標準管理規約では、理事会の会議および議事について、以下のとおり、コメントされています。
『理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる』(コメント第53条関係①後段)
しかしながら、「子どもをおいて家を空けられない」、「残業で理事会の時間に間に合わない」など育児や仕事の都合により、出席できないという声も少なくありません。
「理事会」の開催方法については、標準管理規約に定められているものであり、区分所有法には「理事会」に関する規定はありません。そのため、理事会の開催方法については、管理規約に別段の定めをすることで、管理組合によって決めることができます。
例えば、理事会の議事のうち、区分所有者からのリフォーム申請に対する承認決議は、申請数が多いことが想定されることから、標準管理規約において、書面又は電磁的方法(電子メール等)による決議を可能としています。このように、必ずしも議論が必要でない議案については、事前に役員に資料の配付を行うことで、書面又は電磁的方法での決議を認めたり、議論の場を設ける必要がある場合には、WEB会議システムを利用できるように管理規約を改定したりするなど、本人が出席することだけを前提とするのではなく、いかに効率的に理事会の運営を行うか、マンションごとの実態に即した運用を検討することが望ましいでしょう。
実際に、(一社)マンション管理協会も、ITを活用したハイブリット型バーチャル総会の実証実験の開始を発表しており、今後、理事会・総会のIT化の流れは加速していくものと思われます。
一方で、WEB会議システムや電子メールを利用して理事会を開催する場合、これらを用いることのできない理事に対する配慮も必要です。この場合、理事会の議事について質問の機会を確保したり、書面等による意見の提出や議決権行使を認めたりするなどの工夫をして、適正で公正な理事会となるように努めることが必要だと考えます。
編集/合人社計画研究所法務室
監修/桂・本田法律事務所本田兆司弁護士
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