として登記(区分登記)することができるのです。壁ひとつ隔てた向こうは他人の財産………これが「区分所有」です。
 区分所有建物に適用される法律が「建物の区分所有等に関する法律」で、これは一般に「区分所有法」と呼ばれています。
 区分所有建物は分譲マンションに限りません。事務所ビル、店舗ビル、住宅と店舗・事務所等との複合用途ビルなどで区分所有建物はどんどん増えています。都市化が進むにつれて土地の所有権や借地権、地上権など権利関係は複雑になる一方です。これらの権利者が、個人の権利を従来通り個々に独立した形で所有しながら共同事業で建物を建築することが「区分所有建物」とすることで可能になるのです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1991年4月掲載
共用部分・専有部分について「上塗り基準」「壁芯基準」からみると

分譲マンションで所有権の対象となるのはどこまでですか。

分譲マンションなどのいわゆる区分所有建物の中で、自分だけが所有しており、個人で自由にできる部分を「専有部分」と呼びます。専有部分以外の部分を「共用部分」と呼び、こちらは区分所有者全員で一定の持分割合により(専有部分の面積割合とする場合が多い)共有しています。
  専有部分と共用部分の境界については、ほとんどのマンションの管理規約の中で「上塗り基準」が採用されています。上塗り基準とは専有部分を壁、天井、床などの上塗り部分(壁、天井については断熱材やクロス、床についてはカーペットや畳など)を含めた内側の部分であるとするものです。つまり、窓も壁も床も自分だけのものではなく共有のものなのです。区分所有というのは、物体として所有できるものは内装材と風呂や流し台などの一部の設備だけで、あとは区分「空間」の使用権の所有であることがお分かりいただけるでしょう。まれに「壁心基準」(専有部分を壁、天井、床などの中心線で囲まれた部分であるとする)を採用しているマンションもありますが、この場合でも壁や床、天井などの、く体(コンクリートの部分)については管理規約の中で現状を変更できない旨を定めておかなくてはなりません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1991年5月掲載
登記面積とパンフレットの面積が違うのは

私の買ったマンションの登記簿の専有面積を見ると、パンフレットに書いてある面積より少ないのですがどうしてでしょうか。

分譲マンションを買うとその所有権を第三者に対抗(自分の財産であることを他人に主張すること)するために法務局へ所有権保存登記(新築マンションの場合の登記)または所有権移転登記(転買の場合の登記)の手続きをします。登記簿には専有部分の面積が記載されますが、これは法務局の登記官が、完成したマンションの内法(壁から壁までのさしわたし)寸法を測って算出します。
 一方、マンションのパンフレットに記されている専有面積はほとんどの場合壁心面積(壁の中心線で囲まれた面積)です。よって壁や柱の厚みの部分だけ登記される内法面積より多くなってしまうのです。マンションの販売は建物が完成する前に行われることが多いため、パンフレット作成時点では登記される内法面積が未定ですから便宜上壁心面積をパンフレットに記載しているのです。パンフレットの上では同タイプ同面積のマンションでも仕上がった柱や壁の厚さの違いから登記面積が異なるといったことも起こります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1992年4月掲載
管理者と管理会社の違いは

マンションの「管理者」と「管理会社」はどう違うのですか。

建物の共用部分や敷地といったマンション所有者全員の共用財産を保存し、規約や総会で定められた様々な管理に関する行為を、所有者全員を代理して行うのが「管理者」です。
 管理者は総会で選任します。多くのマンションでは「理事長が管理者を務める」としていますが、賃貸住戸が多いなどの理由から理事のなり手がいないようなマンションでは、分譲会社や管理会社が「管理者」となる例もあります(管理者はマンションの所有者である必要はありませんし、会社などの法人も管理者になることができます)。
 管理者は総会を少なくとも年一回招集し、組合の事務に関する報告(決算報告等)を行わなくてはなりません。総会議事録や管理規約の保管(利害関係者への閲覧を含む)業務、損害保険契約に基づく保険金の請求及び受領業務等、区分所有法で、「管理者」の権限や義務が定められているのです。
 一方「管理会社」は管理受託会社を意味することが多く、管理者または管理組合から管理の実施を委託された相手方のことです。管理会社の業務は委託契約の内容によりますが、設備の保守管理や清掃業務、管理員業務等に加えて、事務管理や会計管理業務まで委託する「総合管理方式」が一般的になっています。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1992年3月掲載
管理組合を結成しなくてもよいか

新築のマンションで管理組合の規約承認と役員の選出を議題として総会が開かれました。その席で、管理会社から管理費の悪質な滞納者がいる旨説明がありました。私たちの責任ではないので、管理組合結成を見送り、事態の解決を管理会社に任せたいのですが。

昭和五八年に区分所有法が大幅に改正され、次の規定が新設されました。
(区分所有者の団体)
第三条「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」
 この条文は前半の「…団体を構成し、」で、いったん区切って解釈します。つまり、所有者全員を構成員として当然に管理組合(区分所有者の団体)が成立することとなったのです。旧法のもとでは管理組合へ加入しないマンション所有者や、組合の運営を不満に脱退するマンション所有者が現れるといった問題がありました。法改正後は、「マンションの購入=管理組合への加入」、「マンションの売却=管理組合からの脱退」ということになり、マンションの所有権と管理上の責任が一体化されたのです。そして規約を定め、集会(総会)を開き、管理者(多くの場合理事長)を置くことが任意にできるのです。
 管理組合が当然に設立するにもかかわらず、規約も定めず管理者(理事長)も置かないとなれば、その管理組合は当事者能力に欠けているといえましょう。管理費滞納者への対応など管理組合の問題を解決するには、管理規約の設定や管理者の選任はもちろんマンション所有者全員の自主的な共同管理意識と団結が不可欠です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1992年9月掲載
管理組合結成のメリットは

昭和五八年の区分所有法改正前に分譲されたマンションで管理組合はありません。大がかりな修繕が必要な時期となって管理組合を結成したいと思っています。
 一部に今までどおり管理会社に全てを任せたいという意見もあるようですが、組合を結成すると住民の方々にどんなメリットがありますか。

昭和五八年に区分所有法が改正となって、マンションの所有者全員はマンションとその敷地を管理する団体(管理組合)を構成することになりました。しかし古いマンションでは管理組合がないままで管理会社と個々の所有者が管理委託契約を結んでいるケースが時折みられます。
 管理会社に管理者として管理運営の全てを任せていると、マンションという共有財産を所有者自らの手で管理し、資産価値を高めていかなくてはならないとの意識が薄くなり、管理運営について協力が得られにくい結果となります。大規模な修繕や必要な管理費の改定等重大な案件の処理がスムーズに運ばないといった運営上の問題が起こりがちです。
 所有者全員が総会を開き、自分たちの代表である役員を選び理事会や総会での決定に協力していく、こういった民主的な組合活動を通じて共有財産の管理意識が育つものと期待されます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1991年12月掲載

定期借地権付マンションとは

新聞で定期借地権付マンションについて書いてありましたが、一般の分譲マンションとは違うのでしょうか。

定期借地権付マンションは分譲マンションの一種で、区分所有者が持っている敷地利用権が通常の所有権ではなく借地権となっているものです。
 一般の分譲マンションとの違いですが、マンション取得後、地主への地代の支払いを要します。地主は土地の所有者で分譲業者の場合があります。次に、区分所有者は敷地の所有権を持たないため、固定資産税は不要です。また土地の調達に資本がいらないだけ、マンション取得価格が安くなるのが利点といえます。
(1)借地権には期限があります
しかし、マンションの定期借地権には期限が五〇年以上の一般定期借地権と三〇年以上の建物譲渡特約付借地権の二つがあり、共に期限満了後は原則として地主へ土地の返還をしなければなりません。
特に一般定期借地権の場合は更地にして土地を返還するのが基本となるため、購入者は建物の取り壊し準備金を負担します。
 それ故に建物が老朽化し、根本的な修繕や建替えの必要があっても借地権の期限の関係で放置してしまうという問題が生じる可能性があります。
(2)転売には地主の承諾が必要です
 ところで借地権付マンションの転売については、敷地利用権を専有部分と一括して売却することになりますが、多くの場合、敷地利用権が借地権となっていますので、転売の際には地主の承諾が必要です(ただし、特別の事由がない限り、地主は承諾するものとされています)。地代の滞納がある場合はその支払い債務を譲受人が引き受けるかを確認する必要があるでしょう。
 このように定期借地権付マンションは借地上にマンションを建てているために、建物の処分に対して一般の分譲マンションより制約が多いので、購入の際には契約内容や管理規約をよく確認してください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年10月掲載
中古マンション購入者も管理規約を守らなければならないか

中古マンションを購入し現在住んでいますが、既存の管理規約に納得できない点があります。自分の知らないところで作られた管理規約ですが、守らなければなりませんか。

区分所有法では「規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人(特定承継人には、普通の売買の買主、競売で取得した者や贈与を受けた者などが入ります)に対しても、その効力を生ずる」(第四六条)と規定されています。結局のところ、マンションの所有者となった以上は、内容を知っているか否かに関係なく、総会で有効に決議され制定された規約については、守らなければならないということになります(規約は、賃借人や社員寮として専有部分を使用している社員などにもその効力が及びます)。
 しかし、規約はある一定の手続きを経れば変更(または廃止)することができます。総会の議案として当該規約の変更(廃止)をあげ、区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成を得るなどの方法がありますので、どうしても納得できないのであれば、理事会や管理会社に相談してはいかがでしょうか。
 また、これからマンション購入を考えておられる方は、建物自体や立地条件などのハード面だけでなく、規約などの管理のようなソフト面もよく調べておく必要があります。特に規約には定めのない、日常の細かなことを定めた「使用細則」もしくは「使用規則」も重要です。区分所有法では、利害関係人(購入予定者も含む)には規約などの閲覧を認めていますので、仲介業者に依頼したり、直接管理組合に尋ねるなどして事前に閲覧しておくとよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1998年10月掲載
屋外駐車場や専用庭はだれのものか

マンションの屋外駐車場や専用庭はそれを使用している個人の財産ですか。

通常のマンションでは、建物の敷地全体をマンションの所有者全員が共有しています。共有者間の持分の割合はマンション販売時にパンフレットなどに表示されている専有面積(壁心面積)の割合によるのが一般的です(区分所有法では、共用部分の割合は規約に別段の定めがない限り専有部分の内法面積の割合によるとの規定があります)。
 昭和五八年に改正された区分所有法によって、建物の敷地に関する権利は規約に別段の定めがある場合を除いて、専有部分と分離して処分(売買、贈与、担保設定など)することができなくなりました。マンションの屋外駐車場や専用庭はマンションの敷地全体が全員の共有財産であるとの前提に立った上で、特定の所有者に有償又は無償で専用で使用することを認めているものです。決して個人の財産ではありませんし、分割して自分のものにすることもできないのです。固定資産税も共有持分割合に応じて全員で負担しています。売買契約書に記載の敷地面積と共有持分割合を掛け合わせてみると、あなたの所有している持分に相当する面積が分かりますが、通常のマンションではほんの数坪しか相当せず、意外に少ないものです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1993年2月掲載
エレベーター管理費用は一階所有者も払うのか

私が一階の部屋を所有しているマンションでは、管理費の中にエレベーターの保守管理費用が含まれています。通常エレベーターを利用しない一階の所有者であっても、管理費としてエレベーター保守管理費用を負担しなければならないのでしょうか。

区分所有建物においては、各区分所有者の利害は必ずしも一致しませんし、共用部分の利用状況も各区分所有者ごとに異なっているのが通常です。しかしながら、共用部分によって各区分所有者が受ける利益の程度を管理費の額にすべて反映させることは不可能であり、また相当であるともいえません。区分所有法では、原則として各区分所有者の専有部分の床面積に応じて共用部分の管理費を負担することが定められていますが、これは管理費を決定する上での混乱を避ける意味でも合理的な方法だといえるでしょう。
 ご質問の場合について考えてみましょう。エレベーターの使用頻度を考えた場合、確かに一階部分の区分所有者は、上層階の所有者に比べてきわめて少ないことが予想されます。しかし、管理上の必要として、屋上に設置された高架水槽やTV受信施設(ともに共用物です)の保守のためにもエレベーターは利用されていることを考慮しなくてはなりません。
 皆さんが購入されたマンションの価格の原価を構成する主要なものは、土地費用と建築費用です。このうち、土地費用については、建物を高層にすることによって、低層の場合よりも個人の負担額を安く設定することが可能になっています。つまり、エレベーターによって現在のような高層マンションが成り立っているわけですから、エレベーターが一階の区分も含めて購入価格を下げる役割を果たしているといえるのです。
 これらの事情を考慮した上で、一般にマンションでは、エレベーターの保守管理費用を全員で負担するような管理費の設定がなされているのです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年3月掲載
敷地の分離処分は可能か

この度、市より、道路拡張工事のためにマンションの敷地の一部を売却してほしいとの申し入れがありました。理事会として方針を検討中ですが、どのような手続きが必要になるのでしょうか。

具体的には次の三段階の手続きをふむ必要があります。
(1)まず、分離処分する部分とマンションの敷地として残る部分の土地を分割する旨を登記しなければなりません(これを土地の分筆といいます)。
(2)次に、マンション管理組合の規約を変更します。
 管理組合規約にはマンションの敷地に関する記述がありますが、敷地の一部を分離処分するのですから、敷地面積、図面などが変更されます。
 規約の変更には、集会における区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成が必要です。
(3)最後に、敷地の売却について、区分所有者全員の書面による合意をとりつけなければなりません。
 マンションの敷地は、区分所有者全員の共同の所有物として扱われていますので、今回、分離処分する敷地についても区分所有者全員が所有権を有しています(これを共有といいます)。したがって、不動産売却の契約のためには、民法第二五一条により共有者全員の合意が必要であるため区分所有者全員の署名押印をとりつけることとなります。
 なお、売却時の利益は、通常、各々の持分に応じて区分所有者に還元されます。将来の大規模修繕の資金に不安のあるマンションであれば、これをすべて修繕積立金(一時金)としてマンションの資産とすることも検討されてはいかがでしょうか。この場合、標準管理規約では、総会の普通決議による承認が必要とされています(第四七条二項、四八条三項)。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年6月掲載
管理費等の請求を第三者にしてもよいか

当マンションには、滞納者が一人います。滞納者本人からの入金は全くないのですが、滞納者の弟さんからの入金は定期的にあります。先日、その弟さんから「請求を私にしてください」と言われました。管理費等の請求先をその人に変更しても問題はないのでしょうか。

管理組合は、当該マンションおよび、その敷地・附属施設の管理を行うために必要な経費を、通常、管理費・修繕積立金(以下、管理費等)として区分所有者から徴収しています。また、区分所有者は管理組合に対して管理費等の支払義務がありますので、管理組合は管理費等の支払いを区分所有者に当然に請求しています。
 上記質問の場合、滞納者の弟さんとはいえ管理組合にとっては第三者となる人からの入金を管理組合として受け取ってよいかということですが、その入金の目的、つまり滞納管理費の支払いということが明確であれば問題はないと思います。
 次に、区分所有者から区分所有者ではない第三者へ請求先を変更することが可能かどうかということですが、本来、滞納者の弟さんはこの滞納管理費等についての支払義務は全くありません。
 兄弟間で例えば兄にかわって弟が支払うという約束ができている場合もあり、このような場合、管理組合として本来支払義務のない第三者へすぐ請求するのは、その約束を認めたといわれる可能性があります。安易に請求先を変更してトラブルとなっているケースも少なくありません。
 滞納管理費等の請求は原則どおり支払義務のある区分所有者にしておくほうがよいでしょう。どうしても請求先を変更したい場合でも、滞納者本人と第三者の両方に請求するとか、滞納者である兄の名前での請求書を本人へ、その請求書の写しを弟さんへ送るという方法がよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2000年3月掲載
「マンション管理適正化法」とは

「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」という新しい法律が二〇〇〇年一二月に衆院本会議で可決・成立し、一二月八日に公布されたと聞きましたが、どんな法律でしょうか。

国土交通省の資料によると、分譲マンションの戸数は平成一一年末現在で約三六七万戸あり、約一〇〇〇万人が分譲マンションに住んでいます。
 また、同じ資料では、建設省(現国土交通省)の告示に基づくマンション管理登録業者は五三五業者あり、これらの業者がマンション全体の約八〇%の管理を行っていると報告されています。
 これだけ多くの人がマンションに住み、その管理を管理会社に委託しているにも関わらず、これまで国としてマンションの管理そのものに焦点を当てた法の整備は行っていませんでしたが、平成一二年二月に行われた衆議院予算委員会の質問がきっかけとなって、議員立法によりこの法律が立案されました。
 この法律のポイントは次の通りです。
 まず、マンション管理業者は、国土交通省への登録が義務づけられます。登録を受けない業者は営業できません。また、事務所ごとに国家資格試験に合格し、二年間の実務経験を有する「管理業務主任者」を置くことが義務づけられました。
 次に国家資格試験による「マンション管理士」の制度が新たに発足します。マンション管理士は管理組合や区分所有者の相談に応じ、マンション管理組合の運営や管理について助言や指導等の援助を行います。
 更に、マンション管理業者の業務に関して、業務規則が設けられました。
例えば、契約の締結にあたり、予め管理組合に対して業務内容、費用などの重要事項を説明すること、財務諸表等の情報開示、契約成立時の書面交付、再委託の制限、管理事務の報告などの業務規制があります。
 これまで、マンションの管理会社に対して、業界での自主規制や監督官庁の指導はありましたが、法律による規制はありませんでした。今回は、規制緩和が叫ばれる中での新法制定です。得体の知れない業者や団体から管理組合を保護する意味がある反面、いわば時代の流れに逆行した施策とも受けとめられる面があります。規制や形式を整えることに走るあまり、管理組合に必要以上の負担を求めるようでは、「良好な住環境の確保」というこの法律の本来の目的に反することになるため、今後整備される省令や通達が注目されています。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2001年5月掲載
区分所有法の改正及び施行について

区分所有法が改正され、施行されたと聞きました。どのような点が変更されたのでしょうか?

区分所有法が平成一四年一二月一一日に改正され、平成一五年六月一日より施行されました。
改正の概要は以下のとおりです。
(1)共用部分の変更
 大規模修繕などの保存・現状維持を目的とする工事を実施する場合の決議要件が「四分の三」から「過半数」に緩和されました。
(2)管理組合の法人化
 管理組合が法人となるための三〇人以上という人数要件が撤廃されました。
(3)規約・議事録等の電子化
 規約・議事録の関係書類は、法務省令で定める署名押印に代わる措置をとることにより、電磁的記録をもって作成することができます。
(4)議決権行使の電子化
 書面による議決権の行使に代えて、規約または集会の決議により、法務省令で定める電磁的方法により議決権を行使することができます。
(5)書面または電磁的方法による決議
 区分所有者全員の承諾があるときには、書面または法務省令で定める電磁的方法による決議をすることができます。
(6)建替え決議
 マンションの建替えについて、円滑に進める措置として、建替え決議の要件の見直しがされました。改正前の区分所有法では、建物の状況が要件の一つとしてありましたが、それが撤廃され、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建替えが可能になりました。
 また、建替え決議がされる場合の手続きの整備がされ、建替えを目的とする集会の招集を二カ月前に行うこと、建替えに関する情報の提供、説明会の開催が義務づけられました。また、改正前は同一敷地においてしか建替えが認められていませんでしたが、隣接地を含めた建替えが可能になりました。
 大まかな概要としては、以上のことがあげられますが、それ以外に当事者適格の明確化や復旧時における買取請求権の手続規定、規約の適正化なども盛り込まれています。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2003年6月掲載
区分所有法上の団地とは

分譲の住宅団地には、区分所有法による団地と区分所有法によらない団地とがあると聞いたのですが、その違いは何なのでしょう。

「区分所有法上の団地」とは、当初より、それらの区画に土地(登記簿上、分筆されずに共有部分になっている)と建物が一体的に分譲されており、土地・建物に区分所有登記がなされているものをいいます。この場合の団地規約は区分所有法上の規約となり、区分所有法を含む民法など諸法令をもとに作成されます
 これに対して、当初は土地(登記簿上分筆され単独所有になっている区画)のみを順次分譲し、その後建物を建てていったような団地は、「区分所有法上の団地」とはなりません。この場合の団地規約は区分所有法上の規約ではなく、民法など諸法令をもとにした約束を明文化したものです。区分所有法上の規約に準じた形式をとっていますが、区分所有法のみに定めがあり、民法などの諸法令上では定めのない条項の適用には注意が必要でしょう。ただし、このときに共有の団地浄化槽施設、共聴アンテナ等の共有の附属施設がある場合は、それらの施設を管理することを目的とした団地管理組合が構成されることとなります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2007年5月掲載
同居していない区分所有者の親戚は利害関係人にあたるか

理事長をしています。このたび、ある区分所有者の親戚という方から、管理規約を閲覧したい、との要望がありました。この親戚は、このマンションに住んでいる方ではありません。利害関係人からの閲覧請求には応じないといけないことは理解していますが、同居していない区分所有者の親戚は利害関係人にあたるのでしょうか。

区分所有法第三三条には、「管理者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない」と定められています。
 ここで「利害関係人」とは、法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上の利益や不利益を受けたりする者などは対象となりません。では、法律上の利害関係がある者とは、どういう者をいうのでしょうか。主なものを以下にあげてみます。
(1)区分所有者および占有者またはその代理人
(2)売買などによって区分所有権を取得しようとする者および専有部分を賃借しようとする者
(3)管理組合に対し債権を有する者
(4)区分所有権または敷地利用権の上に抵当権を有する者
(5)区分所有者から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者などその他の規約上特段の定めのある者
などです。
 ご質問のケースの場合、親戚の方がマンションの占有者である、または専有部分を賃借する予定があるという理由がない限り、ただ区分所有者の親戚というだけでは区分所有法上の「利害関係人」とは認められないでしょう。ただし、区分所有者からの委任状があり、区分所有者の代理人として請求してきた場合は、管理者として閲覧を拒むことはできないと考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2008年11月掲載
管理規約の原本が保管されていない場合は

理事長をしています。当マンションは築三〇年経ちますが、管理規約の原本が保管されていません。管理組合としてどのように対応すべきでしょうか。

集合住宅であるマンションでは、生活スタイルや考え方が異なる人が居住しています。管理規約は、そのような建物で良好な住環境を確保したり、管理組合の円滑な管理業務を行うことを目的に作られています。区分所有法第三三条では、この管理規約の取り扱いについて「管理規約は管理者(一般的には理事長)が保管すること」「利害関係人の請求があったときには、閲覧を拒めないこと」「規約の保管場所は建物の見やすい場所に掲示しなければならないこと」を定め、同法七一条にて義務違反者に対する罰則規定を設けていることからも、その重要性を容易に理解することができます。
しかしながら、築年数が経過したマンションでは、管理規約の原本を紛失してしまっている場合もごくまれに見受けられます。そのような場合には、次のような手続きで管理規約原本を整備しておくとよいでしょう。
(1)新築マンション分譲時の管理規約案が残っているとき
 総会において、分譲時の管理規約案を原本と認める議案について承認を得る。
(2)分譲時の管理規約案が残っていないとき
 新たに管理規約案を作成し、総会において承認を得る。
 いずれの手続きによる場合でも、管理規約の制定または変更に当たるため、組合員数及び議決権総数の各四分の三以上の賛成による特別決議が必要です(区分所有法第三一条)。
 お問い合わせのマンションは、築後三〇年を経過しているため、現在のマンション事情にあわせて、新たな内容で管理規約を整備することを検討されてもよいのではないでしょうか。その際は、国が作成した「マンション標準管理規約」(平成二三年七月改正)を参考にされることをおすすめします。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2011年4月掲載
管理規約を定める際の注意点について

理事長をしています。理事会で管理規約の変更を検討しています。法律上の制約など、何か注意すべき点がありますか。

分譲マンションのような、一棟の建物を区分して所有する建物(区分所有建物)に適用される法律として区分所有法があります。
 マンションの管理規約は、原則として区分所有法の定めに準ずる必要がありますが、管理規約で別段の定めを置くことが可能な事項(任意規定)と、必ず区分所有法の定めに従う必要がある事項(強行規定)があります。
 任意規定の場合には、法文に「規約で定めることができる」などと記載があり、区分所有法よりも管理規約の定めが優先されます。これに対して、強行規定の場合には、管理規約で区分所有法と異なる定めを設けることはできず、仮に別段の定めを設けたとしても、区分所有法が優先され管理規約の定めは無効となりますので注意が必要です。
〈任意規定の例〉
(1)集会(総会)の招集手続
マンションの集会(総会)は、管理者(一般的には理事長)が招集しますが、招集が必要であるにも関わらず、管理者が招集手続きを取らない場合には、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対して集会(総会)の開催を請求することができます。この五分の一という定数は七分の一や十分の一というように管理規約で引き下げることができます。ただし、この定数を四分の一や三分の一のように引き上げることはできません。
(2)集会(総会)の議決権割合
各区分所有者の議決権は、原則的には共用部分の持ち分割合(各人が有する専有部分の床面積の割合)とされていますが、これを一住戸につき一議決権とするように、管理規約で別段の定めをすることができます。 〈強行規定の例〉
(1)管理規約の設定、変更および廃止に関する集会(総会)決議要件
管理規約の設定、変更、廃止は、集会(総会)において区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成が必要です。
(2)義務違反者への措置に関する集会(総会)決議要件
専有部分の使用禁止請求および区分所有権の競売請求を行う場合、区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成が必要です。
(3)建替え決議に関する集会(総会)決議要件
マンションの建物を取り壊し、かつ、その敷地の全部または一部の土地に、あるいはその敷地の全部または一部を含む土地に新たにマンションを建てる場合には、区分所有者および議決権の各五分の四以上の賛成が必要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2013年1月掲載

管理規約の原本が存在しない場合の原本作成について

理事長をしています。当マンション管理組合においては、規約原本が存在していません。過去に数回規約改定を行っていますが、現在まで規約原本に関する定めは設けていませんでした。今回、現に有効な内容の規約原本を作成したいと考えていますが、どのような手続きをとれば良いでしょうか?

区分所有法第三三条は、規約の保管および閲覧に関して、「規約は、管理者が保管しなければならない。管理者がないときは…規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない」と規定し、これを受けて、標準管理規約では、規約の原本に関して、「この規約を証するため、区分所有者全員が記名押印した規約を一通作成し、これを規約原本とする」、「規約原本は、理事長が保管し」、「理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等の保管場所を掲示しなければならない」などと規定しています。
 本問は、この規約原本が存在しないということですが、この規約原本の写し(コピー)があり、そこには、規約原本に関する規定がないということのようです。
 ところで、「規約原本」には区分所有者全員の記名押印がありますので、それが確認できるのであれば、総会において、「本規約(コピー)は現に有効な規約原本の写しであることを確認する」という議案を総会に提出し、普通決議を得る手続きで足りるといえます。
 しかし、区分所有者全員の記名押印のないような規約の写しがあるだけであれば、「規約原本」の写しといえず、新たに「規約の設定」手続きを取る必要があります。
 その場合、過去に数回行った規約改定の条項と規約原本に関して新たに追加した条項とを盛り込んだ規約を作成し、区分所有者および議決権の各四分の三以上の多数による総会の特別決議を経て、「規約原本」を作成する必要があります。
 次に、普通決議で有効な規約原本の写しが確認された場合には、規約原本に関する規定を新たに追加する条項を盛り込んだ「規約の改定」手続きを取る必要があり、「規約の設定」手続きと同様の総会の特別決議を得て、新たに追加する条項を盛り込んだ規約原本(写し)の冊子を作成することになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2013年9月掲載

管理費・修繕積立金の負担割合について

理事長をしています。先日、当マンションの所有者より管理費や修繕積立金の負担割合が専有部分の専有面積の割合となっているのはなぜかと問い合わせを受けました。どのように回答すれば良いでしょうか?

区分所有法によれば、第一四条(共用部分の持分の割合)において「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による」と規定しています。また第一九条(共用部分の負担及び利益収取)で「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」とされており、建物を適正に維持管理するための負担を専有部分の床面積の割合から求められる持分に基づくことを基本的な考え方としています。
 これらの規定を受けて、マンション標準管理規約では第二五条(管理費等)第二項において「管理費等(管理費、修繕積立金)の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出する」と規定しています。当マンションの管理規約が、マンション標準管理規約に準じて、管理費等の負担割合を専有面積の割合と規定しているのであれば、これに従うことになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2013年10月掲載

標準管理規約の改正に伴い、管理規約を改定する必要があるか

管理組合の理事長をしています。2016年3月に改正マンション標準管理規約が国土交通省より公表されたと聞きました。標準管理規約の改正に伴い、当マンションの管理規約を改定する必要があるのでしょうか。

標準管理規約とは、管理組合が各マンションの実情に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考として、国が作成し、その周知を図るものです。
 この度の標準管理規約の主な改正ポイントは次のとおりとなっていますが、各管理組合において、必ずしもこれらの内容を管理規約に反映させなければいけないものではありません。
【主な改正ポイント】
(1)外部専門家の活用
(2)専有部分の修繕等
(3)暴力団等の排除規定
(4)災害等の場合の管理組合の意思決定
(5)緊急時の理事等の立入り
(6)コミュニティ条項等の再整理
(7)管理費等の滞納に対する措置
(8)マンションの管理状況等の情報開示
 現状の管理規約にて管理組合運営に支障が出ていないようであれば、標準管理規約改正に伴って管理規約を改定する必要はないでしょう。
 なお、管理規約の改定は特別決議事項となりますので、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上の賛成が必要となります。
 非常に重要な決議となりますので、管理会社等と相談し、検討を重ねた上で、議案を上程することをお勧めします。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2016年7月掲載

「利益相反取引の防止」とは

このたび改正された標準管理規約の役員に関する条文として「利益相反取引の防止」(第37条の2)が追加されています。どのような趣旨で定められたものなのでしょうか。

役員は、マンションの資産価値の保全に努めなければならず、管理組合の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図ることがあってはいけません。
 この条文は、役員が直接または間接的に管理組合と取引を行おうとする場合には、理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めたものです。
 また、標準管理規約では、理事会の決議に特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない(第53条第3項)ことを定めるとともに、管理組合と理事長との利益が相反する事項については、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する(第38条第6項)ことも定めています。
 標準管理規約でこれらのことが定められた趣旨は、管理組合の取引先として自身の所属会社や知り合いの会社を選定し、自己のために利益誘導をしようとする事例が後を絶たないため、これを抑止するためです。
 役員はもちろん、組合員も管理組合の取引先の選定にあたって自身に近い業者等を推薦することは、図らずとも上記のような疑念を抱かれることになりますので、厳に慎むべきです。また、万が一管理組合内でそのような疑念がある行為がみられた場合には、他の役員または組合員は毅然としてこれを制止するべきでしょう。
【参考】
(利益相反取引の防止)
第37条の2 役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
1 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。
2 管理組合が役員以外の者との間において管理組合と当該役員との利益が相反する取引をしようとするとき。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2016年11月掲載
管理組合を法人化した場合、契約書を締結し直す必要があるか

理事長をしています。当マンションでは、今年度中に管理組合を法人化する予定としています。管理組合を法人化すると「〇〇マンション管理組合法人」という名称に変更しなければならないと聞いたのですが、管理組合の名称を変更するのであれば、従来管理組合が締結していた各種契約書を締結し直す必要があるでしょうか。

管理組合が法人化した場合、その名称中に「管理組合法人」という文字を用いなければなりません(区分所有法第48条)。つまり、管理組合を法人化することは管理組合の名称変更を伴うこととなります。ただし、管理組合の名称が変わったとしても、法人化前と後との間で管理組合を構成する組合員は変わらないことから、管理組合と管理組合法人との同一性が失われるものではありません。したがって、従来管理組合が締結していた契約は、法人化以後も有効であり、契約書を締結し直す必要はないでしょう。
 また管理組合法人の成立前に総会で決議されていた事項や従来の管理規約及び管理者(理事長)の職務の範囲内の行為については、管理組合の法人化後もその効力を生じる(区分所有法第47条第5項)とされていることから、法人化後にあらためて追認の総会決議等の手続きを経る必要もありません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2017年7月掲載

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