マンション管理に関する法律トラブル相談室共用部分について


バルコニーの衛星放送受信アンテナの撤去決議は妥当か

私は以前から、バルコニーにパラボラアンテナを設置し、衛星放送を個人で受信していました。ところが総会の決議で、マンションの屋上に共同受信用のアンテナを設置することが決まり、現在使用中の個別アンテナは撤去して共同アンテナの設置工事費用の各戸負担金を納入すべき旨の決議がなされました。私はこれに従うしかないのでしょうか。

まず問題となるのが、個別アンテナの設置は共用部分(バルコニー)の通常の用法に違反するかということです。
 共同受信アンテナが設置される以前であれば、衛星放送を受信するためにはバルコニーに個別アンテナを設置するのが唯一の方法です。当然ながら、バルコニーには、非常避難口をふさいだり、マンションの美観を損ねるような設置物を置くことはできません。しかし、衛星放送用のアンテナはそれほど大きな物ではなく、マンションの美観を著しく損ねるとも考えにくく、設置方法も壁や格子をはさみこむような、穴あけ工事の不要なものがあり、いずれもバルコニーの通常の用法に違反するものではないといえるでしょう。
 しかし、共同アンテナの設置により、個別アンテナが必要なくなる以上、当該マンションにおいてはアンテナの設置がバルコニーの通常の用法には該当しなくなったと考えられます。また、バルコニーは共用部分であり、個々の区分所有者はあくまで専用使用を認められているだけにすぎません。撤去決議には十分に妥当性があるといえるでしょう。
 各戸負担金については、正当な手続きを踏んで総会決議がなされた以上、各区分所有者に、負担の義務があると考えるのが適正でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年4月掲載

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