マンション管理に関する法律トラブル相談室管理業務の委託

善良なる管理者の注意とは

管理委託契約書を読んでおりましたら、管理会社は管理委託契約に定める業務を履行する上で、「善良なる管理者の注意をもって委託業務を行うものとする」と書いてありました。何のことでしょうか?

 管理委託契約とは、マンションの管理事務に関して、管理組合と管理業者との間に交わされる契約をいいます。この契約の性質は、民法第六四三条に規定する委任契約の性質に当たると考えられ、委任の規定が適用されることになります。そして、委任事務の処理に関する注意義務の程度については、民法第六四四条に「受任者(委任事務を受けた者のことです)は、委任(管理委託契約)の本旨に従い善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理する義務(「善管注意義務」と省略することがある)を負う」と規定しています。従ってこの場合、「管理者」とは管理業者の事であって、「管理組合の管理者(理事長など)」を意味するものではありません。この規定から、受任者(本問の場合は、管理業者)の職業・地位・知識等において一般的に要求される平均人の注意義務をもって委任事務を処理する必要があると考えられています。
 この点で比較されるのが、無償寄託(預託をうけて物を保管すること)に関する注意義務の程度を規定した民法第六五九条の規定です。
 すなわち、無償寄託については、「無報酬で寄託を受けた者は自己の財産に対するのと同一の注意をもって寄託物を保管する義務を負う」と規定しています。このことから、他人のものを無償で預かった場合は、自己の財産に対する注意力と同等の注意力で足りるとされているのに対し、委任契約の場合は、自己の財産に対する注意力よりも、より高度であることを要することになります。
 このようにいっても、その程度の差異は非常に抽象的であり、この点、判例は抽象的な一般的平均人ではなく、具体的状況における行為者としての注意義務をいい、委任契約の信頼関係から特に期待される誠実な受任者のなす注意義務であるといっています。
 管理委託契約に関して、もう少し具体的にいうと、法令に規定された義務を履行することは当然のこととして、マンション管理にかかる専門的知識をもって、管理事務を処理する義務があるということになり、管理事務の範囲を明記することは非常に重要なことです。
 なお、委任契約においては、有償又は無償を問わず、善良なる管理者の注意義務をもって管理事務を処理する必要があります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2001年11月掲載

管理員業務について

私たちのマンションでは、管理員が常駐して、清掃や来客対応をしてくれています。入居者としては管理員にどこまでのことをお願いしてよいのでしょうか。また、管理員はどのような責任を負うのでしょうか。

 管理会社と管理委託契約を結び、業務を委託する管理形態では通常、管理員は管理会社より派遣されます。この場合、管理員は管理会社の職員であり、管理組合との間に直接雇用関係があるわけではありません。管理員は管理会社と管理組合との間で結ばれた管理委託契約書に定められた業務を行い、その範囲内で責任を負います。
 管理員の業務内容は、管理委託契約の内容によってマンションごとに異なりますが、標準的には以下のような業務があげられます。
  • (1)受付などの業務・・・共用部分の鍵の保管・貸出、備品管理、官公庁との連絡、通知事項の掲示、入退去届出の受理
  • (2)点検業務(補助)・・・建物・諸設備・諸施設の点検、照明の点灯・消灯、管球類の点検
  • (3)設備監視業務・・・諸設備の運転・作業状況の点検と記録(補助)、各種警報装置の監視・非常時の対応(補助)、各種メーター点検
  • (4)確認業務・・・諸設備の保守点検・共用部分の営繕工事・清掃業務などの確認
  • (5)報告連絡業務・・・定時連絡、緊急時連絡、日誌の記録
  • (6)管理補助業務・・・防火管理業務の補助、未収納金督促の補助、清掃業務
 管理員は、敷地と共用部分の管理のための現地スタッフです。前記の業務に関することは管理員に気軽に相談すればよいでしょう。管理員不在時や管理員に対するクレームについては、管理会社の担当者へ直接連絡して下さい。
 管理員の責任についてですが、管理員がその職務執行にあたって、管理組合または区分所有者に損害を与えたときは、管理会社が使用者として管理員と共に損害を賠償すべき責任を負うこととなります(民法第七一五条)。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年2月掲載

管理組合の預金口座の名義について

私たちのマンション管理組合では、預金口座の新規開設、日常の収納、保管義務を管理会社に任せています。このお金は本当に組合の財産として扱われているのでしょうか。

 近年、「資産の保全」に対する関心の高まりとともに、組合預金の帰属先の問題が注目されています。万が一の危険を避けるためにも、自分のマンションの管理組合の資産であるべき口座預金の帰属先を明確にしておくことは、必要なことでしょう。
 人が集まって形づくる団体の中には、団体としての組織を備え、多数決の原理が行われ、構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、代表の方法、総会の運営、財産の管理など、団体としての主要な要件が確定しているものがあります。このような団体のうち、法律の規定により、権利義務の主体となることを認められている(法人格を有する)ものが法人であり、認められていないものが「権利能力なき社団」と呼ばれています。マンション管理組合は法人格を有することも可能ですが、大部分はこの「権利能力なき社団」に該当します。ただし、「権利能力なき社団」は法人と変わらない実態を備えていますので、金融機関の側としても、会社その他の法人の規程を適用すべきであるとしています。すなわち、その預金は最終的に団体に帰属し、団体の構成員、代表者、あるいは代理人の個人財産とはみなされないのです。したがって重要なのは、口座開設時に以下の点を明確にしておくことです。
  • (1)「マンション管理組合」名義で名義人は組合の代表者であること
  • (2) 組合が「権利能力なき社団」としての要件を備えていること
 (1)の点については『マンションの管理の適正化の推進に関する法律』七六条で、管理組合と他人との財産を分別管理するように定めていて、国土交通省令八七条で、「修繕積立金等金銭を、管理組合を名義人とする口座において、預貯金として管理する」と定めています。「○○マンション管理組合 理事長○○」等の名義となっていれば問題ありませんが、危険なのは「○○株式会社 ○○管理組合口 代表取締役○○」など、組合名義であることがはっきりしない場合です。この場合は、『マンションの管理の適正化の推進に関する法律』等の定めに違反するともいえます。しかし、このように口座開設時に注意を払っても、実務上の注意が払われなければ絶対に安全であるとはいえません。管理会社に任せる場合も、管理組合で保管管理する場合も、組合通帳および届出印の運用面での安全策についてルールを定めておく必要もあるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1996年12月掲載

総会に諮らずに行った契約の解除、締結は無効か

理事長が総会にも諮らないで現在の管理会社Aとの委託契約を解除し、管理会社Bと新たに委託契約を結びました。管理会社Bは理事長の親戚の者が経営しているということです。契約先の変更は無効ではないでしょうか。

 一般的な管理規約によれば、総会の普通決議事項として、「組合の管理部分に関する管理業務委託契約の締結」という事項が規定されています。
 管理組合の契約などの行為は、団体としての契約を有し、理事長がその代表者として行為することになるので、理事長の契約締結が管理規約に反していても、このことを知らずに契約を締結した管理会社Bとの契約は有効に成立することになります。なお、管理規約に違反していることを知っていた場合は、管理組合は管理会社Bに対し、契約の無効を主張できるでしょう。また、管理会社Bが理事長の親戚が経営する会社であるからといって、道義的に問題があるとしても、そのことだけでは契約が無効であると主張するには充分でないように考えられます。そうすると、管理会社Aは、総会で委託契約を解除する旨の決議がないことから、契約解除に応じないという事態が発生し、その結果、管理組合は管理業務委託料を管理会社A及び管理会社Bから請求を受け、あるいは、その後、総会を開催して管理会社を選定する決議をしても、一方の管理会社から損害賠償を請求される事態も生じます。なお、理事長に法的責任があるということはいうまでもありません。
 管理組合の運営に関しては、役員の不適正な行為により、思わぬ紛争が生じることがありますので、区分所有者全員がその運営に関心を持ち、お互いの意識を高めていくことが重要です。なお、役員の不注意による無用な混乱を避けるために、委託契約書に、
  • (1)管理組合が契約の解除を申し出る場合は、あらかじめ総会の決議を経ることとする。
  • (2)その総会の場で解除の理由を明らかにするとともに、管理会社から釈明の申し出があればその機会を与えることとする。
  • など記載するのもよいでしょう。解除の根拠を明らかにし、管理会社に釈明の機会を与える理由は、無用な紛争を回避することになるからです。

    編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

    2000年7月掲載

預金口座の名義変更について

新しい理事長が選任されたことに伴い、管理会社から管理組合の口座の名義変更を行うよう指示を受けたのですが、なぜ理事長が替わると名義変更をしないといけないのでしょうか。もし組合側で理事長が変更しても名義変更をしなくてもよいような取り決めをすれば、名義変更をしなくてもよいのでしょうか。

 管理組合は、区分所有者から管理費や修繕積立金などを徴収したり、各種費用を支払う業務を行うため、銀行をはじめとする金融機関に預金口座を開設しています。
 この預金口座について、区分所有法では理事長(管理者)が替わる度に口座の名義変更をしなくてはならないという記述はありませんが、マンション管理適正化法の省令第八七条に、「マンション管理業者が受託契約を締結した管理組合、又は管理者等を名義人とする口座において預貯金を管理する」ことが記載されています。本来同法は、管理会社のみを規制する法律ですから、このことから、直ちに組合内において理事長(管理者)以外の名義は認められないということはできませんが、特段の事情がなければ理事長名義が原則であることを想定していると解釈することができます。
 そうすると、理事長が交替すれば、当然前理事長はもはや理事長では無いわけですから、名義変更がなされることが必要となります。
 また実際に金融機関での取引について考えると、平成一五年一月六日から施行された『金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律』(以下、本人確認法)に注意する必要があります。
 この法律は、マネーロンダリングなどを防止することを主な目的としており、一定金額以上(二〇〇万円を超える現金送金)の単発取引時、あるいは解約時などに必ず金融機関が公的証明書により、顧客の本人特定事項を確認することになっています。
 この法律によって、例えば突発的な修繕に二〇〇万円を超える修繕費が必要になった場合、名義人の公的証明書が必要となります。しかしその際に口座の名義が以前の理事長であり、かつその名義人が既に転居されているとすると、本人確認の為に必要となる公的証明書を準備するための余分な時間と労力を費やすことになりかねません。
 つまり常に現在の理事長名義にしていれば、本人確認が必要になった際の時間と労力を大幅に省くことができるといえます。
 以上、マンション管理適正化法の趣旨から、又本人確認法の適用の際の実務上の労力面から、名義変更の重要性を述べてみましたが、そもそも預金口座の名義人は、実際は金融機関の取り扱い規定からも、その口座に預けられている全額を任意に引き出すことができるわけですから、万一の事故を想定した場合も、管理者たる現在の理事長名義にすることが、管理組合としての責任の所在をはっきりさせるという意味からも必要でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2003年2月掲載

管理委託契約更新時の重要事項説明について

理事長をしています。管理会社より管理委託契約の更新に伴う重要事項説明実施の申入れがありましたが、従前の契約と同一条件での契約更新のため、区分所有者全員への説明会は不要とのことでした。この場合の「同一条件」とはどのような条件をいうのでしょうか。

 マンション管理の適正化の推進に関する法律(以下「適正化法」といいます)では、管理会社が管理組合と管理委託契約を締結(契約更新も含む)する場合、事前に管理組合に対し重要事項説明を実施することを義務付けています。
 この重要事項説明は原則として管理組合の管理者(一般的には理事長)および区分所有者全員に対して説明会を開催して行う必要がありますが、例外として、管理委託契約の更新において従前の契約と「同一条件」での更新にあたるときは、説明会の開催を必要としないこととされています。これは、管理組合と管理会社との管理委託契約の内容が、更新前の契約内容と同一とみなされるものが多いことに起因しています。
 説明会の開催を必要としない「同一条件」とされる契約更新とは、従前の契約内容と全く同一内容の契約はもちろん、そのほかにも、次に掲げる内容に関する変更についても「同一条件」での更新とされています。
  • (1)管理会社の商号・名称・登録番号・登録年月日を変更する場合
  • (2)管理委託契約と業務内容・実施方法は同一であるが、委託業務費を減額する場合
  • (3)従前の管理委託契約に比べ業務内容・実施方法の範囲を拡大するが、委託業務費を据え置くか、減額する場合
  • (4)従前の管理委託契約より、委託業務費の支払時期を後に変更(前払いを当月払いもしくは後払い、または当月払いを後払い)する場合
  • (5)従前の管理委託契約より、更新後の契約期間を短縮する場合
  • (6)管理委託契約の対象マンションの所在地の名称が変更される場合
 これらの事項は、管理組合にとって不利益となる事項ではないと解せられ、改めて、説明会を開いて業務内容を理解する必要がないと考えるからです。
 いずれにしても、重要事項説明の実施は、適正化法により管理会社に課せられた義務ですが、管理組合にとって、組合運営のパートナーとなる管理会社との管理委託契約の締結は非常に重要なものですので、契約の締結時(または更新時)においては、重要事項の説明を受け、管理会社が行う業務内容についてよく理解しておくことが大切です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2011年5月掲載

管理会社が他の管理会社に吸収合併された場合は

理事長をしています。マンションの管理を委託している管理会社が、他の管理会社に吸収合併されたとの通知を受けました。今後の管理組合と管理会社との委託契約はどうなるのでしょうか。

 管理組合と契約している管理会社が他の管理会社に吸収合併された場合、従前の管理会社は消滅(解散)となります(会社法第四七一条第四号)。
 そして同法第七五〇条では『吸収合併存続会社(以下、存続会社)は、効力発生日に、吸収合併消滅会社(以下、消滅会社)の権利義務を承継する。』とあります。したがって、管理組合と消滅会社との委託契約は、吸収合併の効力発生日をもって、当然に存続会社が引き継ぐこととなります。また、国土交通省が定めるマンション標準管理委託契約書においても、合併による管理会社の消滅は契約の解除事由に含まれていません。
 管理組合と管理会社との委託契約がマンション管理の適正化の推進に関する法律の適用を受ける契約である場合においても、吸収合併は存続会社が消滅会社の権利・義務の一切を包括承継することから、存続会社は改めて管理組合と委託契約を締結する必要もなく、重要事項説明をする必要はありません。
 なお、事業譲渡により管理組合との委託契約上の地位が新旧の管理会社間で承継される場合、新管理会社による重要事項説明が必要です。 
 事業譲渡は特定承継であり、旧管理会社と管理組合との委託契約に係る権利・義務がそのまま新管理会社に承継されるものではないためです。 

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2012年1月掲載

重要事項の説明後に契約金額を変更した場合、改めて重要事項の説明は必要か

管理会社を変更することになり、新委託先として内定したマンション管理業者から重要事項説明を受けました。その後、理事会で検討し、管理委託費用の値引きを要請しています。この要請が認められ、契約金額が変更となった場合、改めて重要事項の説明を受ける必要がありますか。

 重要事項の説明は、管理委託契約締結の前に、マンション管理業者が管理委託契約に係る重要な事項(管理仕様、契約金額等)を説明することによって、管理組合に契約内容の検討や理解の機会を与えるために実施するものです。したがって、重要事項の説明後に、管理組合からの要請により契約内容を変更することとなった場合、マンション管理業者は改めて重要事項の説明を行う必要はありません。
 ただし、管理委託契約締結後に契約内容を変更する場合、マンション管理適正化法第72条(重要事項の説明等)に基づき重要事項の説明が必要となります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2015年9月掲載

契約期間途中における管理委託契約の終了について

理事長をしています。管理委託契約に基づき管理会社より配置されている管理員について、仕様書に記載されている業務上の不履行はありませんが、勤務態度などに不満があり、また全般的に満足度が低いことから管理会社を変更しようと考えています。しかしながら、契約を更新して3カ月しか経過しておらず、契約期間があと9カ月残っており、管理委託契約書には中途解約の定めがありません。管理会社を変更するためには、あと9カ月待たないといけないのでしょうか。

 管理事務の委託契約の性質は、民法第643条に規定する委任契約の性質に当たると考えられ、委任の規定が適用されることとなります。
 そして、民法第651条第1項に「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」とあることから、契約内容に中途解約の定めがなくとも、管理組合は委託契約を終了させることができます。
 ただし、民法第651条第2項に「当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない」と規定されています。例えば、前の管理会社は、新たな管理会社に管理業務を引き継ぐなどの業務を行う必要があることから、契約解除までにその時間的余裕がないことによって発生する管理業務上の損害について、管理組合は前の管理会社に対して賠償責任を負うこととなります。
 なお、国土交通省が示している標準管理委託契約書第19条(解約の申入れ)では、「(前略)、甲(管理組合)及び乙(管理会社)は、その相手方に対し、少なくとも3月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることができる」とあり、契約終了に伴う管理事務の引継等を合理的に行うのに通常必要な期間を3カ月間としています。
 これらにより、契約上に特段の定めがある場合を除き、3カ月間の猶予をもって契約終了の申入れをすれば管理委託契約を終了させることができると考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2016年10月掲載

通帳の保管者の変更について

このたび、理事長に選任されました。管理組合口座の届出印と通帳の保管状況を確認したところ、届出印は管理組合が保管し、通帳は管理会社が保管していました。大切な管理組合の財産ですので、通帳も管理組合で保管したいのですが、どのような手続きが必要でしょうか?なお、当マンションの管理規約は標準管理規約に準じています。

 管理組合口座の通帳を管理会社が保管しているのは、管理組合との管理委託契約によるものです。通帳の保管者を管理会社から管理組合に変更することは管理委託契約の内容変更を伴うため、総会の決議が必要です。
 また、マンション管理適正化法において、通帳の保管者の変更は契約条件の変更とされることから、総会決議に先立ち、管理会社による重要事項説明会の開催も必要です。
 管理組合の通帳残高はマンションの規模によっては数億円以上に達することもあります。届出印と通帳を両方とも管理組合で保管することは、結局は盗難や役員の不正等による財産の毀損の責任を保管責任者の役員個人に帰することとなります。これだけの金額ですと、多くの場合、万が一の盗難・不正等の事態が発生したときには到底個人で賠償できる規模ではありません。
 マンション管理適正化法および関係規則・省令により、国土交通省登録のマンション管理業者には管理組合の財産の管理方法が詳細かつ厳格に定められており、必要に応じて保証措置を講じることも義務付けられています。
 こうした背景から、「役員等による個人管理」よりも法律で規制を受けた「マンション管理業者」に通帳の保管を委託する方法がより安全・安心であるとして、届出印を管理組合で、通帳を管理会社で保管する運用が一般的です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2017年9月掲載

管理費等の明細が届かない場合どうすればよいのか

毎月口座振替で管理費等が引き落とされているのですが、管理組合や管理会社からは何も明細が届いていません。管理費の金額や引落結果を確認するため、発行してほしいのですが、どうすればよいでしょうか?

 近年デジタル化が進み、紙の明細だけでなく、Webで組合員個人の管理費等の明細や支払状況、管理組合の連絡事項等を閲覧できるサービスを展開している管理会社が増えています。
 新型コロナウイルス禍の影響で、紙によるサービスからパソコンやタブレット等で閲覧ができるサービスの需要へ変化しており、中には紙の明細を配付することを廃止し、Webサービスを無料で開始している管理会社も増えています。管理費等の明細や領収書の閲覧だけでなく、ご自分で領収書を印刷することができるサービスもありますので、管理組合もしくは管理会社に確認してみてはいかがでしょうか。
 なお、上記のような管理費等のお知らせ書面が発行されていなくても、組合員は区分所有法によって管理費等の支払義務がありますので、支払いはしなくてはいけません。組合員の立場から考えても、口座から毎月相当な金額を引き落としされるわけですから、その引き落とした金額が間違いなかったことを書面で確認することは、支払う者として当然の権利ともいえますので、配付もしくはWebサービスを実施されていない場合には、管理会社へ対応を要請してみることをお勧めします。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2021年2月掲載

重要事項説明書は書面での交付が必要とされているのか

管理会社から、今後、契約更新に伴う重要事項説明書の交付については、電子メールにて交付したいとの申し入れを受けました。マンションの管理の適正化の推進に関する法律では、重要事項説明書は、書面での交付が必要とされているのではないでしょうか。

従来、重要事項説明の実施は、対面で書面交付をもって行うこととされていましたが、このたび、マンションの管理の適正化の推進に関する法律が改正されたことにより、書面以外にも、電磁的方法による交付が可能となりました。なお、今回の改正では、重要事項説明書のほかに、契約成立時の書面と管理事務報告書についても、電磁的方法による交付が可能となりました。
 電磁的方法による交付方法は、以下の通り施行規則に定められています。いずれの方法により交付する場合でも、管理受託契約に係る管理業務主任者が明示されている必要があります。
(1)電子メールにPDFファイル等を添付して送信する方法
(2)管理業者のホームページに掲載してダウンロードしてもらう方法
(3)管理業者のホームページを閲覧して印刷してもらう方法
(4)CD‐ROM等に記録して交付する方法
 なお、管理会社が、電磁的方法による交付を行うにあたっては、事前に、管理組合理事長の承認を得ている必要があります。
 昨年からの新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、マンション管理組合の運営方法は、オンライン会議システムの活用など大きく変化しました。今後も、IT化の流れは加速していくものと思われますので、このたびの電磁的方法による重要事項説明書の交付についても、法的に問題がないことをご理解の上、採用を検討されてみてはいかがでしょうか。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2021年3月掲載

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