マンション管理に関する法律トラブル相談室専有部分について


専有部分への立ち入りについて(区分所有者の場合)

先日、私の区分の天井から漏水がありました。管理会社と保険会社が、漏水の原因を調査するために、上階へ立ち入りさせてもらいたいのですが、プライバシーの侵害だと言って立ち入らせてもらえません。上階の専有部分が原因なのか、共用部分が原因なのかは上階に立ち入らないと分からないようです。このような場合、どうすれば良いのでしょうか。

 区分所有法第6条第2項には、「区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる」とあり、本問のように、天井から漏水があり、階下の区分所有者や管理組合役員から専有部分への立ち入りを求められた場合には、その原因を究明するために、立ち入りを拒否することはできないでしょう。
 この場合、プライバシーの侵害だけでは、正当な理由とは言えませんし、あくまでも立ち入りを拒否され、これを放置して被害が拡大した場合には、上階の区分所有者の不法行為になる可能性があり、損害賠償保険の対象にならず、直接損害賠償の請求を受けたり、保険会社から保険会社が支払った損害賠償金の請求(これを求償といいます)を受ける可能性があることなどを説明して、立ち入らせてもらうようにするのが良いでしょう。
 そして、立ち入らせてもらう場合には、誰しも他人に自己の居室を見られるのは嫌なことですので、立ち入る居室の整頓などを準備するために、立ち入る日時や場所を具体的に話し合う必要があります。
 また、立ち入る人は、階下の区分所有者と工事業者だけに任せるのではなく、上下階の区分所有者が険悪な関係にならないように配慮する必要があり、管理組合の役員が立ち会うのが良いでしょう。
 いずれにしても、管理組合と上階の区分所有者、上下階の区分所有者間で法的紛争にならないようにすることが重要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2007年3月掲載

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