マンション管理に関する法律トラブル相談室生活ルール

管理規約の改定手続きは

管理規約を改定するにはどういった手続きが必要ですか。

管理規約を改定するには総会の席で区分所有者および議決権の各四分の三以上の多数による議決が必要です。これは総会に欠席している区分所有者も含めて組合員の総数(一人で複数の部屋を所有している場合も一人の組合員として数え、夫婦で一つの区分を共有している場合のように複数の人が一つの区分を所有している場合も一人の組合員と数える)と議決権の総数のいずれをとっても四分の三以上の賛成を得る必要があるということです。
 管理規約の改定を行う総会の招集に際してはその議案の要領も通知しなくてはなりません。つまり変更前の規約の条項と変更したい規約の案文を併記して、区分所有者がその議案についてあらかじめ賛否を決することができる程度に示すことが必要なのです。
 また、管理規約の改定が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、該当する区分所有者の承諾が必要となることもわすれてはなりません。
 以上述べてきたことはすべて区分所有法で定められており、管理規約などで別の定めをしてあったとしても法の定めが優先します。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1991年6月掲載

ベランダの手すりに布団を干したい

マンションの規則(使用細則)に、「ベランダの手すりに布団を干さないこと」というのがありますが住人より「洗濯物を干すとベランダがいっぱいになり、どうしても手すりにかけて干すようになるので、話し合いで規則を変更し手すりに干せるようにしてほしい」との要望があります。理事会としてはどのような対応をすればよいでしょうか。

通常、マンションの使用細則には当該専有部分の使用にあたり、してはならない行為として「バルコニーの手すり、または窓枠などに寝具、敷物、洗濯物などを干すこと」と定められていることが多いようです。この場合、バルコニーの手すりに布団を干せるようにするには使用細則を変更すれば可能です。言い換えると総会において組合員および議決権の過半数の賛成があれば布団を手すりに干せることになります。
 しかし、布団を手すりに干す行為が使用細則で禁止されている理由として
(1)万一落下した時大変危険である。
(2)マンションの美観を損ねる。
(3)下の階へほこりやゴミが落ちる。
などが考えられます。
 ですから理事会としては何故布団を手すりに干す行為が禁じられているのかを住人に周知徹底し、そして干し方を工夫してバルコニーの中になるべく干すように呼びかけるべきでしょう。
 それでも手すりに干したいという要望が強い時は、総会に議案として提出することになるでしょうが、その場合理事会で万一の落下に対しての対策や美観を損ねないような干し方の条件を検討しておく必要があります。そしてただ使用細則の変更の議案を提出するのではなく、検討した条件(付帯条件)をつけて総会へ提出するのがよいでしょう。 付帯条件の例としては次のようなものが考えられます。
(1)干す時間を限定する
(2)落下防止の止め具を必ずつける
(3)たたかない(ほこりや音がでないようにするため)
 他にも各マンションによって異なった条件が考えられると思います。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1996年6月掲載

フローリング工事について

管理組合の理事長をしています。近年、当マンションでフローリングの改造工事が多々あり、騒音などの問題となるケースも出ています。私のマンションの管理規約にはフローリング工事について特に定めがありません。どのようにしたらよいのでしょうか?

従来の管理規約や使用細則の範囲で話し合いで解決することも可能ですが、より明確にするために専有部分の改造を管理規約で規制することは可能です。
 区分所有法第三〇条は「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」と規定しています。
 今後、このような問題が起こらないようにするためには、管理規約の変更は有効な手段でしょう。管理規約にフローリング工事の際の届出義務や床材の遮音等級についての条項を付加することにより、管理組合として工事の内容を把握し、工事を行う側への指導など有効な対策をとることができます。
 管理規約の変更は、総会の特別決議事項に当たりますので区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成が必要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1999年5月掲載

マスターキーの設置について

火災やガス漏れなどの非常時に備えて、管理組合でマスターキー(合鍵)を作成したいと思っています。区分所有法には「共用部分の管理に関する事項は集会で決する」(第一八条)との定めがあるのですが、総会の通常決議で決定してよいでしょうか。

玄関扉については、管理規約の中で扉本体は共用部分とし、錠および内部塗装部分を専有部分とする例が多いようです。仮に、このような細かい定めが規約になく錠は共用部分とされるとしても、錠は個人の財産を守るために必要な設備ですから当然に専有部分であると考えるべきです。火災などの非常時には、専有部分または専用使用部分に立入る必要が生ずる場合もあるかと思われますが、このような場合、窓ガラスを壊すなどして専有部分に入ればよいわけで、本人の同意なく、いまだ生起していない非常時に備えて、マスターキーを預かる権限は誰にもありません。
 このため、マスターキーを作成することを総会の決議(多数決)で決定することには無理があるようです。専有部分に、非常時とはいえ他人が出入りすることを承認するか否かは個人個人の問題です。
 また仮に、組合員が全員一致でマスターキーの作成に同意したとしても、マンションの転売などで新たに区分所有者となった人に対して、そのつど同意を得る必要が生じますし、鍵は入居者の問題ですので、区分所有者(オーナー)の団体である組合員の総会で決定すること自体、疑問があります。
 また、マスターキーの運用上、万一事故が起こった場合の責任は、すべて管理組合が負うことになります。ちなみに、最近分譲されているマンションではマスターキーは作成されていないようです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年11月掲載

ドアの鍵は専有部分か

玄関の鍵が壊れたので管理会社へ電話したところ、取替費用は各戸の負担となるということでした。以前各戸のドアは共用部分だと聞いたのですが…。

専有部分とは部屋の壁や柱の内側で、クロス張りや合板張り等仕上げ材を含めた空間である(上塗説)とされています。
 ご指摘の通り、玄関ドア自体は共用部分ですので、勝手に現在あるドアを外して違うデザインのものを取り付けたりすることはできません。マンションの外観を損なうほか、防火性能などの問題からマンション全体の機能上支障をきたすおそれがあります。
 さて錠と鍵ですが、ドアの一部ではありますが、規約上は専有部分と定める場合と共用部分と定める場合があります。いずれの場合でも、基本的には部屋の所有者の独占的な所有物ですから、同一のデザインであれば錠前を取り替えても構いませんし、壊れた場合は各自の責任で修理することになります。ただし、管理組合が扱いについて管理規約などで定めているケースもありますから、鍵の交換をする場合は管理組合や管理会社に確認する必要があります。
 専有部分か共用部分かで間違えやすいものを他にあげておきますと、例えば各戸のバルコニー・窓枠・窓ガラス・専用庭・駐車場などで、これらはすべて共用部分で使用者は専用使用権があるのみですから勝手に造作できません。そのほか住戸内の感知機も意外でしょうが、共用部分です。どちらか判断が難しいものですが、機能上の性質や目的などを考慮するとよいでしょう。しかし、よく分からない場合は勝手に判断せず、管理組合や管理会社へ相談することをおすすめします。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年9月掲載

ペット問題の対応について

ペット問題への対応についておうかがいします。管理規約では犬について五〇㎝以下の小型犬であれば飼ってもよいことになっていますが、明らかに一〇〇㎝以上の犬を飼っている居住者がいます。他の居住者から規約違反であることへの指摘がありますが、飼主は全く聞く耳を持っていません。そこで、対応する手段の一つとして訴訟を行った場合、どのような結果が予想されるのでしょうか。

ペットの飼育に関しては、規約でペット飼育の禁止規定(以下「禁止規定」という)がある場合やその禁止内容などにより困難な問題があります。
 小鳥やラットのように外出させず、鳴き声も騒音といえないペットを飼育する場合と、犬のように散歩させたり、鳴き声や足音が聞こえるペットを飼育する場合とでは、形式的には全て規約違反といえますが、小鳥を飼育している場合にまで規約違反として飼育禁止の裁判に訴えて、勝訴できるかは疑問です。
 すなわち、形式的に規約違反があるというだけではなく、さらに、その飼育が区分所有法第六条一項に規定する「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するような場合には、飼育を禁止する裁判を訴えることが可能であり、飼育をしないように判決を得ることがあります。
 判例も飼育を禁止する判決を言い渡し、損害賠償を認めた事例もあります。
 ところで、本問では、ペットの飼育を全面的に禁止するのではなく、小型犬の飼育は認められるが、大型犬の飼育は禁止する規約になっているので、少し複雑です。
 なぜなら、五〇㎝以下の犬は飼育できるが、六〇㎝の犬は飼育できないということになると、何故に六〇㎝の犬はいけないのか、合理的な理由が定かではないからです。
 ことに子犬の時から飼育していて、成長して六〇㎝の犬になったら駄目だというと、子犬のときから育てた居住者はなかなか飼育をやめることは困難であって、紛争が絶えなくなります。
 このような規約の趣旨は、おそらく子犬はよいというのではなく、成長しても五〇㎝以上にならない小型犬の飼育はよいということだと考えられます。
 そうであれば、管理組合にペット委員会のような組織を作り、ペットを飼育する場合には委員会の許可を要するようにし、許可を得ないで飼育してはならないという規約を設けている事例もあるようです。
 そしてこのような規約の下では、許可を得ずに大型犬を飼育した場合には、管理組合が大型犬の飼育を禁止するように居住者に求めたり、これに従わない場合には、規約違反となるだけでなく、「共同の利益に反する」行為として裁判に訴えて解決を図ることも可能だといえます。
 しかし、本問のケースのように、犬の大きさを決めて、五〇㎝以下の犬に限って飼育できる規定のある場合に、一〇〇㎝の大型犬を飼育したことが規約違反に該当すると訴えた裁判例は、見当たりません。
 規約にある動物の種類や数などの規定に反して違う種類の動物を飼育する場合にも、同種の問題といえます。この点、裁判例としては、小鳥および魚類以外の動物の禁止規定に反する犬を飼育した事例と、禁止する管理規約がなくてビーグル犬を飼育していたところ、全面飼育禁止の管理規約が制定された事例では、いずれも飼育を禁止する判決などがあります。その意味で、これまでの裁判例は、集合住宅における管理規約を尊重する立場にあると解されますので、本問は、一〇〇㎝の大型犬を飼育するに至った特別な事情がある場合や、飼育の禁止を求めることが権利の濫用に当たる場合でなければ、飼育を禁止する判決が言い渡されると思えます。
 なお、障害者が盲導犬を飼育している場合や、許可された種類の犬の飼育である場合には、特別な事情に該当すると考えられます。
 また、動物飼育規定があり、その規定の動物の大きさに違反があるが、飼い主の守るべき事項(鳴き声などのしつけなど)の遵守規定などには全く違反がなく、一方で、この規定に違反する者がほかにもいる場合には、大型犬の飼い主にだけ、その飼育の禁止を求めることは、権利の濫用となる場合があります。
 いずれにしても、昨今のペットブームの状況を踏まえれば、居住者が平穏・安全に生活し、ペットの飼育に関する紛争を未然に防止するために、公表されている動物飼育モデル規定などを参考にして、管理組合の指導の下に、飼い主の会などを設置し、飼育のための許可手続き、飼育できるペットの種類や、大きさ、動物の数、飼い主の遵守すべき事項、飼い主への指導や禁止行為などのきめ細かで明確な規定を定めておくのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2002年3月掲載

「ペット一切禁止」は可能か

私のマンションの使用細則には、「他の居住者に迷惑・危害をおよぼす恐れのある動植物を飼育することを禁止する」とあります。この条項を総会で「ペットを飼うことを一切禁止する」と変更するのは可能でしょうか。

ペットの飼育に関しては管理規約の別規定である使用細則などで一定の制限を定めている例が多くみられます。問いのマンションでも「迷惑・危害をおよぼす恐れのある動植物」といった例を挙げてこれらの飼育を禁止しています。「迷惑・危害をおよぼす」とは猛獣や猛禽類(性質が荒々しい肉食の鳥類)はもちろん禁止ということですが、小鳥であってもベランダの鳥小屋で何十羽も飼うとなると鳴き声や異臭などが問題となるケースがあるでしょう。要は他の住人から「迷惑である」との申出があり、その迷惑の程度が通常容認しがたいものであると考えられるような動植物の飼育を禁止している、と考えるべきです。
 「ペットを飼うことを一切禁止」と使用細則を変更することは可能ですが、その趣旨は他の居住者に「迷惑・危害をおよぼす恐れのある」動植物の飼育を禁止するものと解されます。
 分譲マンションを購入するということはその住居の中で共同の利益を害さない範囲で生活を営む権利を有するわけです。ペットの飼育や、音楽の鑑賞なども含めて生活を営む権利なのです。金魚や小動物の飼育まで含めて一律に禁止するのではなく、分譲マンションは多数の居住者が生活している現実を認識し、できるだけ快適な居住環境を確保できるように問題が発生した事例ごとに、管理組合を中心に協議してひとつずつ解決策やルールを決めていくという運営方法が求められます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1995年11月掲載

総会の決議が不満だが

総会で修繕積立金の増額が決定されました。私は総会には出席せず、議決権行使書にて反対の意思を伝えていました。総会の決議が納得できないので、増額分を支払うつもりはありませんが、何か問題はあるのでしょうか。

管理組合は会計年度の期首にあたって予算を計上しますが、その年度の管理に必要な費用が前年度を上回る場合は、管理費の値上げということになります。本件ケースの修繕積立金に関しても、建築年数や日ごろの管理状態によっては、修繕積立金を増額させる必要性が生じます。
 一般的な管理規約では、管理費等の増額を総会の通常決議で決定すると定めています。
 議決権の行使は区分所有者が自ら集会に出席して行使するのが原則ですが、あらかじめ通知を受けた議題について、書面によってその賛否を集会の招集権者に提出して行使する方法も認められます。
 総会の決議により成立した事項については、区分所有者はそれに従うこととなります。その効力は集会で議決権を行使しなかった区分所有者に対しても例外なく及びます。このケースのように反対意見であったとしても適正な手続きで修繕積立金の増額が決議されたわけですから、その金額を支払う義務が生じます。
 本件ケースで、増額分を支払わない場合は、管理組合から先取特権に基づき動産の競売など法的請求を受けることになりますから、注意を要します。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年1月掲載

規約原本も総会決議もない慣行管理規約は有効か

私は築五年のマンションに住んでいます。入居説明会の際、売主が購入者全員に管理規約を配って説明をしました。その後、規約を承認する総会も開かれていませんし、規約原本もありません。この規約にのっとり、毎年定例総会も開催し今まで無事運営してきましたが、果たして現在使用している規約は有効なのでしょうか。

区分所有者は、区分所有法に定めのある事項のほか、建物、敷地などの管理または使用に関する区分所有者相互間の事項を管理規約として定めることができます。区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的に、ほとんどのマンションでは管理規約が定められています。
 さて、本問のケースですが、規約を承認する総会も開かれず、承認書や規約原本もないということですが、過去五年間その規約で管理組合の運営が行われてきており、規約の内容に関する紛争もなかったようですから、これをもって組合員全員が規約を承認していると解釈してよいでしょう(黙示の同意)。
 よって、現在使用している管理規約は有効と考えられます。ただし、今後無用のトラブルを避けるためにも、次回の総会で規約承認の決議を上げられた方がよいと思います。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1995年4月掲載

廊下の給湯器は共用部分か

廊下のメーターボックス内に設置してある給湯器が故障しました。共用部分に設置してあるので管理組合で修理してもらえますか。

マンションの専有部分(個人の財産)と共用部分(マンション所有者全員の共有財産)の境目をどこに置くかは、管理規約で定める事項です。ほとんどの管理規約では上塗説が採用されています。上塗説とは、壁、床、天井など、く体(コンクリートでできた部分)の内側にある空間(壁紙、天井材、床仕上材などを含む)を専有部分とし、く体も含めて専有部分以外のものを共用部分とする考え方です。
 さて問いのケースですが、給湯器の設置場所は確かに共用部分です。しかし給湯器は各戸へ一台ずつ専用のものが設置されているわけで、専有部分に附属する設備であり、この附属設備も含めて専有部分を構成していると考えられます。よってその維持管理に要する費用は各マンション所有者が負担することとなります。専有部分の附属設備が共用部分に設置されている他の例としては、玄関先のインターホンや室内から操作できる玄関灯などがあります。
 これらとは反対に専有部分の中に共用部分の附属設備が入り込んでいる場合もあります。天井に取り付けてある自動火災報知器の熱感知器がそうです。これを個人が勝手に取り外すと、マンション全体が消防法上不適格な建物となってしまいます。専有部分内にあっても共用部分の附属設備であると考えられるものについては管理組合が総合的に維持管理していかなくてはなりません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1992年12月掲載

パイプスペース内の給水管に浄水器を取りつけてもよいか

パイプスペース内の給水管に取りつけるタイプの浄水器を購入したいと考えています。問題はありませんか?

マンションは、専有部分と共用部分とに分けられます。設問では、パイプスペース内の給水管ということですが、通常はパイプスペースは共用部分とされ、専有部分ではありません。したがって、簡単なものであっても各入居者が勝手な判断で、なんらかの手を加えることはできません。設置後になんらかのトラブル(漏水など)が生じた場合、その責任の所在をめぐって問題が起こることが予想されるからです。
 浄水器を設置したいのであれば、その業者に管理組合に対する説明会を開催させ、それをもとに組合全体の問題として、理事会・総会などで検討の上、正式な手続きを経て設置されるべきでしょう。とりあえず浄水器を必要とされるならば、近年は、いろいろな浄水器が販売・リースされていますので、住戸内に設置するタイプ(蛇口に設置できるようなタイプ)の設置を検討された方がよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1998年9月掲載

アルコーブに灯油缶などを置いてもよいか

アルコーブに古新聞・灯油缶・ビールのケースなどを置いている住人を見かけることがありますが、問題ないのでしょうか?

アルコーブとは住戸の壁面を後退させて造られた附属的空間のことをいい、マンションでは一般的に住戸の玄関部分を共用廊下から引き込ませてできた小空間のことをいいます。このように、アルコーブは共用廊下に面して開放されており、単にその住戸のためだけのものにとどまらず、当該フロア全体の表玄関の一部分を形成しているものと考えられます。
 前記のことからアルコーブは専用使用権付の共用部分であるといえ、専用使用部分であれば構造上、利用上、その住居の区分所有者の使用が認められることになりますが、その使用に関しては当然制約がともなってきます。以上のことを踏まえ設問を考えますと、長期にわたり私物を置く行為は、場合によっては他の住人の通行や災害時の避難の妨げになったり、マンションの美観を損ねる恐れがあります。また、古新聞や灯油缶を放置する場合には、火災(放火)の危険もでてきます。このように、ちょっとした不注意が住居の平穏を害することになり、管理規約でいうところの『共同の利益に反する行為』にあたることになります。
 では、まったく物を置いてはいけないのかということになりますが、通常の用法にしたがった使用であれば、問題ないと思われます。例えば、比較的小ぶりな植木や牛乳箱のように美観を害す恐れがなく、簡単に取り除くことができるものなどが考えられます。
 しかし、どの範囲を超えると共同の利益に反する行為になるかは、特に明確な基準があるわけではないので、できるだけ具体的な事例をあげ、基準を定めていくとよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1998年11月掲載

共同受信設備の導入について

組合員から衛星放送を受信したいという声があがっています。管理組合としてはどのように対応すべきでしょうか。

 

衛星放送を受信するためには個別アンテナをベランダに設置するのが一番簡単な方法です。しかし個別アンテナは取付場所によっては火災の際の消火活動や避難の障害となる可能性があります。それに本来、ベランダは共用部分ですから、勝手にアンテナなどを設置してはいけないことになっています。その他、北側の住戸は受信できない場合があるなどの問題が生じることも考えられます。
 そこで、最もよい方法として、マンションに共同受信設備を設置することがあげられます。これは共用部分である屋根や外壁に共同受信アンテナを設置し、同軸ケーブルの取替え工事を行いますから、共用部分の改良工事ということで、総会の決議が必要になります。
 本問は衛星放送ですが、その他、CATV(ケーブルテレビ)や給湯システムなど新しく普及したサービスを区分所有者が享受したいと望むのは当然であり、機能を時代に合ったものにすることは、マンションのグレードアップにつながるといえます(ただし、マンションによっては構造的に導入が困難な場合があります)。
 総会での決議は規約に別段の定めがない限り、共用部分の軽微な変更として普通決議(区分所有者および議決権の各過半数)で十分でしょう。
 なお、共同受信設備設置までの間、個別アンテナの設置が広まりそうなときは、個別アンテナについて組合としての許可基準、手続などを定めて、混乱が起きないよう対応することが必要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年7月掲載

専有部分の修繕の申請について

私たちのマンションの管理規約には、専有部分の修繕や模様替えを行う際には、あらかじめ理事長に申請し、書面による承認を受けなければならない旨の条項があります。管理規約でそこまでの規定を行うことは、許されるのでしょうか。所有権を持つ専有部分については所有者の自由にできると思うのですが…。

マンションの敷地や共用部分は区分所有者全員の共有財産ですから、区分所有者全員で構成する管理組合がこれらの「管理」について主体となることは当然に理解できることです。それでは、個人が所有する専有部分についてはどう考えればよいでしょうか。マンションのような上下左右が隣接する集合住宅では、専有部分の管理や使用が他の区分所有者に大きな影響を与える場合があります。このため区分所有法第三〇条で、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」と規定しています。ここで規定されているのは、共有財産の管理といった狭義の管理にとどまらず、専有部分を含めた一棟のマンション全体を指す広義の管理なのです。
 そこで、規約に、書面による承認を受けなければならない旨の条項をもうけることができるわけです。
 もっとも、専有部分は、本来それぞれの区分所有者がその意志にしたがって管理および使用をするべきものですから、専有部分に関して規約で定めることができるのは、区分所有者相互間において問題が生じる恐れのある基本的な事項に限られます。修繕や模様替えに関していえば、承認の判断基準は、工事のく体に与える影響、防火、防音などの影響、耐力計算上の問題、他の住居への影響などに限定されるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年5月掲載

公開空地へ彫刻を設置することの注意点は

マンション敷地内の公開空地へ市から屋外彫刻の設置を提案され、理事会での議決をもって承諾の返事をしようと思います。組合として手続上何を注意すればよいでしょうか。なお、費用は市が負担します。

公開空地とはマンションやビルの敷地内であっても一般市民が日常自由に通行・利用できるよう開放されているスペースです。都市整備の一環として市街地にオープンスペースを確保する施策の一手法で、建築基準法の総合設計制度に基づいて設置されます。
 さて問いのケースですが、屋外彫刻の設置は公開空地の利用目的の範囲内ですし、費用も市の負担ということですので、共用部分の変更事項にはあたりません。管理組合の対応としては、彫刻の構造・規模にもよりますが、総会での普通決議(区分所有者および議決権の各過半数)をもって屋外彫刻の設置の承諾をすることになります。
 彫刻が仮設構造の場合、理事会の決議で返答後、総会の同意を得れば問題はありません。ただし、総会で否決される可能性を考慮して、あらかじめ覚書(設置者である市の負担で速やかに現状に復帰させる旨)を交わしておくのがよいでしょう。
 一方、屋外彫刻が永久構造物または相当規模にあたる場合は撤去が大変ですので、先に総会での承認(普通決議で可)を受けるべきです。
 なお、屋外彫刻設置後はその所有権を管理組合に移せるように覚書を交わしておく方が、後々のトラブル防止のためにも望ましいと思われます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年5月掲載

駐車場使用契約書を交わしていない場合は

私が理事長をしているマンションでは二年前に駐車場を増設しました。ところが、駐車場使用契約書を交わしていないので当時の期日にさかのぼって契約したいのですが、法的に有効でしょうか。また、駐車場使用位置を当人同士で交換していると思われる人がいますが契約書を交わしなおす必要はないのですか。

まず、当時の期日にさかのぼって契約したいという質問ですが、恐らく二年前に駐車場を増設した時に使用者の決定をしたのみで契約書を交わさず、現在に至っていると思われます。契約は当事者間の合意により成立するものです。口頭での合意も契約に当たりますから契約書が交わされていなかったこと自体は大きな問題となることではありません。本件の場合、両者(管理組合と駐車場使用者)とも合意のもとで、たとえ契約書が交わされていなくても駐車場使用者は駐車場を使用し、管理組合は所定の駐車料金を受け取っているわけですから、駐車場使用契約が当初より有効に成立していたと考えられます。ですから、当時の期日にさかのぼって契約する必要はなく、現在の日付で現理事長と契約書を取り交わし、本契約の効力が過去(当時の期日)にさかのぼって有効であった旨、両者が確認しておけばよいでしょう。
 次に、駐車場使用位置を当人同士で交換している件ですが、駐車場使用契約書を交わしている場合、契約書には使用位置も定められているはずです。よってこの交換を管理組合が追認すれば有効、しなければ無効ということになります。管理組合が追認しない場合は、すみやかに駐車位置を元の場所へ戻さなければなりません。また管理組合が追認した場合は双方の契約書にその旨を追記するか、新たに契約書を交わしなおすか、どちらでもよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1996年2月掲載

バルコニーの衛星放送受信アンテナの撤去決議は妥当か

私は以前から、バルコニーにパラボラアンテナを設置し、衛星放送を個人で受信していました。ところが今総会の決議で、マンションの屋上に共同受信用のアンテナを設置することが決まり、現在使用中の個別アンテナは撤去して共同アンテナの設置工事費用の各戸負担金を納入すべき旨の決議がなされました。私はこれに従うしかないのでしょうか。

まず問題となるのが、個別アンテナの設置は共用部分(バルコニー)の通常の用法に違反するかということです。
 共同受信アンテナが設置される以前であれば、衛星放送を受信するためにはバルコニーに個別アンテナを設置するのが唯一の方法です。当然ながら、バルコニーには、非常避難口をふさいだり、マンションの美観を損ねるような設置物を置くことはできません。しかし、衛星放送用のアンテナはそれほど大きな物ではなく、マンションの美観を著しく損ねるとも考えにくく、設置方法も壁や格子をはさみこむような、穴あけ工事の不要なものがあり、いずれもバルコニーの通常の用法に違反するものではないといえるでしょう。
 しかし、共同アンテナの設置により、個別アンテナが必要なくなる以上、当該マンションにおいてはアンテナの設置がバルコニーの通常の用法には該当しなくなったと考えられます。また、バルコニーは共用部分であり、個々の区分所有者はあくまで専用使用を認められているだけにすぎません。撤去決議には十分に妥当性があるといえるでしょう。
 各戸負担金については、正当な手続きを踏んで総会決議がなされた以上、各区分所有者に、負担の義務があると考えるのが適正でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年4月掲載

管理組合法人のメリットは

管理組合は法人になることができるそうですがどうすればいいのですか。また、法人になった場合のメリットとしてはどのようなことがあるのか教えてください。

区分所有法では、一定の手続きをとることにより法人になることができると定められています。
 その手続きとは、まず総会において、(1)管理組合法人となること(2)管理組合法人の名称(3)管理組合法人の事務所の住所、以上の三点を区分所有者および議決権総数の各四分の三以上の賛成で決議することが必要です。そして、その事務所の所在地において登記をすることにより法人になることができます。
 管理組合法人になることによって生じるメリットとしては、法律関係、財産が明確になることがあげられます。例えば裁判において管理組合自ら原告または被告になることができます。電話を敷設したり不動産の所有権移転登記する際にも、名義を管理組合名にすることができます。しかし現状においては、法人格がなくても、管理規約を定め、代表者(理事長等)が選任されていれば訴訟を起こすことができますし、預金口座は管理組合名義で開設することができます。言い換えれば法人にならなくても実務上は大きな違いはないということです。
 区分所有法では「管理組合法人の理事は管理組合法人を代表する」と規定しています。法人の理事を複数選任すると、理事全員がそれぞれ代表権を有することになるのです。法人化していない管理組合では理事長のみを区分所有法に定める「管理者」(代表者)として選任しているケースがほとんどですから、今までと同じ形態で組合運営を進めたいのであれば、規約で「管理組合法人の理事は理事長が務める」との定めを設け、理事長のみに代表権を与えるといった工夫も必要となります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1995年7月掲載

管理組合での監事の役割

先の管理組合の総会で、私は監事に選任されました。念のために管理組合における監事の役割をもう一度確かめておきたいのですが。

一般的に管理組合には役員として理事長、副理事長、理事、監事がおかれます。監事とは理事会が誠実に任務を履行しているかをチェックする機関です。
 管理組合の日常の業務は理事会によって行われます。総会で理事会に一任された業務や規約で定められた日常業務(共用部分の維持管理、官公署との渉外業務、広報・連絡業務他)を執行し、収支予算案・決算案・規約変更などの案・その他総会提出案を作成します。理事はこれらの重要な業務を組合員の代表として誠実に遂行する義務を負います。
 そこで、内部的な自主的監督機関として監事という役職が設けられるのです。監事の職務は管理組合の業務の執行や財産状況の監査と総会におけるそれらの報告です。監事は理事会の決議には参加できませんが、理事会に出席して意見を述べることができます。もし、理事会の業務の執行や会計に不正があると認めるときは、監事は臨時総会を開催することができます。このような職務の性質上、監事は理事とは独立した立場でなくてはなりませんので、理事がこれを兼任することはできません。
 法人として登記された管理組合の場合、監事は必ず置かなければなりませんが、一般の管理組合の場合も組合の公正な業務遂行のために設置しているのが通常です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1993年11月掲載

賃借人が防火管理者になることについて

このたび、私たちの管理組合では、前任の防火管理者が転出されるため、新しい防火管理者を選出しなければならなくなりました。賃借人の中に資格を持たれている方がいらっしゃるので、その方にお願いしようと思いますが、賃借人に防火管理者をお願いしてもよいものでしょうか。

防火管理者は、区分所有法によって定められた役職ではなく、消防法で定められた、居住者が五〇人以上(戸数にして約一五戸以上)のマンションにおかなければならない消防の管理者です。
 分譲マンションの防火管理者は、管理者たる理事長によって居住者の中から選任され、理事長が代表を務める共同防火管理組織を統括し、消防設備の維持管理方法、火災発生時の自衛消防の役割分担、消防訓練の実施方法などを定めた消防計画の作成などを行います。
 消防法は、マンションの居住者を、区分所有者と賃借人に区別していないので、賃借人の方が防火管理者になられても、なんら問題はありません。
 分譲マンションの共同防火管理組織は、あくまで理事長が代表となっているので、管理組合主導で運営されるものですが、賃借人の方も同じマンション内で生活されているので、共同防火管理組織の活動を通じて防火意識を高めていくことは大事かと思われます。
 今回のケースの場合、賃借人の方が防火管理者になられることで、組合員の方とともにマンション全体として、防火意識を高めていくことができますし、ふだん疎遠になりがちな賃借人の方と、さまざまな活動を行っていくというマンション全体の交流としても、意義あることではないでしょうか。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年7月掲載

管理組合の名簿作成について

私はマンション管理組合の理事長を務めています。今度、管理組合でマンション内の名簿を作成して配布しようと考えていますが、名簿を作成し、配布することは、プライバシー上、問題があるのでしょうか。

管理組合は区分所有法によって、その存在をはっきり裏付けられた団体です。また、組合員の住所、氏名は登記簿によって公知のものです。したがって、その組合員に対して区分所有者の「氏名」および「住所」を記載した名簿を作成し配布すること自体には、何も問題はありません。
 しかし、電話番号や勤務先または家族状況などについては公知のものではありませんので、公開は差し控えるべきでしょう。こうした内容を名簿に載せたい場合は、あらかじめ区分所有者本人の同意を得ておく必要があります。
 なお、区分所有者以外の方が入居される場合(賃貸など)は、区分所有者が組合に届け出ることと規約で定められていますので、この場合は一般的に入居世帯主の姓名までは(とくに同意を得なくても)公表されているようです。もちろん、入居者本人の同意があれば他の情報も記載できることは、区分所有者の場合と同様です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年9月掲載

駐車場使用料金の改定とRV車用区画の設定について

先日の総会の議案の中に駐車場運営細則の改定がありました。内容は、駐車場使用料金の改定とRV車用区画の設定です。本マンションの管理規約第一四条には、「対象物件については、別途使用細則を定める」と記載されており、駐車場運営細則はこの条文により制定されています。従って駐車場運営細則の改定は、規約第一四条の改定として特別多数議決事項となり、組合員総数および議決権総数の四分の三以上の賛成が必要ということで上記決議は無効にならないのでしょうか。

本設問は、マンションの駐車場使用契約の法的性質によっては、法的紛争が生じることもありますが、本マンションの管理規約第一四条には、「対象物件については、別途使用細則を定める」と規定されていることから、その駐車場使用権は、管理規約上、管理組合が管理する敷地を区分所有者に駐車場として使用させることを前提に、その運用(使用料や使用場所)を「使用規則」で定めていると考えられます。
 それゆえ、「運用細則」は管理規約そのものとは解せられず、また、今回の議案は、駐車場使用料金の値上げや駐車車輌の使用場所(区画)の変更といった、駐車場の運営に関する議案といえますから、通常は普通決議で足りると考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2002年4月掲載

賃貸化が進んだマンションの管理を維持するには

マンションで賃貸化が進み、役員の担い手がいないなどの問題で困っています。適切な管理を維持するためにはどうしたらよいのでしょうか。

賃借人を役員とすることで解決をはかるという意見がありそうですが、これには問題があります。管理組合の最も大切な業務が共有財産の管理であることを考えると、区分所有権を有しない賃借人が役員となって、たとえば共用部分の変更やマンションの建替えなどについて意見を述べる立場でないことは明らかです。
 賃借人が役員に適さないとしたら、やはり外部居住を含む区分所有者が役員となるしかないのですが、外部居住とはいってもそのマンションの所在地近郊に居住している場合が多いと思われますので、このような人に役員になっていただく方法があります(管理規約によっては、内部居住者しか役員になれない旨の規定があるものもありますが、役員の担い手が足らないほど賃貸化が進むことは管理組合としては非常事態ですから、この規定を変更する手続きをとることになります)。
 上記のような対応をしてもなお役員が不足するような場合には、「管理者」を選任する方法があります。「管理者」には、通常は理事長が自動的に選任されます。理事会が設置できない場合、内部居住か近郊居住の区分所有者が選任されるのが望ましいのですが、管理会社や事業主などの法人、あるいは弁護士などの学識経験者を選任することもできます。また、一人である必要はなく、複数の選任をすることもできます。
 「管理者」の選任および解任は総会の決議で行うことになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1998年3月掲載

管理規約の町内会加入の条項を変更したいのだが

私のマンションの管理規約では、附則の中に町内会への強制加入の条項があります。新しく入居される方からの意見もあり、この条項を任意加入へ変更したいのですが、このような場合でも総会の特別決議(区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成)が必要となるのでしょうか。

区分所有法では、管理規約において、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」について定めることとなっています(第三〇条第一項)。当然、マンションを取り巻く状況は年月を経るにしたがって変化していくことになり、管理規約も設立当初に設定されたものでは不具合を生じるような場合も予想されます。
 このような場合、管理規約の変更を検討することになりますが、管理規約の設定、変更、廃止には総会での特別決議が必要ということになっています。
 それでは、今回のご質問のような場合はどうでしょうか。町内会へ加入するか否かという問題は、本来、区分所有者相互間の事柄ではなく、個人個人の意思によって決定すべきものであると思われます。また、強制加入が任意加入になったからといって、管理組合内で特別の利害関係が生じることも考えられません。規約の中にはこのように、本来、規約で取り決めるには無理のある事項を諸々の事情で、あえて規定している場合があります。これらの強制力のない条文は「精神条項」と呼ばれ規約の中に明記されたことであっても組合員を拘束する力はないといえます。
 この場合は、理事会または総会の通常決議で当該事項の無効を確認し、運用していけば十分であると思われます。なお、規約の条文を正式に変更または廃止するのであれば、精神条項とはいえ総会の特別決議を要します。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年12月掲載

「町内会役員を賃借人も含めた輪番制で選出する」という議案は有効か?

管理組合の総会で「町内会役員を賃借人も含めた輪番制で選出する」という議案は有効なのでしょうか?

区分所有法第三条によれば、「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設(以下「建物等」という)の管理を行うための団体を構成し」、そのために「集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」と規定し、この規定に基づいて設立される団体が管理組合なのです。
 それゆえ、管理組合は、区分所有者が共有する「建物等」を管理(維持及び保全)することを目的としています。
 これに対して、自治会や町内会は、良好な地域社会の形成、維持のために地域的な共同活動を行うために設立される団体であり、地域のコミュニティー作りを目的とし(地方自治法第二六〇条の二・二項一号)、管理組合の目的とは異なるのです。
 また、管理組合と自治会や町内会との団体の構成員のあり方をみると、管理組合は区分所有者全員が当然に加入するのに対して、自治会や町内会は任意に加入して構成員となり、また脱退することも自由です。
 それゆえ、管理組合と自治会や町内会とは、地域や地区を重複する場合がありますが、その目的や構成員のあり方が異なることをよく理解しなければなりません。
 さらに、区分所有法第四六条二項によれば、占有者(賃借人など)の義務として、「占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う」と規定され、「建物等」の使用方法については、管理組合の決議があれば、賃借人もこれに従う義務を負うことになります。
 そうすると、本問は、町内会役員を決める議案が「建物等」の管理およびその使用方法に関係する議案であるか否かが問題となります。
 そして、管理組合と町内会の目的と構成のあり方の相違からして、町内会役員の議案が「建物等」の管理、使用方法に関係するとはいえず、管理組合の決議事項にあたらないと解されます。
 したがって、この議案が賛成多数で可決されたとしても、賃借人に町内会役員としての義務を負わせられず、本問の議案の議決は効力を有しないことになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2004年6月掲載

屋内駐車場の所有権は

私の住んでいるマンションでは屋内駐車場が専有部分になっています。他のマンションでは共用部分なのにどうしてですか。

共用部分は建物の構造上当然に共用部分となる部分(法定共用部分)と、規約によって共用部分である旨を明記しなければ区分所有の対象となりうる部分(規約共用部分)との二つに分かれます。
 法定共用部分とは複数の専有部分に通ずる廊下や階段などで複数の区分所有者が共通して利用する建物の部分であり、専有部分として登記することはできません。
 一方、規約共用部分はマンション内で独立して住居、事務所、倉庫または車庫などとして利用できる部分を管理規約の中で共用部分として規定したものです。本来規約に定めがなければ専有部分として登記することが可能な部分ですから、管理規約に共用部分として規定すると共に、規約共用部分であることを登記しておかなければ、第三者に対抗することができません。
 あなたのマンションの屋内駐車場は、三方向が壁に囲まれている区分所有の対象となる駐車場と思われます。専有部分として区分登記されても何ら問題はないわけです。
 ただし、多くのマンションは駐車場を共用部分とし、その使用料を管理組合の重要な財源としていますので管理組合の財政上はあまり好ましいこととはいえません。マンションによってはまれに、集会室や住込の管理員用住居などが専有部分となっている例もあります。マンションを購入される際にはこれらのことをよく確認してください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1991年2月掲載

不法駐車対策について

私のマンションには外部の車が頻繁に止まっており大変迷惑しております。剥がれにくい張り紙をフロントガラスに張るなどの対策を考えていますが、器物破損で逆に賠償しなければいけなくなるという人もいるようです。本当でしょうか。

刑法によれば、器物損壊罪として「他人のものを損壊したものは三年以下の懲役又は三〇万円以下の罰金若しくは科料に処する」と規定し、質問中の「器物破損」はこの罪に問われるかどうかが問題になります。刑法でいう「損壊」とは器物そのものに力を加えて破壊するという場合だけでなく、形をかえないまでも器物そのものの機能を損なわせる場合も含みます。
 フロントガラスには、雨、風、塵芥などを防ぎながら運転手の視界を確保するという機能がありますが、極端に剥がれない紙を張るのは視界を確保するという機能を損なわせると考えられ、罪に問われる可能性もあります。
 本来、フロントガラスに張り紙をする目的は、迷惑駐車に対して警告することです。剥がれにくくして懲罰や制裁的な意味を与えたいという気持ちもわかりますが、それを目的にすることには問題があります。
 このような視点から迷惑駐車防止の一つの手段として、この方策を用いる場合は、管理組合が次の点に注意して行う必要があります。
 まず充分な告知が必要です。予め駐車禁止場所に、このような措置をする旨の掲示をしておきましょう。逆恨みによる報復行動を防ぐ意味でも大切です。
 張り紙を張る場合、傷つきやすいボディは避けガラス部分にすべきです。さらに張り方やその強度については、特殊なのりを使用して、剥がれにくくすることは問題がありますが、風で簡単に飛ぶようであれば警告としての意味をなしませんから、常識的な範囲で雨風で剥がされないような張り方は許容できるのではないでしょうか。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2001年4月掲載

盲導犬はペットとして取り扱われるのか

マンションに居住している身体障害者が同伴している盲導犬は「ペット」として取り扱われてしまうのでしょうか。

二〇〇二年一〇月一日に「身体障害者補助犬法」が施行されました。この法律は、身体に障害を持つ人が盲導犬や介助犬などを伴って社会で活動できるように支援することを目的として成立しました。
 この法律によって、公共施設や交通機関などは、やむを得ない理由がない限り、身体障害者が補助犬を同伴することを拒んではならず、また住宅を管理する者(管理組合)は、居住する身体障害者が補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない(努力義務)ことになりました。
 この法律の施行を受けて「ペット」飼育を禁止しながらも、但し書きで「身体障害者を補助する盲導犬および聴導犬については、周辺居住者の理解を得ることを前提として飼育できるものとする」と、すでに規約を改正した管理組合もあります。
 また、二〇〇四年一月二三日に改正された「マンション標準管理規約・コメント」でも、ペット飼育容認、飼育禁止の場合のそれぞれの規約案が具体的に追加され、そのペット飼育禁止の場合の但し書きで「…、及び身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)を使用する場合は、この限りではない。」と規定しています。
 このように、身体障害者補助犬法の施行により、受け入れる側の管理組合はこれまでの道義的な解釈ではなく、明確な法的義務となり、補助犬は「ペット」ではなく、身体障害者の体の一部と認識されることになったのです。  よって、例え規約に記載がなくとも、身体障害者の同伴している盲導犬は「ペット」として取り扱われないように運用するのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2004年7月掲載

「英会話教室」を営業してよいか

私は、住戸で少人数を対象とした英会話教室を開こうと思いますが、規約違反になるのではないか心配です。確かにマンションの管理規約(国土交通省の標準管理規約と同じ文言)では「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」と定められています。少人数で行うために、騒音などの迷惑もかけないと思いますが。

国土交通省の標準管理規約の上記文言に関するコメントでは、「住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する」とされています。
 つまり、「生活の本拠としていること」「生活の本拠であるための必要な平穏さを保っていること」を守っていれば、慣行的にすでに住戸内でも営まれている、個人で経営するお茶教室・お花教室・弁護士事務所・会計事務所などに関しては、容認されると考えられますが、一般的な営業行為に対しては集合住宅であるという特性を考慮して、その規模、使用方法に制限が加えられるべきでしょう。
 制限が加えられる基準としては
(1)主催者がその住戸を生活の本拠としていること
(2)不特定の者が出入りしないこと
(3)騒音、におい、粉塵、振動などの迷惑がおこらないこと
(4)通常の住宅の範囲を超える量の水や電気、ガスを消費しないこと
(5)外来者は少人数であること
(6)営業時間を制限すべき業種についてはそれを守ること
などが挙げられるでしょう。
 なお、問いのケースですが「少人数」かどうかの判断が大変難しいところです。使用時間やマンションの構造、住戸の広さ、年齢(大人か児童か)にも関係してくることですから、あらかじめ理事会にはかるなどして、人数の基準などの内規を定めてもらってはいかがでしょうか。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2004年8月掲載

組合員名簿の作成と個人情報保護法について

理事長をしています。管理会社にマンションの組合員名簿の作成を依頼しようと考えています。平成一七年四月より施行されている「個人情報保護法」に関連して、何か注意する点はありますか。

組合員名簿のこの法律では過去六ヶ月以内に五〇〇〇人以上の個人情報データベース(特定の個人情報が、他人によっても容易に検索可能な状態に置いてあるもの)を保有し、事業の用に供している者を「個人情報取扱事業者」とし、数々の義務を課しています。
 管理組合が、この「個人情報取扱事業者」に該当するかどうかですが、一般的な管理組合においては、五〇〇〇人以上の個人情報データベースを保有していないと思われますので、同法の適用外となります。
 一方、管理会社においては、五〇〇〇人以上の個人データベースを取り扱っている管理会社であれば、同法が適用となります。
 今回のケースにおいて、個人情報取扱業者に該当する管理会社が組合員名簿を作成するにあたって、管理組合から個人情報を取得した場合には、同法第一八条第一項に定めるとおり、あらかじめその利用目的をマンションにある掲示板に掲示するなどして、公表するか、速やかに本人に通知、または公表しなければなりません。
 また、管理組合からではなく、管理会社が組合員本人から直接情報を取得する場合には、同法第一八条第二項に定めるとおり、本人に対し、あらかじめその利用目的を明示しなければなりません。
 該当しない管理会社や管理組合は、個人情報取扱事業者となりませんので、上記のような法的義務はありませんが、個人情報保護法が施行されたことにより個人情報保護、プライバシー保護についての関心は高まると思います。個人情報の取扱については、慎重かつ適正に取り扱うことが必要でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2005年3月掲載

登録した自動車以外の駐車場使用について

このたび自動車を購入し、管理組合と駐車場使用契約を交わすことになりました。駐車場使用契約書には、「使用する自動車をあらかじめ届け出なければならない」とありますが、登録した自動車以外の自動車を駐車してはいけないのでしょうか。

駐車場使用契約書には、本問のように「使用する自動車をあらかじめ管理組合に届け出なければならない」(以下、本条項という)旨が決められているケースが多くあります。一義的には管理組合は本条項により、契約者に対して、届け出た自動車以外の駐車をすることは禁止することができると考えられます。
 しかしながら、マンションの共用部に設けられた駐車場であるという特性を考えた場合、契約区画に届け出た自動車以外の駐車を一切禁止することに、合理的な理由はありません。
 それよりも、駐車場契約書に本条項が設けられているのは、規格外の自動車を駐車したり、転貸(又貸し)していると思われる契約者に対して、管理組合が違反の指摘を容易にすることができるように、という目的があると考えられます。
 一般的には、規格外の自動車の駐車や、転貸している恐れがあっても、管理組合がそれを証明するのは大変なことです。
 本条項が設けられていれば、届出のされた自動車以外の駐車が長期間続いたときには、管理組合は、規格外の車が駐車している理由などの事実関係を調査して、契約者に対して是正措置を行うことができるでしょう。本条項の意味をそのようにとらえると、契約区画に来客者や同居人が(規格内の)他の自動車を一時的に駐車したり、会社の車で帰宅して一時的に駐車したりすることは問題ないでしょう。
 しかし、車を買い替えるなどして、今後長期に渡って車種が変更になる場合は、再度管理組合に届け出る必要があります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2008年5月掲載

来客用駐車場を独占的に使用する区分所有者への対策は

理事長をしています。来客用駐車場を独占的に使用する区分所有者がおり、再三の注意にも関わらず全く使用をやめないため、駐車車両の強制撤去なども検討していますが、何か有効な対策はないでしょうか。

マンション敷地内での迷惑駐車車両であっても、管理組合自らが駐車車両の強制撤去を行うことは、法律的には自力救済という不法行為に該当するため行うことができません。
 ただし、法的な手続にのっとって債務名義を取得した上で強制執行として行うことは可能です。
 具体的には、来客用駐車場の独占的な使用行為を共同の利益違反として、その行為の差し止めを裁判で請求すればよいでしょう。判決により債務名義を取得した後にも、来客用駐車場の独占的使用が続けられるようであれば、裁判所に債務名義に基づく駐車車両の撤去を請求することが可能となります。
 マンション敷地内の駐車場(私有地)は、公道とは異なり警察による取り締まりができないため、このようなトラブルに至る前の対策が重要です。次のような方法を参考にして、日ごろから来客用駐車場の無断駐車を抑制することが重要です。
(1)来客用駐車場への無断駐車を禁じる注意文や看板の設置
(2)区分所有者や管理員による巡回
(3)来客用駐車場の使用許可証の発行
(4)無断駐車車両への注意文や警告文の提示
(5)常習的無断駐車車両の車種やナンバーの公表

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2011年2月掲載

ペット飼育細則の制定について

理事長をしています。当マンションでは犬・猫等のペットの飼育は全面的に禁止となっていますが、次の総会にてペット飼育細則を制定し、条件付きで犬・猫等の飼育を認めることとする議案を上程することを検討しています。ペット飼育細則の制定は普通決議で問題ないでしょうか?

ペットの飼育は全面的に禁止となっているとのことから、設問のマンションでは、ペットの飼育を禁止する旨の管理規約があるか、または管理規約がないと思われます。
 このような場合は、使用細則の制定では足りず、規約変更手続き、または規約の制定手続きが必要であり、区分所有法第三一条に規定する特別決議(区分所有者と議決権の四分の三の賛成を要する)が必要です。
 マンションでペット飼育を認めるということは、区分所有者相互間における専有部分の管理や使用だけでなく、共用部分の管理や使用(ペットが通るなど)についても区分所有者の利害の調整を行う必要があるからです(区分所有法第三〇条第一項、三項)。一方、管理規約においてペットの飼育を認めることが定められている場合には、新たに飼育届の様式や運用等をペット飼育細則にて制定すればよく、普通決議で足りることになります。
 本問は、ペット飼育を認める規約の制定の質問と思われますので特別決議が必要となります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2013年11月掲載

賃借人の迷惑行為について 所有者に責任はあるか

理事長をしています。ある居住者(賃借人)が夜中に大きな騒音を発したり、共用廊下にゴミを放置するなどの迷惑行為(使用細則違反)を度々繰り返すため困っています。賃借人本人に迷惑行為をやめるように注意してもやめないため、当該住戸の区分所有者に賃借人の迷惑行為停止を要求しましたが、当該区分所有者は「自分には関係ない」と取り合ってくれません。区分所有者には責任はないのでしょうか?なお、当マンションの管理規約は標準管理規約に準じています。

標準管理規約第一九条第一項に次の定めがあります。
 『区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない』
 ご質問の迷惑行為は使用細則違反とのことですから、区分所有者は賃借人に使用細則を遵守させていないこととなります。
 従って、区分所有者である建物賃貸人が、賃借人に迷惑行為を防止するように注意をし、賃借人が区分所有者の注意を遵守しない場合には、管理規約等による種々の法的責任を負うことになります。
 なぜなら、区分所有者は、使用細則に違反する建物の使用をしていることになり、そのことによって、法的責任を負う場合があるからです。
 具体例としては、賃借人が「夜中に大きな騒音を発し」、区分所有者の睡眠を妨害しているのであれば、その区分所有者が賃貸人である区分所有者に使用細則の違反行為により、その損害賠償を求められることがありますし、使用細則の違反行為が区分所有者の共同生活上の支障が著しい場合には、管理組合から賃貸人である区分所有者に対し、建物の使用禁止の請求を受けることにもなりかねないからです。
 賃貸人である区分所有者は賃借人に、使用細則を遵守するように説得することが求められ、説得に応じない場合には、賃借人との建物賃貸借を解除する必要が生じることにもなるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2014年5月掲載

賃借人が使用細則を守らない場合どうすれば良いか

理事長をしています。賃借人として住んでいる人が当マンションの使用細則を守らず、迷惑行為を繰り返しており困っています。賃借人本人に注意を行っても全く改善されないのですが、管理組合としてはどのような対処をしたらよいでしょうか。

標準管理規約第一九条(専有部分の貸与)では、区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならないと定めています。さらにその貸与する者(区分所有者)は、契約の相手方に規約および使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならないと定めています。
 賃借人が使用細則を守らない場合は、まずその賃借人に対し文書等で、誓約書に基づき管理規約・使用細則は必ず守る義務があることを改めて説明し、違反行為を止めるよう勧告することが第一です。
 管理規約に上記のような定めがなく、誓約書等がない場合であっても、区分所有法第六条(区分所有者の権利義務等)第一項は「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と定めており、第三項ではこの定めを「区分所有者以外の専有部分の占有者に準用する」としています。
 さらに同法第五七条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)で、「第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる」としています。
 賃借人の迷惑行為が他の区分所有者への共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去することが困難であるときは、管理組合は賃借人に対し、同法第五七条第一項に規定する行為の停止以外に、同法第六〇条(占有者に対する引渡し請求)に基づいて、専有部分の使用または収益を目的とする契約の解除およびその専有部分の引渡しを請求することもできます。
 しかし、上記のような措置を取る前に、まずは、賃貸人である区分所有者に賃借人の違反行為を知らせて、賃貸人から賃借人に注意するよう求めるのが良いでしょう。また、管理組合としても、賃借人が入居する際に、使用細則を渡し、これを守る義務があることを伝えることで、トラブルを減らすことができるでしょう。 

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2014年12月掲載

賃借人も役員になれるように管理規約を改定できるか

管理組合の理事長をしています。当マンションは組合員の高齢化が進み、役員のなり手不足が深刻化しています。賃借人も役員となることができるように管理規約を改定することを検討しているのですが、問題ないでしょうか。

標準管理規約第1条では、管理規約制定の目的を「区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保すること」としています。
 役員は、これらの目的を果たすために、管理組合業務の執行役として、規約等の定めに従って誠実にその職務を遂行することが求められます。
 賃借人は、良好な住環境を確保するという点で組合員と同じ価値観を有する一方で、組合員に賃料を支払っていることから、長期的な建物の資産価値の維持向上を目的とした修繕積立金の増額検討等、賃料に影響を与える可能性のある問題については、必ずしも組合員と利害が一致しません。したがって、賃借人を役員とする管理規約の改定は好ましくないと考えます。
 組合員以外の者を役員とするのであれば、同居する配偶者や1親等の親族等といった組合員と利害関係が一致すると思われる範囲とすることが考えられるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2016年8月掲載

ペット飼育禁止の決議はペットを飼育している者の承諾が必要か

管理組合の理事長をしています。当管理組合では、長年、ペットの飼育が認められていましたが、先日の総会にてペットの飼育を禁止とする管理規約の変更が承認されました。総会終了後に、決議に反対したペットを飼育している組合員より『管理規約に「規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と定めがあるため、今回の決議は無効である』との指摘がありました。ペット飼育禁止の決議は無効となるのでしょうか。当マンションの管理規約は、標準管理規約に準じています。

今回のペット飼育を禁止とする規約変更が、ペットを飼育している者に特別の影響を及ぼすといえるのか否かについて、あくまで個別の事案ではありますが、参考として東京高裁で、以下の判断がなされたことを紹介します。
 【マンションの居住者の中に犬を飼育している区分所有者がいる場合に管理規約を改正して動物の飼育を禁止する規定を新設することは、その者の犬の飼育があくまでペットとしてのものであって、自閉症の家族の治療上必要であるとか、犬が家族の生活にとって客観的に必要不可欠の存在であるなどの特段の事情がない等判示の事実関係の下では、建物の区分所有等に関する法律31条1項にいう「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす」ものとはいえない】(事件番号:平成3(ネ)4490号)
 上記判例によりますと、飼育されているペットが盲導犬等の飼い主の生活・生存に不可欠な場合を除き、ペット飼育者の承諾を得なければならないとはいえず、今回のペット飼育を禁止とする管理規約の変更決議は有効といえるでしょう。
 しかし、ペットの飼育を禁止とする規約変更をしても、それをペット飼育者が受け入れなければ、将来にトラブルの禍根を残すこととなります。
 ことに、ペットの飼育を禁止することにより、これまで認められてきた犬を殺処分しなければならないケースがある場合には、区分所有者間に大きな亀裂を残すことになりかねません。それゆえ、総会決議の前には、アンケートや説明会等を実施し、ペット飼育を禁止する理由を組合員に周知し、特にペット飼育者の理解を得るように努めることが必要でしょう。
 また、場合によっては、管理規約改正に際し、経過規定を設け、現在飼育しているペットに限っての1代限りの飼育を認めるという対応も考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2017年12月掲載

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