マンション管理に関する法律トラブル相談室マンションの基本的事項


管理規約を定める際の注意点について

理事長(管理者)をしています。理事会で管理規約の変更を検討しています。法律上の制約など、何か注意すべき点がありますか。

分譲マンションのような、1棟の建物を区分して所有する建物(区分所有建物)に適用される法律として区分所有法があります。
 マンションの管理規約は、原則として区分所有法の定めに準ずる必要がありますが、管理規約で別段の定めを置くことが可能な事項(任意規定)と、必ず区分所有法の定めに従う必要がある事項(強行規定)があります。
 任意規定の場合には、法文に「規約で定めることができる」などと記載があり、区分所有法よりも管理規約の定めが優先されます。これに対して、強行規定の場合には、管理規約で区分所有法と異なる定めを設けることはできず、仮に別段の定めを設けたとしても、区分所有法が優先され管理規約の定めは無効となりますので注意が必要です。

〈任意規定の例〉
①集会(総会)の招集手続
 マンションの集会(総会)は、管理者(一般的には理事長)が招集しますが、招集が必要であるにも関わらず、管理者が招集手続きを取らない場合には、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対して集会(総会)の開催を請求することができます。この5分の1という定数は7分の1や10分の1というように管理規約で引き下げることができます。ただし、この定数を4分の1や3分の1のように引き上げることはできません。
②集会(総会)の議決権割合
 各区分所有者の議決権は、原則的には共用部分の持分割合(各人が有する専有部分の床面積の割合)とされていますが、これを1住戸につき1議決権とするように、管理規約で別段の定めをすることができます。

〈強行規定の例〉
①管理規約の設定、変更および廃止に関する集会(総会)決議要件
 管理規約の設定、変更、廃止は、集会(総会)において区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要です。
②義務違反者への措置に関する集会(総会)決議要件
 専有部分の使用禁止請求および区分所有権の競売請求を行う場合、区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要です。
③建替え決議に関する集会(総会)決議要件
 マンションの建物を取り壊し、かつ、その敷地の全部または一部の土地に、あるいはその敷地の全部または一部を含む土地に新たにマンションを建てる場合には、区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成が必要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2013年1月掲載

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